山形渓遊会で、納竿会を行いました。今年は殆どが会長・佐谷・K++の3人だけの釣行でしたが、今回もメンバーの都合が合わず、21・22日は佐谷氏と、最終日だけは3人での寂しい釣行でした。しかし、釣り場では神戸の釣り女神の黒瀬さんとそのお友達に偶然バッタリと出会い、急遽、ミニオフとなりました。この時期にしてはとても珍しい堰堤プールでの大物も飛び出し、無事、渓遊会の納竿会を終えることができました。沢で釣れたイワナは既に真っ黒にサビていて、山の季節はもう冬支度を始めていました。 ここ数年は、9月の3連休を山形渓遊会の納竿会に充てています。しかし最近はメンバーが仕事でとても忙しく、ちっとも面子が揃いません。特に今年は渡邊会長が仕事で後半から非常に忙しいらしく、まるで頼りになりません。今回も本山氏を含めた4人でどこかの源流へでも足を伸ばそうかと話していたのですが、結局は足並みが揃わず仕方なく、初日と2日目は、一番ヒマな私と佐谷名人の2人だけで、テントを担いでのキャンプを楽しむことにしました。 21日はのんびりと出発し、現場に到着したのはもう午後2時頃でした。この日は下の写真の様に大きなテントを手に持って、60Lのザックを担いで少しだけ山に入りました。ここの山道は比較的良く整備されていて、しかも歩く距離も大したことがない釣り場です。そのため、ザックには重さを考えずについつい何でも放り込んでしまい、二人とも20kg近い重さにヨロけながら、それでも汗だくでキャンプサイトに到着しました。 夕方のゴールデンタイムを2人で釣りましたが、意外にも魚影は薄く、ご覧の小さなイワナが何尾か釣れただけ。この釣り場は結構有名なためか釣り人で一杯で、折角テントを担いできたにも関わらず、すぐに上流へ林道から釣り人が割り込んできます。2〜3尾のイワナを見ただけでもう釣りなどどちらでも良くなり、結局、キャンプを楽しむだけの会になってしまいました。それでもイワナ汁と骨酒を作る分くらいの釣果には恵まれ、秋の渓の恵みに感謝しながら、久し振りに渓の音を聞きながら眠りに就きました。
翌22日朝は、目覚めたのは早朝5時。9月半ばともなるとすっかり夜明けも遅くなり、まだ薄っすらと暗い時間帯です。この日はキャンプサイトのずっと源流部を釣り上がる予定でしたが、残念ながら釣り人がとても多くて、我々のほんの少し上流に釣り人が既に入ってしまっていました。源流はあきらめて中ほどにあるちょっとした堰堤プールを見ると、驚いたことに、神戸の釣り女神様の黒瀬さんとそのお友達が、すでに釣り始めていました。彼らとは前日に下流部の路上で出会い挨拶はしていたのですが、それにしても早起きです。しかも既にもう何尾か釣り上げていました。 そしてもっと驚いたのは、ご覧下さい、この時期にしては非常に珍しい37cmもある大きなイワナを黒瀬さんが見事に釣り上げてしまったことです。この時期は産卵のため、殆どのイワナが堰堤プールから上流へと移動を完了しています。そのため、尺までの小さなイワナしか堰堤プールでは釣れないのが普通なのです。いやいやさすが釣りの女神様。彼はどこでもいつでも必ず大物をしとめて帰ります。私も一生懸命あとを追いかけますが、上左写真の30cmちょっとのイワナが釣れただけ。でもま、この時期の堰堤では、これでも満足しなければなりませんね。
結局この堰堤プールでは、2時間ほどで3人で4尾の尺上イワナが釣れましたが、どれも堰堤プールのイワナらしく丸々と太っていてパワフルそのものでした。すぐ下流部で釣れたイワナがサビてすっかり黒く細くなっていたのとは対照的に、このプールのイワナは色もあざやかな茶色を保っていて、まるで別世界の生き物の様でした。明るくなった7時ころ、役目を終えた魚たちは、元の堰堤プールへと静かにリリースしてやりました。
この日は夕方に渡邊会長と落ち合う約束もあり、午後からは山を降りて待ち合わせ場所近くの里川釣りをのんびりと楽しむことにしました。源流部は殆ど放流されてはいないのが実情ですが、釣り人の多い渓流では、下流部には結構ひんぱんに成魚も含めた放流が行われていることが多いのです。大物は望めませんが、今晩のオカズ程度くらいなら、辛い思いをして源流部に入るよりも、むしろこういった下流部の釣り場の方が良く釣れてくれるものです。案の定、釣り始めてすぐに私にも佐谷名人にも、ご覧の様な20cm前後の小さなイワナが適度な間隔で釣れ上がってきます。 ただ、下中央の写真の様に、胸ヒレが黒く小さく融けた様になっている個体や、尾ビレの下端部が水平に削れていたり、尾ビレが丸い個体が時々混じって釣れてきます。これらは明らかにごく最近の放流ものであることは間違いなく、こういう魚を見てしまうと少々興覚めです。しかし、もう辺りが薄暗くなった夕方の6時ころでした。ヒレも非常に綺麗で魚体がやや茶色い27cmの立派なイワナがヒットしてくれました。のべつ幕なしに入ってくる釣り人の竿を避け、かろうじて生き延びて来た数少ない1尾なのでしょう、最後の最後になんとなく救われた思いでした。 夜には無事、渡邊会長とも落ち合い、2日目のキャンプも会長を交えて再びのイワナパーティーです。源流部ならいざしらず、すぐ近くに民家の沢山有るこんな下流部の渓流で、すぐ横で釣れた獲物でイワナパーティーが出来るとは、正直、思ってもみませんでした。獲物は小さいながらも、イワナ汁・骨酒・空焼きと十分で、車横付けで酒も喰いものもたっぷりです。何年やっていても野営は楽しいもの。3人が揃えばすぐに皆、饒舌になって酔いが回り始め、いつもの如く夜は更けて行くのでした。
そして翌23日はいよいよ渓遊会の納竿日です。しかし、全くもっていつもの通りに、前夜の酒が祟って、目覚めたのはすっかり明るくなった7時ころ。キャンプサイトからほど近い某支流に入りましたが、支流には放流も全くされていないのか、魚影が殆どありません。会の納竿日だというのに、なんともはや寂しい限りです。それでも2時間ほども釣り上がるとさすがに魚影が僅かながらに現れてきて、すっかりサビてまるで黒真珠の様になった非常に綺麗な7寸クラス(写真上)がルアーにヒットしてきました。
源流からの帰り道、渓畔は秋特有のハッカに似た心地よい香りで充満していました。気が付けば渓畔は、ヤマハッカやヒキオコシに代表される紫蘇科の植物の花盛りでした。夕方、釣り場付近で写真の撮影をしていると、上写真の様な山葡萄を収穫している人たちに出会いました。一粒だけ味わわせて頂きましたが、強い酸味のなかにほんのりと広がる甘さに、山の収穫物であることを感じさせられました。そして、山の季節は、もうすでに冬支度を始めていた様でした。
【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、Wavy50S緑、MissThetisSD、改造MMminow48Sハヤ、RexDeep50、他 |