ミニオフレポート

盛期の堰堤プールの釣り(イワナ43・41cm・6月2・9日)


今年の山形県の堰堤プールはどこもサッパリ釣れません。理由ははっきりとしています。昨年の大渇水でことごとくプールが干上がってしまい、イワナ達が上流へ遡上してしまったからです。源流に入ったイワナ達は簡単に釣り上げられてしまい、大物はすっかり姿を消してしまいました。でも、干上がることの無い堰堤も僅かながら存在します。そんな堰堤プールを求めて、遥か新潟県まで遠征してしまいました。そこには、驚く様な魚影の濃さと、素晴らしいファイトがありました。

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。



【6月2日(日)】

この日は前日の土曜から一睡もせずに思いがけない長距離を移動し、なんだかリキが入っていました。なにせ今年の山形県内の堰堤プールはどこもまるでサッパリ釣れず、参ってしまっていました。そんなところへ新潟の友人から「釣れたよ」の情報を頂き、いてもたっても居られずに出かけてしまったと言う訳です。お天気もまずまず。堰堤は雪代の綺麗な色合いで満たされていて、絶好の釣り日和です。


この日は、写真の掲示板仲間3人も釣り場に揃い、ちょっとしたミニオフになりました。写真下は左から、新潟のBuuさん、もっちさん、たかちゃんさんです。現場に到着したのは朝4時半ころ。既にたかちゃんさんが尺オーバーのイワナを1尾釣り上げておられましたが、前日の夜に僅かに降った雨が少し水温を下げてしまったらしく(5.5℃)、反応はいまいち。その後しばらくは、4人にヒットはありませんでした。


しかし、前日の雨はほんの僅かだったため、こういう日は、お天気さえ良ければ水温が上昇し、そのうち活性が高くなって釣れ出すものです。日が高くなって気温が急上昇する7〜9時ころには釣れはじめ、強い日差しが入り込むまでは釣れ続けるだろうと予測しました。他の皆さんには申し訳なかったのですが、私は一人だけフローターを持ち出し、釣れ始めるのを待ちました。


この日の予想はそのままピタリと的中し、7時過ぎになり、まずは写真左上の泣尺イワナがKルアーにヒットしてきました。遠くを見るとBuuさんともっちさんにもイワナがヒットしている様子。どうやら釣れ始めた様でした。以前にも経験があるのですが、最初は小さめの魚からヒットしはじめ、少しして大きな魚が現れることが多いため、注意して釣っていると、やがて写真右上の34cm・33cmが連続ヒット。そして8時を過ぎたころ、休憩しようとバックウォーター部へ移動中に、なにげなく投げたWavyミノーに、なんと写真下の43cmもある良型のイワナがヒットしてくれました。


毎年6月ころは堰堤プールの釣りの最盛期となっていますが、この一尺半近いイワナも、ご覧の様に丸々と太っていてパワフルそのものでした。恐らく、最近まで源流に生息していたのでしょうか、斑点は小さく色も茶色く、しかもアゴが大きく曲がっていて、源流の大イワナの特徴をそっくり残していました。急いでフローターを上陸させ、たかちゃんさんに写真を撮影して頂きましたが、すぐにリリースすると、また元の深みへと元気にそしてゆったりと戻って行ってくれ、一安心。


その後も活性の高い状態は続き、ポツポツと釣れ続いてくれました。9時過ぎには、ヒットした直後にドラグがジャーっと唸る強烈な引きがあり、待望の50cmオーバーを期待させました。しかしこれは、ヒットした瞬間にイワナが反転し、ラインが魚体にうまい具合に絡まり、ちょうど背ビレ付近にスレ掛かりしたのと同じ様な状態になっていたためでした。写真左下の36cmがそのイワナですが、ご覧の様にこれまた丸々と太っていて、まともに遊泳力を受けると想像以上の強烈な引きになることに改めて驚かされました。


そしてもう10時近い時でした。これまで40cmオーバーが一人で日に2本も釣れることは無かったのですが、この日は活性が高く、ご覧の41cmの大物がまたまたヒット。普通、堰堤の釣りで腕が痛くなることなど滅多にないのですが、さすがに左腕がだるく力が入らなくなってきました。良く考えてみれば前日から一睡もしておらず、まだまだ高活性状態は続いてはいたのですが、そろそろ体力の限界が近づいてきた様です。十分に満足して、この日の釣りを終えました。


ちなみに、この日ヒットしたルアーたちを紹介しましょう。一番の大物の43cmは、写真左下のおなじみWavyでヒットしました。5cmシンキングですが、最近はお気に入りの鮎カラーが全く手に入らなくなってしまったため、ご覧の様に油性マジックで緑に塗装して使っています。もう一つのミノーは某釣り具量販店で480円で手にいれた安物です。全長は7cmもあり、緑のゴーストカラーとなっていて、36cmがヒットしてくれました。そして、残りの41cmを含む、他の全てのイワナたちは、写真右下の自作Kルアー5cm緑でヒットしました。

Wavy50S(緑マジックを塗布) TideRise7S Kルアー5cm緑

釣れた場所は、ミノーではバックウォーター近くの比較的浅い場所(水深1〜2m程度)であり、Kルアーでは水深が2m以上の深い場所でした。他の3人のメンバーは岸からの釣りのため、比較的浅い場所での釣りをされていたようですが、まだ砂に埋まっていない深い場所にも結構な大物が潜んでいます。そういった魚たちはスプーンを深く沈めて誘ってやれば、浅場にいる魚以上に簡単に釣れてくれるものです。やはりポイントを選ばないフローターに絶大な威力があり、他のメンバーには申し訳なかったのですが、私ばかりが深場でヒットしてしまいました。


そして、この日は他の3人のメンバーにも33〜35cmのまずまずのイワナが複数ヒットし、メンバー全員が尺オーバーのイワナをゲット、信じられない様な立派な釣果に恵まれ、本当に素晴らしいミニオフとなりました。最後は41cmのイワナを手に持ち、全員で記念撮影をし、解散となりました。(写真下:左からもっちさん、Buuさん、K++、たかちゃんさん、お疲れ様でした。)

ホウチャクソウ(宝鐸草) エンレイソウ(延齢草) リュウキンカ(立金花)

【6月9日(日)】

こういう釣りを体験してしまうと、遠距離ドライブの苦労も忘れ、またまた同じ釣り場へと走ってしまうものです。山形市から新潟のこの釣り場までは数時間を要する想像を絶する距離なのですが、頭の中には大イワナのあの強い引きの感触がこびり付いていて、いてもたってもいられなくなるのです。しかし、この日は前週とは全く様子が異なりました。土曜の深夜に低気圧が通過し、大雨を降らせてしまっていたのでした。早朝5じころに見た堰堤プールは、先週とは打って変わってミルクコーヒー色。それでも上流から澄んだ水が入り込むのを待ち、9時ころから釣り始めてはみました。


しかし大雨は山上の急激な雪融けを誘い、想像以上に水温を急低下させてしまうものです。しかも月曜〜金曜にかけてとても暖かい日が続いていたため、この水温の低下は致命的でした。加えてこの日通過した前線の後方には、かなり強い寒波が控えていて、この日は終日、冷たい風が吹き荒れていました。釣れないだろうと判っていながら午後まで粘りましたが、結局、同行のBuuさんに20cm足らずの小さなイワナが2尾ヒットしただけで、最初から大物狙いで巨大なルアーばかりを使っていた私には、この日は全くのノーバイト。超久し振りにボ*ズを喰らってしまいました。


東北もそろそろ梅雨入りし、これから源流のイワナ達がどんどんと下流部の堰堤プールに落ちてくる季節です。この時期の雨は、堰堤の釣りに大いにプラスとなることもあれば、逆に致命的なダメージを与えてしまうことも有り得ます。でも、だからこそ面白いこの堰堤プールの釣りを、あと1ヶ月半ほどの間、大いに楽しみたいものです。(写真上右は、河畔に咲き競う谷ウツギのピンクの花)

【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、Kルアー5cm緑、7cm緑、Wavy50S緑、TredShad7S、改造MMminow48Sハヤ、RexDeep50、他