単独釣行レポート

ラストはホームグランドで 2001年9月29-30日



毎年、シーズンの最後の「ラスト釣行」はホームグランドの寒河江川近辺でのんびりと過ごすことにしています。この時期は釣果などもうどうでも良く、去り行く季節を惜しんでは、ひたすら渓の散策を楽しむのが目的となっています。山の季節はもうすっかり秋。足元には沢山の種類のキノコたち、そして渓畔には紅葉し始めた木々を眺めながら、渓魚たちに今年最後のお別れを告げて来ました。

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。



【9月29日(土)】

今年は山形渓遊会のメンバーとの釣行が多い年でした。多少の仕事がらみでは有った様ですが、この日は岐阜県からわざわざ本山事務局長が来形していて、午前中だけ釣りに付き合う約束をしていました。彼の仕事の関係で、ホームグランドの寒河江川のすぐ近くの渓に釣り場を選び、早朝5時半に待ち合わせました。そして、付近でシーズンの最後をのんびりと楽しむことにしていました。


しかし流石にシーズンの最終週ですね。超有名な渓ですので仕方がないのですが、待ち合わせの5時半になるまでに、林道をひっきりなしに車が通り過ぎて行きます。当然、釣り場も足跡だらけ。渓に降りてもすぐに別の釣り人に鉢合わせの状態でした。加えて、この日も先週と同じく非常に寒く、水温が急低下したのか、活性はいまいちでした。もうおしまいだと言うのに、本当にイケズなお天気の神様です。


二人で某ポイントに入渓しましたが、人ばかりが多くてなんだか釣れる気がしません。しかし驚いたことに、今までルアー釣りなどしたこともない本山氏が、ルアーロッドだけを手にして渓に立っていました。どうやら夏の渓遊会釣行で会長や私のルアーさばきを見て、影響を受けてしまった様なのです。同じルアーマンが2人で同じ渓を遡行するのも無理がありますし、彼は下流側へ、私はダムのある上流側へと別れて釣ることにしました。予想通りに私のロッドには殆ど何の反応もないままにダム下に到着してしまい、1時間ほどであっさりと釣りはおしまいです。


ところが本山氏はと言うと、どういう訳かちっとも待ち合わせ場所に戻ってきません。9時になっても戻って来ないので心配になり、しかたなく車で下流側を探しに行くと、河原の大きな淵の前で粘っている彼の姿がありました。朝一は釣れなかったそうですが、水温の上がり始めた7時ころから反応が出始め、2尾の釣果があったと言うのです。そして実はこの2尾は、本山氏にとって始めてのルアー釣りでの釣果でした。サイズこそ大したことはありませんが、彼の釣った25cmほどの2尾のイワナは、間違いなくこの日の勲章でした。どうです、この嬉しそうな顔は!


一方の私はというと、正直言ってここでは殆ど何も釣れず、ダム下のプールで写真上右の小さな小さなイワナがヒットしただけ。どうやら私が釣りを止めた後に活性が上がったらしく、私が野草花の写真を撮影している間にちゃんと釣れていたようでした。ちなみにこの小さなイワナ君は10.5cmと、ミノーイングでは私の過去最小の記録になってしまいました。それにしても驚きです。スレ掛かりではなく、ちゃんとしっかりと口にルアーのフックが掛かっています。このおチビちゃんは、自分の体長の半分もあるミノーを、本気で食べ様としたのでしょうか?

アメリカセンダンソウ(栴檀草) キオン(黄苑) ウシハコベ(牛繁縷)

午後から本山氏には仕事が待ち受けていましたので、12時ころ「来年の再開」を約束しながら現場でお別れし、そのまま寒河江川の大井沢へと移動しました。本当は写真下左のいつもの堰堤プールで最後のフローターフィッシングでも楽しもうかと思っていたのですが、プールはなぜか水が殆どなく、真夏のあの渇水時と同じ状態になってしまっていました。どうやら堰堤の穴に詰まっていた流木が朽ちて抜け落ち、プールが消滅してしまっている様でした。夏の渇水に続いてこれだけの打撃を受けた堰堤プールは、来年以降も暫らくはもう釣れないでしょう。残念!!


仕方なく「朝日山の家」前のC&R区間で遊ぶことにしましたが、こちらもご覧の様に異常とも言える人出で、釣る場所が殆どありません。更に「伝承館」前の釣り場へも移動しましたが、こちらはもっと混雑がひどく、まるで釣り掘り状態でした。それも全員がフライマンでルアーマンは一人も見当たりません。不思議に思いながらもフライマンの間をかき分けてルアーを投げると、なにやら小さな魚がぞろぞろと追いかけてきます。聞いてみると前週に開催された月山水フォーラムで20cmほどのニジマス(写真下右)が大量に放流されたらしく、そのオコボレ狙いの釣り人で賑わっていたのでした。


紅葉したゲンノショウコ(現の証拠)の実 アレチマチヨイグサ(荒地待宵草) ススキ(薄)とノコンギク(野紺菊)

【9月30日(日)】

翌30日はいよいよ今シーズンの最終日です。あとは泣いても笑ってもこの日しかありません。気合いを入れて夜明けと同時に入渓の構えです。そして、この日もなるべく人を避けるため、8月の渓遊会釣行(2)で入ったあの落差200mのゼンマイ道の下にある渓流を選びました。昇り降りに相当な苦労が伴なうため、当然、人は少ないハズ。それになにより、この渓流にはすぐに大きな魚止めの滝があり、産卵期で遡上を続けているイワナたちが滝付近に集まっている可能性が高いと考えられたからです。


ここには山抜け(大規模な土砂崩れ・写真上右)で出来たちょっとしたプール(写真上中央)が有り、夏季釣行時には2桁の入れ食いを楽しむことができたものです。まずはこのプールでミノーを投げてみましたが、これが大当たり。夏と全く同じ状態が保たれていた様で、イワナとニジマスが次々とヒットしてきました。釣り人はかなり入ってはいる様なのですが、どうやら餌釣りでは全く歯が立たないのか、プールの奥にあるブッシュの中から次々と魚が飛び出してきます。ただ、透明度が高かったため、1〜2尾の魚が釣れると同じルアーにはすぐに反応が無くなってしまいます。次から次へと様々なルアーを取り出しては投げる事で、1時間ほどで15尾の、久々の入れ食いを楽しむことが出来ました。



上記の写真を良くご覧下さい。使ったルアーの種類は幾つあると思いますか? 答は最後に書きますが、透明度の高いときのルアーフィッシングのパターンはこんなにも目まぐるしいものなんですね。たった1時間でこれだけのルアーを取り替え、これだけの魚を釣るのは実に忙しいものです。写真を撮影してはリリースして、休む暇もありませんでした。そして、MM-Shad48緑赤で3尾目に釣れたまずまずの大物が下写真の36cmでした。腹部にまだはっきりとした朱斑点を残した、渓流育ちの立派なイワナでした。


その後、写真下左の魚止めの滝壷で大物を狙いましたが、なぜかこちらは全く魚影すら見えません。この滝壷は餌釣りでも十分に釣りになりますし、どうやら相当な釣り人が入っていて、すっかり釣りきられてしまっている様でした。それにしても魚たちも賢いですね。滝壷には1尾の魚も見えないのに、すぐ下流のプールには数十尾もの魚たちがごっそりと溜まっているのです。釣り人を避ける知恵が備わっているのでしょうか。


こうやって魚たちに最後のお別れを告げ、今年最後の釣行を終えました。ゼンマイ道を30分もかけて登ってくると、夜明け時には全く見られなかった沢山の車が付近に見えました。不思議に思って見ていると、やがて、見事なナメコやヒラタケをリュックに一杯詰めた地元の人達が、同じゼンマイ道をゆっくりと登ってきました。どうやら地元の人達にとっては、9月の半ばを過ぎると、釣りからキノコへと季節がすっかり入れ替わってしまう様なのです。そこには釣り人の姿は全くなく、イワナ達に平和な世界が確実にやってくるであろうことを確信しました。

マアザミ(真薊) ナギナタコウジュ(薙刀香需) シロヨメナ(白嫁菜)

【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、

回答(使用ルアー、写真上左から):

MM-Minnow48鮎、同、MM-Shad48緑赤、同、RexDeep50SP鮎、BabyMinnow40Sハヤ、同、
MM-Minnow48ヤマメ、同、Wavy50S緑、同、Wavy50S赤金、同、CortacSpoon赤銀