8月10〜12日の3日間、夏休みを利用して山形渓遊会の夏季釣行を実施しました。第二日目は、最近新たに渓遊会に入会された2人のメンバーを加えて、朝日川水系の比較的大勢でも楽しめる釣り場を選んで入渓しました。大所帯での釣りのため、分かれて入渓せざるを得ず、メンバー全員の釣り姿をデジカメに納められなかったのがとても残念でしたが、全員に釣果も見られ、無事に夏のクラブ釣行を終えることができました。
この日のメンバーは下写真の通りです。上段左から、小島さん(山形市)、松田さん(寒河江市)、本山氏の友人・香川さん(岐阜市)、本山事務局長(岐阜市)、下段左から、佐谷名人(山形市)、渡辺会長(山形市)、K++(山形市)の7名です。松田さんと小嶋さんは、今年になって山形渓遊会に入会して頂いた新人さんです。本山さんと香川さんには、わざわざ岐阜から集まって頂きました。遠い所、ご苦労様でした。 この日は釣り場の選定に迷いました。なにせ大所帯ですし、山岳渓流には初心者の人も多いですので、渓が沢山有って入渓と遡行がそれほど難しくない釣り場を選定しなければなりません。結局、釣り場は県内外の渓流に一番詳しい渡辺会長のお薦めで、赤川水系のこの渓流にしましたが、それでも入渓には結構な苦労の伴なうポイントです。余りにも簡単に入渓できるところは魚が居ませんし、バランスが難しいですね。この渓流は道路から標高差約200mを、ゼンマイ道を伝って一気に30分ほどかけて下降しなければなりません。降りるのはまだ楽ですが、「行きは良い良い帰りは恐い・・・」 汗だくで降り立った渓流は、数年前と比べるとガラリと渓相が変わってしまっていました。河原に下りた時点で、松田さん・小島さん・会長は下流部へ、他は上流部へと分かれて入渓することにしました。しかし、つらい山登りの伴なう渓流の割には魚影が殆ど見られません。居ても型が非常に小さく、ルアーには殆ど全くで、餌釣りでも20cm前後がたまに掛かってくるだけでした。渡辺会長の話では、数年前には綺麗な渓相で、魚影も濃かったとのこと。首を傾げるばかりです。下流部へ行った筈の渡辺会長も、1時間ほどで我々上流組に合流してきました。下流ではあまり釣れなかった様です。 後ほど聞いた情報では、下流へ入った松田・小島組にも、ずっと下流部では泣き尺を含めたかなりな釣果があった様です。どうやら入渓点の前後だけが魚影が薄くなっている様でした。そして、しばらく釣り遡ってみて、魚影の薄いその原因が判りました。大規模な「山抜け」(斜面の崩落)が渓相を一変させ、渓魚の棲みづらい環境を作り出していた様なのです。こんな風に山抜けが起きると、渓流に溜まった土砂で水の流れが大幅に変わり、また濁りや悪水のために、崩落部の下流の渓魚が居なくなってしまうことが良くあるのです。ただ、この山抜けは2年前に起きたとのことで、その後は落ち着きを見せ、現在は渓魚が復活しつつある状態の様でした。 しかし私の様な堰堤プールの釣り師には、こんな山抜けも嬉しい現象になることがあります。大量の土砂は渓流を堰き止め、人工の堰堤と同じ様な大きなプールを作ることが多いのです。そして、そのプールに渓魚がたっぷりと溜まっていて、堰堤プールと同じ様な釣りを楽しめることが有るのです。山抜けのすぐ上流部に写真の様な大きなプールを見付けて大喜びで早速ルアーを投げて見ると、案の定、尺近いイワナの入れ食いでした。こんなプールでも「煙幕理論」がそのまま通用しており、写真下左の様な、なんでも無い様なブッシュの周りに沢山のイワナが溜まっていました。 こういうポイントは普通の釣り師たちもまったく竿を入れない様で、このブッシュ周りだけで22〜30cmのイワナを12尾も連続ヒット。目の前にいた地元の餌釣り師や渡辺会長・本山事務局長も目がすっかり点になっていました。なにせ、下流部では20cmちょっとのチビが数尾出てきただけなのです。なのに、誰もが見逃す様な、とても魚の居そうも無いポイントからゾロゾロとイワナが飛び出し、中には35cmを越える様な魚影も見え隠れしたのです。煙幕理論を理解していれば簡単に判別の付くポイントなのですが、知らない人には相当な驚きの様でした。しかしこのあと、私の釣りを見た渡辺会長が予想外の行動に出ることになるとは、誰も思っていませんでした。 さて、この渓流のハイライトは、このプールから更に500mほど上流に有るとても綺麗な大きな滝壺でした。既に地元の釣り師2名が釣ったあとでしたが、気を取り直してトライしてみます。この時点で数・型ともに一番釣っていた私は、後ろでゆっくりと休憩と食事をしながら、餌釣りの一段落するのを待ちました。本山事務局長や渡辺会長・香川さんが餌でまずトライしましたが、予想通りに滝壷の最深部を攻めていた会長の竿に33cmのまずまずのイワナがヒット。他は先行者が居たせいか、20〜25cmくらいの小物ばかりがヒットしてきます。 皆が一通り釣った後、私もルアーで攻めて見ました。たとえ先行者がいても、こういう大きなポイントでは、ルアーならまだまだ釣れるものです。案の定、餌釣りで釣っていた足元から、滝壷の深みから、白泡の脇から、次々と小さなイワナがヒットしてきて、あっという間に尺1尾を含む9尾の釣果となり、ここでも竿頭になってしまいました。春の渓遊会釣行なら、水温も冷たく、ルアー釣りが餌釣りにかなうはずがありません。竿頭は渡辺会長・最下位は私という構図が出来上がっています。しかし、夏の釣りは全く逆の様なのです。前日の源流釣行といい、今回といい、透明度の高い渓では遠投の効くルアーのほうが断然有利な様でした。 しかしここで渡辺会長が思わぬ行動に出てきました。突然、私のルアーロッドを取り上げ、ルアーフィッシングを始めたのです。どうやら昨日の源流釣行でのルアーの釣れっぷりを見て以来、私のルアーさばきをつぶさに観察、技術をしっかりと盗み取ろうとしていた様子なのです。いきなりルアーを投げたにも関わらず、ミノーの泳がせ方も竿さばきもなかなかのもの。目の前で3尾ほどのイワナを次々に釣り上げたかと思うと、最後には、なんと33cmもあるこの滝壷一番の良型イワナをWavyミノーで釣り上げてしまいました(写真下左)。 2日連続で目の前でイワナをポンポンと釣り上げれば、やはりしっかりとテクニックを盗まれてしまうものですね。ま、ルアー嫌いの会長がルアーに目覚めたのは、それはそれで素晴らしいことですし、黙ってルアーロッドを使って頂きました。ちなみに、この渓流にはなぜかニジマスも生息しており、この日一番の大物は写真上右の私の釣ったニジマス34cmでした。面目を保つにはニジマスでは少々役不足ではありましたが、ま、ここは私が竿頭と言うことで、無理やり逃げ切りました。(^_^; さて、夜は松田・小島・佐谷の各氏が用事で帰ってしまったため、残った4人だけでイワナパーティーとなりました。渓遊会では一人1〜2尾に限って、又、現地で食べる場合に限ってイワナのキープを認めています。本当は源流に入ってのキャンプが理想ですが、本日もまた車のすぐ横でキャンプです。岐阜市から駆けつけた本山事務局長とは3ヶ月振りの再開であり、自然と釣り談義に花が咲きます。3時間もかけて焚き火で空焼きにしたイワナをほうばり、あるいはイワナの骨酒を酌み交わし、夜はあっという間に更けて行きました。 しかしそれにしてもどうですか、このイワナたちの見事な輝きは! これもまたこの釣りを止められない理由の一つです。お盆休みを過ぎると東北の秋はあっと言う間にやってきます。そして、渓流釣りのシーズンもあと1ヶ月と少しを残すのみとなりました。山の奥では早くも紅葉の始まった木々も見られます。残り少ない季節を、有意義に過ごしたいものですね。 【今回使用のタックル】 シマノ TroutOneXT 50TUL-5 (5peace5ft Telescopic PackRod)、ダイワ HiCast GS30 (SpinCast Reel)、呉羽シーガーエース0.8号(4lb)、ブレットン5g金、Wavy50S鮎、Athlete55D鮎、他 |