クラブ釣行レポート

山形渓遊会春季釣行 2002年4月27-8日


すっかり恒例となった山形渓遊会の春季釣行に今年も出かけてきました。今年のゴールデンウィークのキーワードは「早すぎる春」でした。例年、源流部にまだ人の入らないゴールデンウィークの前半をこの春季釣行の日程と決めていましたが、今年は春の訪れがとても早く、意に反して河畔には既に釣り人の足跡だらけ。それでも、新緑と山菜と一人一尾のイワナには恵まれ、いつも通りの春を満喫して来ました。

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。



今年のゴールデンウィーク(GW)は休日の並びが良く、私の会社でも豪華に10連休を頂くことができました。ここ数年は毎年、GWの最初の数日を山形渓遊会の春季釣行の日と決めています。山形近辺の源流部はとても雪が多く、GWのころまでは林道も雪で塞がれていて、釣り人の侵入を阻んでくれているのです。そのため、GWの前半は、釣り人にまだスレていないウブなままの源流イワナ達とめぐり合えるチャンスなのです。(ちなみに、連休に入ると人が一気に増えるため、急激に釣れなくなってしまいます。)


連休初日の27日はちょっとした用事もあって、現場には夜到着し、翌28日に皆で源流部を目指すことにしました。この渓流は数年前にもほぼ同じメンバーで訪れていますが、今年はさすがに釣り人が減っていて、この日の車止め付近には、我々以外の人影はありません。今回のメンバーはいつもの渡辺会長、岐阜から本山名人、私K++、そして会長のお友達のS氏の4人でした。佐谷名人もぜひ参加したいとのことでしたが、残念ながらお仕事ご苦労さんでした。

マキノスミレ(牧野菫)(?) キジムシロ(雉莚) タチツボスミレ(立坪菫)

この時期の源流はまだまだ雪も多くて水温も低いため、ご覧の様に皆、ウェーダーを履いての入渓です。私もネオプレンの分厚いウェーダーを履いて入渓しましたが、これが仇となって、途中でとんでもない目に遭うことになってしまいました。この渓流は、途中に水際をヘツらなければならない場所が1箇所あるだけで、殆どが平坦で歩きやすいゼンマイ道がかなり奥まで続いています。この日は、とりあえず車止めから2時間ほど歩いたところから釣り始めることにしました。


ところが、足に自信の無い私は、またまたやってしまいました。2時間近くも歩いたところに有る、沢に降りる途中の急斜面で、草地にうっかり足を置いてしまった私は、見事にズルりと滑ってしまったのです。フェルト付のウェーダーは湿った岩場では抜群の摩擦力を発揮してくれますが、草地や砂場ではずるずると何の役にも立ってくれないのです。場所が悪く、右足が枝に引っかかったまま転倒したため、右内側の靭帯を強く伸ばしてしまいました。幸いにも、全く歩けないほどでは無く、それでも激痛を我慢しながら、竿を出せるところまで、意地だけで歩いて入渓しました。


苦労して入渓したものの、どうした事でしょう、数年前に入った時とはガラリと変わって水が余り有りません。この渓流は源頭がそれほど高くなく、早い春の訪れは、源頭の雪を既に融かしてしまった様なのです。これではルアーで釣る場所など、ほとんど有りません。仕方なく、餌釣り組の後ろを付いて歩きながら、渓流や花・メンバーの釣り姿を撮影して歩くことにしました。


それにしても驚いたのは、渓流の砂地の上には、結構新しい釣り人のものと思われる足跡が一杯有った事でした。数年前に訪れた時には、釣り人口は今よりも遥かに多かったハズにも関わらず、まだほとんど誰も人が入っておらず、型の良いイワナ達が沢山釣れてくれたものでした。足跡に反比例する様に、案の定、釣れてくるのは20〜25cmの小型ばかり。しかも数もいまいちです。結局、1時間ほどは一緒に釣り歩いたものの、足が心配なことも有って途中で釣りはあきらめることとし、2時間半の距離をひとりトボトボと歩いて帰ってきたのでした。

シラネアオイ(白根葵) キバナイカリソウ(黄花錨草) カキドオシ(垣通し)

その後のメンバーの様子は残念ながら写真に収められませんでしたが、午後2時ころまで釣り遡ったものの、数・型ともに最後まで納得の行く釣果には恵まれなかったとのことでした。どうやら早すぎた春は、既に多くの釣り人をこの渓流に招き入れ、イワナたちはすっかり抜かれてしまっていたのでした。私はと言うと、車止めに戻ったのが午前10時ころ。このままでは納得も行かず、車の近くの堰堤の下で、しっかりルアーでイワナを仕留めていました。実はこの時釣った尺イワナが、この日の一番の大物だったとは、私自身も思ってもみませんでした。


さて、メンバーが戻って来るのは恐らく夕方3〜4時ころです。驚かれるかも知れませんが、釣り師のサガと言うのは恐ろしいものです、待ち切れない私は足が痛いにも関わらず、結局、この堰堤の上にある堰堤プールで竿を出してしまいました。実はこの堰堤プール、写真左上の堰堤から落ちる水の状態を見た瞬間に、恐らく釣れないだろうとすぐに予測がつきました。なぜなら、一番下の3つある穴(写真では2つしか写っていません)から、かなり大量の水が流れ出ていて、これでは夏の渇水時に、上流から流入する水量より、穴から流れ出る水量の方が多くなってしまいそうです。そうです、夏にはこの堰堤プールは消滅していたハズなのです。


夏にプールが存在していなければ、当然、魚は溜まってはいません。4月後半ころから6月にかけて強い雪代が何度も流れ込んで来ると、やがてプールには魚が増えては来るのですが、渇水でプールがなくなると、イワナ達は上流へ移動し、すぐさま釣り切られてしまうのです。いかにも釣れそうな雰囲気にも関わらず、案の定、魚のトレースは全くなく、この堰堤プールでは何も釣れませんでした。しかしそれにしても、釣れないと判りながら、足が痛いと苦しみながら、釣り師と言うのは本当に付ける薬がありませんネェ。でもま、とても綺麗な写真が沢山撮影できましたので、良しとしましょう。


さて、夜はおきまりの楽しい楽しい宴会です。この時期の野営では、いつもあふれるほどの山菜に恵まれます。釣りの合間に採取した、岩ダラ、ウルイ、シドケ、タラの芽、ウド、コゴミ、コシアブラなどがテーブルに並び、天婦羅・クルミ和え・お浸しなどに次々と変わって行きます。これに小さいながらも一人一尾のイワナの塩焼きが加わり、やがて心地よいアルコールの酔いが全身を包みはじめ、至福の時が過ぎて行きました。

ネコノメソウ(猫の目草) 紫のキクザキイチゲ(菊咲一華) カタクリ(片栗)

翌日もご覧の様な雲一つ無い見事な青空に恵まれましたが、私は朝起きた時には立って歩けないほどだったため、折角の良いお天気を尻目に小国町の温泉にひとり逃げ込みました。S氏は用事でこの日は帰路につきましが、残った会長と本山氏は、またまた小国町の某源流へと消えて行きました。その後聞いた話では、例年ならまだ雪が多くて入れそうもない渓流を選んだことが幸いして、25cm〜尺前後のイワナが相当数釣れたとか・・・・ったく、くやしい!ったら有りませんネェ。


さて、こうして今年も源流釣りのシーズンが無事、開幕しました。今年は春の訪れが2週間以上も早く、普段ならまだ入れない流れに既に多くの釣り人が立っているのが少し気がかりです。しかしそれでも、渓流のイワナ達は変わらず元気に活動し、河畔は溢れる新緑で輝いています。この、1年で最も心躍る季節を、今年もこうやって無事迎えられた事に、心から感謝しながら帰路につきました。

2002年連休釣行第2段:早春のダム湖の釣り(イワナ44cm・4/30) へ続きます。

【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、自作Kルアー5cm緑、同7cm緑、改造MM-Minnow48Sハヤ、他