クラブ釣行レポート

山形渓遊会秋季釣行 2001年9月15-6日



山形渓遊会の秋季釣行は、メンバーの日程がちっとも合わず、結局、初日の15日(土)は渡辺会長と私の2人、15日夕方からは佐谷名人を加えての3人だけと、少し寂しいクラブ釣行になってしまいました。おまけに選んだ渓流は人・人・人の洪水の中。釣り場には餌釣り師の竿が林立する始末。しかしそれでも今年はどこも良く釣れています。予想に反して結構なサイズのイワナ君がお相手をしてくれ、今シーズン最後のクラブ釣行も、無事に終えることができました。

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。



【9月15日(土)】

14日(金)に有給でも頂いて、3連休で八久和川かどこかの源流キャンプでも・・・というのが当初の秋季釣行の計画でした。しかし6人のメンバーの都合が全く合わず、一人減り、二人減り・・・9月は皆さん忙しいんですねぇ、結局この日は渡辺会長と私の二人だけ。ならば、またまたどこかの源流へでも入りましょうかと選んだのが写真の渓流でした。しかし、場所の選定がいまいちでした。ここは県内でも有数の超有名な渓流釣り場。金曜夜から車止めに陣取り、朝一番に遡行開始の積もりでしたが・・・


なんとまぁ、ひっきりなしに通過する釣り人や登山客の声が翌朝の目覚まし時計代わりになってしまうとは、思ってもみませんでした。それでも諦めずに仕度をして、渓流沿いの登山道を歩き始めます。既に釣り人数名、登山客数名が先行していますが、源流部へ続くゼンマイ道へはまだ誰も入ってはいない様子。そのゼンマイ道を30分ほど登り、ゴルジュ帯の中ほど(写真上右)で河原に降り立ちました。早速、渡辺会長がルアーをセットして釣り始めますが、しかし予想通りに魚影が全く見えません。どうやら相当な人が入っている様子です。そして程なくして下流から複数の人影が近づいてくるのが見えました(写真下左)。


我々はウェーダーを履いてゴルジュの上のゼンマイ道を歩いてきましたが、なんと、彼らは雨で増水したゴルジュ帯のど真ん中を、胸まで水に浸かりながら突破して来た様なのです。そして、よくよく見ると、先頭の人はどこかで見覚えの有る顔! 山岳渓流会「岩遊」の豊野さん(写真上中)の4人組でした。増水でウェーダーでは遡行が困難なだけでなく、彼ら沢登り専門の人達にスピードで敵うはずもありません。多少の遡行では、どうせ釣れそうもありませんし、ま、有名人にもお会いすることが出来た訳ですし、ここは岩遊の皆さんに快く道を譲ることにして、我々はあっさりと下山することにしました。あーあ。(その後、岩遊の皆さんは釣れたのでしょうか?)

オニシオガマ(鬼塩竈) クガイソウ(九蓋草) カメバヒキオコシ(亀葉引起し)

さて、気を取り直して、下流部で再挑戦です。こういった非常に人の多い渓流では、案外下流部の方が良く釣れるものです。なぜなら、源流部には放流はされておらず、自然繁殖のみに頼っている訳ですが、下流部の道路脇の渓流には、人が多い分、相当な数の稚魚や成魚が放流されているからです。放流物と言えども、非常に人が多くてスレっからしになっている彼らは、実は魚が居ない様に見えても結構な数が残っているものです。そういう魚たちは、ひっきりなしでやってくる餌釣り師の竿には殆ど反応しませんが、珍しいルアーをちらつかせるとヒットのチャンスがあると言うものです。


渓流釣りではもう常識ですが、この時期のイワナたちは上流へ上流へと移動して行きます。産卵行動がその主な原因と考えられおり、大物ほど早くから上流部へと泳ぎだすようです。その結果、9月の半ば頃を迎えると、尺程度より大きなイワナ達は堰堤などの障害物の下に溜まってしまう事になります。逆に、私の大好きな堰堤プールはその水系の最下流部の位置付けとなるため、小物を残して殆どの魚たちが姿を消してしまうことになります。この水系にもごたぶんにもれず、随分と沢山の堰堤が並んでいます。まずは堰堤の上のプール(写真下左)を狙って見ましたが、私のロッドにかろうじて小さな小さなイワナ君が1尾だけ掛かってきただけで、私も会長もまるで釣れてくれません。


堰堤プールを諦め、堰堤下の溜まりを攻めることにしますが、なんとここには餌釣り師が朝早くから4人も陣取っています。餌釣りの竿を立てたままにしてテンカラを振り回している人もいて、竿は5本も並んでいました(写真上右)。普通こんな状況下では釣れる筈もないのですが、それでも餌の届かないポイントなどをルアーを遠投して探ると、まず私のロッドに32cmのちょっと痩せたイワナ君がヒット。これを見ていた我が会長も、お気に入りのミノーでやはり32cmの同サイズをヒット。これには流石に餌釣り師たちも驚いた様で、目を白黒させてこちらを睨みつけていました。


しばらくして餌釣り師3人が引き上げたこともあり、空いた釣り場をWavy50S16AJで丹念に探ると、予想に反してまたまた33・32cmのこんな釣り場にしてはまずまずのサイズがヒット。会長も別のポイントで数尾の結構な型のイワナを釣り上げ、ご満悦。なんでも、会長のミノーには1度だけ40cm前後の相当な大物が掛かったようですが、ライン切れでミノーごと持って行かれてしまったとか。これには会長も「悔しい・惜しい」の連発でした。しかし不思議ですね、こんなにも釣り人が多く、のべつ幕無しで竿が立てられているにも関わらず、結構な大物がちゃんと残っているんですね。源流では無垢なイワナも、こういった釣り場では学習能力も相当な様で、まだまだ捨てたものではありません。


もっともこういったスレた残った魚達を釣り上げるのはそう簡単なことではありません。普通、渓流では私はスピナーを多用しますが、ここでは全く反応がありませんでした。スプーンもKルアーも全くダメ。ヒットしたのは私も会長もミノーだけで、色もアユかヤマメカラーだけでした。しかも普通に引いていても全く反応が無く、かなり強いトゥィッチングでトリッキーに無理やり誘い出さなければならないのです。会長もミノーの操作が上達した様で、尺上をしっかり釣ってはいましたが、大きさ・数ともに結局は私の方が遥かに上を釣ってしまい、やはりこういった超スレた釣り場では、キャリアが物を言う様ですネ。まだまだ会長さんには、負けませんゼ!


キクラゲ(食用)、サルノコシカケ(薬用)、ブナハリタケ(食用)、ツキヨタケ(猛毒注意!)

その後、夕方には佐谷名人と合流していつもの通りのキャンプ宴会です。佐谷氏は前日に仕事が入ってしまい、この日は少し遅れて到着、別の渓流でしっかり釣果もみられていた様でした。そして、上記の堰堤の上のプールでは、魚はさっぱりでしたが、すぐ上流の朽ちたブナの木に上写真の様な沢山の種類のキノコを発見し、秋の味覚をたっぷりと収穫することができました。写真下中央は、獲れたヒラタケとキクラゲの瀬畑雄三風あぶらイタメ。これはもう絶品でありました。いつもの様に、1人1尾の渓の恵みも頂くことができ、釣り談義に夜は更けていきました。


【9月16日(日)】

翌朝もどうせ人が多いだろうと最初から諦めぎみ。会長がどうしても昨日逃した大物(とミノーも取り返したい?)をもう一度狙いたいと言うことで、この日も同じ堰堤で釣る事にしていました。しかし案の定、昨日と同じ餌釣り師が、夜明けの薄暗い時間帯から早々と堰堤下に陣取っていました。まぁ慌てることはありません。餌の後ならルアーでなんとかなります。だいぶ明るくなった7時ころ、再度、堰堤下をミノーで探ると、なんと今度は36cmもある立派なイワナ君が2投目でヒット。しかしまぁ、こんなに人が多くて釣りまくられている堰堤の下に、こんな大きなイワナが潜んでいたとは、なんとも不思議ですね。(写真は、左:佐谷名人、中央:堰堤中段に降りて釣る渡辺会長)



そして、この日も念のため、堰堤の上のプールも釣ってはみましたが、魚影も見えないありさまで全くのノーバイト。やはり魚たちは上流へ上流へと移動の真っ最中の様でした。別の堰堤下でも小さなイワナを何尾か釣り上げ、人が異常に多い釣り場の割には意外な釣果に恵まれ、なんとなく満足して帰ってきました。今シーズンは春先からどこもとても良く釣れています。雑誌の記事にも魚影復活を伝えるものがとても多く見られます。ここ数年の釣りブームもようやく終息の兆しを見せ、いよいよ来年からは、本当の釣り師の時代になりそうです。来期に期待を込めて、今シーズン最後の山形渓遊会クラブ釣行を終えました。

ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い) アキノキリンソウ(秋の麒麟草) オクトリカブト(奥鳥兜・猛毒)

【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、Wavy5S鮎(AJ)、SugarDeep50SP、Athlete55S鮎、他