クラブ釣行レポート

山形渓遊会源流キャンプ釣行(7月27-28日)


山形渓遊会のメンバーで、久々に源流キャンプ釣行を行いました。入った源流の名前は非公開としますが、ここは昨年このホームページで「今年はもう釣れない!」と大々的に予告した釣り場です。結果は全くの予想通りではあったのですが、しかし、これほどまでに釣れないとは、さすがに驚きと落胆の隠せない状態でした。大物を期待してこのページを開いて頂いた読者の皆さんには申し訳ないのですが、今回のレポートは、久々の「釣れないレポート」になってしまいました。

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。



山形渓遊会では、日帰りの源流釣行には良く出かけていますが、源流でのキャンプの経験が少ないため、今後予定している、より大掛かりな源流釣行の予行演習のつもりで今回の釣行を組みました。メンバーはいつもの渡辺会長、佐谷名人、私の3人です。今回の最大の目的は「源流でのキャンプの練習」のつもりでした。そのため、最初から釣果はあまり考えず、もっぱら歩きやすくて距離の適当な源流を選びました。


実はこの源流は、昨年、このHPや渓流釣りフォーラムで「もう来年は釣れません!」と断言した釣り場です。しかし、最源流部まで遡上すれば、小さなイワナであれば多少は残ってるだろうと、あまり釣果のことは考えずに気軽に場所を選んだものです。私の様な体力の落ちた年配の者が、20kg近いザックを担いでキャンプをするには、平坦な林道で入渓できるこの釣り場は最適でした。


さて、左上の写真は今回用意したザックの中身です。1泊2日分の食料と往路分の飲み物、非常食、コッヘル、バーナー、ガスボンベ、医薬品、電池、紙類、梨1個などです。ザックにはこれら以外に、カメラ一式、雨具、着替え、寝袋、ウレタンシートなどが入り、全部で20kg近いものになります。これらの荷物を60Lのザックに詰め込み、老体に鞭打ちながらのキャンプとなりました。写真上中央は私が、右上は渡辺会長が、首ほどの深さのところをザックを担いで渡渉しているところです。


こうやって林道を2時間ほど歩き、到着したのは左上の、かってはこの釣り場のハイライトであったハズの滝壺です。昨年夏に入渓した時には、このポイントで沢山の尺上イワナを目撃したものですが、秋の入渓時にはすっかり釣り切られてしまっていて、尺イワナが1尾だけ釣れたポイントでした。今回もどうせ釣れないだろうと私だけがロッドを出してみましたが、ルアーを投げども投げども、案の定、魚影は全く見えません。魚はまだ再生産されてはいない様でした。


この滝壺の更に上流500mほどの地点に目指すキャンプサイトはありました。このあたりから渓相は穏やかになり、随所にキャンプの出来そうな平坦な広場が現れ始めます。そして、上写真のちょっとした広場が今夜の寝床になりました。なんと言うことはない砂地の広がる広場で、焚き火とテントを張るスペースがあればそれで良いのです。ただ、ここはキャンプには適地らしく、焚き火の跡や良く整地されテントを張った跡、おまけにブルーシートまでデポしてありました。


テントを張り、サイトの確保を完了したら、あとは荷物を軽くして魚止めの滝を目指すだけです。殆どの荷物はテントの中に放り投げ、飲み物とお昼ご飯だけを持って勇んで上流部を目指しましたが、しかし、予想通り(?)に魚影は全く見えません。かろうじて釣れたのは、上左写真の、渡辺会長の釣り上げた25cmほどのイワナと、魚止め滝近くまで行って釣れた泣き尺の2尾だけ。私もルアーを投げ続けましたが、魚のトレースを見ることすら一度もありませんでした。


結局、この日は渡辺会長と佐谷名人が魚止めの滝まで遡上しましたが、最後まで殆ど釣りにならず、私も途中までは遡上したものの、途中からは写真の撮影に全面切り替えしてしまいました。どうやら最源流部まで相当な人が入り、昨年の秋以降も残ったイワナたちはことごとく釣り切られてしまっていた様でした。しかし驚きですね、HPで「もう釣れない!」と宣言すれども、やはりそれを見てわざわざやってくる人が多いのでしょうか。釣り場には足跡とキャンプ・焚き火の跡だらけ、魚影の全く見えない源流部のこの状況は、異常としか言い様がありません。

タマガワホトトギス(玉川不如帰) ウツボグサ(靱草) クガイソウ(九蓋草)

さて、ご覧の様に釣りの方は散々だったのですが、それでも源流でのキャンプは独特の味わいが有って楽しいもの。少しだけ源流キャンプの内容も紹介しておきましょう。下の写真はキャンプサイトで夕食の準備をしている我々です。普通、源流では真っ暗になるまでは釣りはせず、まだ明るい時間に食事を作ってしまい、あとは薄ら明るい焚き火の明かりを頼りに、ウィスキーでもやりながら、8時ころには寝てしまいます。


やはりキャンプの楽しみは食事が一番ですが、源流へは重量を軽く押さえつつ、栄養のバランスも考えて食材を選ばなければなりません。最近はインスタントの軽くて栄養価の高い食品が多種にわたって販売されていて、随分と便利になりました。その昔、岐阜や富山方面の源流をたった一人で歩いていた頃は、米とラーメンと釣れたイワナだけで一日を過ごしたものですが、やはりそれでは体力が持ちません。


3人でキャンプの場合は多種の食品を少しづつ食べることで栄養のバランスが保たれるのも良いところです。上の写真は3人の持ち寄った食材ですが、インスタントのビビンバなどのご飯類、海草サラダ、各種の缶詰、蕎麦、スープ類、そして最後にはなぜか会長のザックからは、グレープフルーツ入りの「フルーチェ」まで出てきて、栄養のバランスは申し分ありません。それにしても不思議ですね、源流で疲れた体にはなぜか蕎麦やソーメンがとても良く合います。最後に甘い果物でもあれば、最高です。


こうやって明るいうちに食事を済ませ、あとはウィスキーをチビチビとやりながら釣り談義です。そして最後にはこれまた会長のザックからなぜか花火が出てきて、童心に帰って遊んでしまいました。右上の写真は翌朝、私がまだ寝ているところをパチリと撮られたものですが、私は昔からお天気の良い日はテントを使わずに地べたにシートを敷いただけで寝てしまいます。さすがに蚊やブヨがうるさいので、防虫ネットをすっぽりかぶり、ザックを枕にして寝ています。久し振りの青空天井のベッドは、それはそれは気分最高でした。


さて、こうやって今年もまた釣り師たちの夏がやってきました。これから8月末までの1ヶ月を、源流釣り師たちは寸暇を惜しみながら釣りまくることでしょう。冬から春にかけて堰堤やダム湖に潜んでいたイワナ達が源流へと一斉に回帰するこの時期に、ちょうどうまい具合に日本の夏がやってきます。既に産卵の準備を始めているイワナ達に、愛情をもって接しながら源流の釣りを楽しんで頂きたいと、心から願うばかりです。

オオバギボウシ(大葉擬宝珠) シモツケソウ(下野草) ヤマアジサイ(紫陽花)

【今回使用のタックル】
KenCraft SuperTroutSpecial60LT(Telesco.PackRod)、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、
Wavy50S緑/青、改造MM-Minnow48S鮎、MissThetisSD、SugarDeep50SP、ブレットン5g金、他