8月10〜12日の3日間、夏休みを利用して山形渓遊会の夏季釣行を実施しました。今度こそ源流でキャンプしながら釣ってやろうと企てましたが、残念ながら、メンバーの都合がまたまた合わず、結局は日帰り釣行の繰り返しになってしまいました。第一日目は、私の良く出かける堰堤プールの有る水系の源流部へ入渓しましたが、この釣行には一つの大きな調査の目的が有りました。真夏のイワナ達は一体、どんな行動をしているのでしょうか。堰堤釣りの研究の続きでもありました。
前回の釣行レポート「猛暑と堰堤の釣り(01年7月29日)」で、今夏の猛暑が各地の堰堤プールを干上がらせてしまった事をお伝えしました。今回の釣行のこの渓流も、下流部に巨大な堰堤プールを擁していましたが、8月初にはほぼ干上がってしまい、魚たちはプールから消えていた様です。プールには何百・何千というイワナ達が生息していた筈なのですが、その魚たちは一体どこへ行ってしまったのでしょうか? この難問は、プールを釣っているだけでは、解けません。 ならばと思いついたのは、その源流部に入渓して実際に釣ってみる事でした。干上がった堰堤プールの上流ではこれまで「大釣りした」「大物が束になって釣れた」といった楽しい話が多く、我々もそれをぜひ体験してみたいものだと言う「スケベ根性」も手伝って、渡辺会長・佐谷名人と私の3人で、堰堤の上の渓流を釣り上がってみることになったと言う訳です。この渓流は流程が長く、車止めからは1時間近い歩きを要求されます。踏み跡の判り難いゼンマイ道を3人で黙々と歩き(写真上左)、付いたのは満水時の堰堤プールバックウォーターから恐らく500mほど上流のとても広い河原でした。 この渓流は、結構大きな淵が連続しており、場合によっては「泳ぎ」での突破も有り得ることから、装備は完全防水のパックを用意し、ウェーディングシューズにジャージ姿の泳いでも全く支障の無いスタイルで望みました。また、アブの猛攻を避けるため、アブ避けネットは勿論、指先だけ出る手袋まで用意しての辛い遡行となってしまいました。3人の歩く姿はまるで宇宙服を来た異星人の様です。そんな状況の中、勇んで釣り始めてはみましたが、意外にも当初の「スケベ根性」は見事に裏切られてしまいました。入渓点付近では、魚影は幾つか見られるものの餌釣りではサッパリ釣れません。それもその筈、極度な渇水で透明度は10m以上も有るのでしょう、ポイントに近づき過ぎなければならない餌釣りでは、魚たちから釣り人の姿が丸見えなのです。 ただ、堰堤の魚たちが遡上している筈の渓流にしては、当初の魚影はとても薄く、あの沢山の魚たちは一体どこへ行ってしまったのかと、首を傾げるほどでした。しかし入渓点から更に1時間・1kmほど釣り遡ったころ、ようやく私のルアーロッドに待望のヒットが有り、驚いた事にいきなり尺ピッタリの丸々と太ったイワナでした。こういった渇水した渓流では、やはり遠投の効くルアーフィッシングに部がある様です。そしてこの1尾を皮切りに、状況は一気に好転し、餌釣りにもルアー釣りにも続々と良型のイワナのヒットが続く事になりました。 釣り始めて1時間ほどの区間の魚影が極端に薄かったのは、幾つかの原因が考えられました。我々仲間の間で言う「2時間ルール」もその一つです。これは、歩いて2時間程度までは釣り人が頻繁に入渓して釣り切られてしまうため、2時間以上の奥地へ行く必要があると言う意味です。もう一つの原因は、この辺りまで渓相が広く大きく、魚がいても人影が丸見えのため、釣れなかっただけではないかと言うことでした。1時間ほど遡行したあたりから渓相が狭まり、餌釣りでもルアー釣りでも、隠れて釣れるポイントが増えたのです。 しかし、それにしても不思議です。釣れてくるイワナのサイズは25〜33cmが殆どで、なぜか20cm以下の小物が殆ど釣れてきません。それにどれも丸々と太っています。透明度の高さから言えば、小物がいれば先に喰い付いてしまうため、中〜大物はなかなか釣れないはずなのですが、どうやら小物が殆どいない様子でした。歩く途中に逃げ惑うイワナの姿を見ても、尺上ばかり。途中からは、中には40cmクラスも見えるのです。 途中で雨模様となったこともあり、今回はバックウォーターから2.5kmほどの地点までしか釣り上がる事ができませんでしたが、釣り上がるにつれ、ますます型は大きくなり、魚の数も確実に多くなりました。最終ポイントの小さな滝の下では、群れを成す尺上イワナにバカにされる結果でしたが、その数たるや目が点に成る状態。まだまだ奥地には沢山のイワナが残ってくれていることが確認でき、思ったほどは釣れなかったにも関わらず、もうそれだけで大満足でした。 今年の渇水では、7月19日の夕立を最後にこの辺りには殆ど雨が降っていません。その結果、7月末には県内の多くの堰堤が干上がり、イワナたちは堰堤プールから姿を消しました。最後の大雨から今回の釣行まで約20日、また、プールが干上がってからであれば12〜15日程度の日数が経過している訳ですが、はたしてその間に2.5kmもの距離を魚が遡上するのでしょうか? 疑問は残りますが、釣れる魚の数や形態からは、堰堤プールにいたあの沢山のイワナたちではなかったのかと、今でも思えて仕方ありません。真夏のイワナの行動に関して、今回ははっきりとした結論は出せませんでしたが、今後とも研究を続けたいと思っています。 さて最後に、気になる釣果ですが、今回はルアー釣りの私のロッドが最も良く曲がってくれ、最大31cmを頭に2桁以上と言う結果でした。堰堤釣りに比べれば数も型もいまいちですが、渓流の釣りにしてはまずまずの結果だったと思えます。いつもの渓遊会釣行であれば、餌釣りの会長が一番の竿頭となり、ルアー釣りの私はいつも最下位となるところですが、今回の様に透明度が高くて広い渓流では、ルアーには歯が立たなかった様でした。ただ、餌竿の届くポイントでは全て餌釣り班に先にポイントを譲っていたため、この日の一番の大物33cm2尾は、やはり渡辺会長が仕留めていました。(写真下左は、餌にされてしまった小さなバッタ) 午後からはかなり強い雨の中、増水の恐怖に煽り立てられる様に大急ぎでキャンプ場に戻ってきました。途中、プールに飛び込んで泳いだりの場面も有ったのですが、残念ながらデジカメを防水パックに仕舞い込んでの急下降でしたので、画像が無いのがとても残念です。真夏の渓流を泳いだりするのはこの年の私には少々キツイのですが、でも、それ以上にこんなに楽しいのはなぜなのでしょう? まだまだこの釣りを止められそうには無さそうです。(写真下右は山菜のウルイ[オオバギボウシ]の花) 【今回使用のタックル】 シマノ TroutOneXT 50TUL-5 (5peace5ft Telescopic PackRod)、ダイワ HiCast GS30 (SpinCast Reel)、呉羽シーガーエース0.8号(4lb)、ブレットン5g金、Wavy50S鮎、Athlete55D鮎、他 |