ホームページビジターである神戸市の黒瀬さんを迎えて、県内の幾つかの釣り場を回ってきました。初日は私のホームグランドの堰堤で、2人そろって40cmオーバーのイワナをゲットでき、大喜び。しかし土曜午後からの大雨で、その後は少々辛い釣りを強いられました。それでも2日とも2人とも、しっかりとイワナの顔を拝むことができ、まだまだ今年は良く釣れ続けていることを、あらためて実感してきました。 写真は神戸市在住の黒瀬さん(ハンドル:kurochan)。彼とは1年ほど前からメイルで情報交換をしている間柄です。彼はここ数年、小国方面を中心に年に数回も山形へ釣行に来ておられるようなのです。そして昨年の8月、彼からとても貴重な情報を得て、昨年の一番の大イワナを某渓流で釣り上げることができています(Report:「渓流でも魚影復活のイワナ45cm」参照)。そんな経緯が有れば当然、「こちらの釣り場をぜひ案内しましょう」という話が持ち上がるもの。そして、今回のミニオフとなったわけです。お会いするのはもちろん始めてだったのですが、メイルである程度の気心が判っていて、まるで昔からの知り合いの様な感覚でした。 【6月30日(土)】 初日は私のホームグランドの堰堤で大物を狙いました。彼には昨年お世話になっていますので、ここでは何が何でも大物を釣り上げてもらわないといけません。堰堤もポイントも現在一番良く釣れている釣り場へと案内しました。この日は深夜から移動し、フローターを準備して、釣り始めたのは午前5時過ぎ。まだ朝靄の漂う中、ポイントに入ってまず最初に黒瀬さんのロッドがしなりました(写真下左)。残念ながら魚はそれほど大きくはなく、しかも足元で惜しくもバラしてしまいました。その後、今度は私のロッドが曲がり、36cmのまずまずのイワナをゲット(写真下中央)。非常に順調な滑り出しです。 そして釣り始めて30分ほどたった6時ころ、今度は黒瀬さんのロッドが大きく曲がりました(写真上右)。待望の大物の当たりです。ガッチリと針掛りしていた様子で、取り込みも全く問題なく、計測してみると40.0cmちょうどの顔付きも魚体も野生そのままのイワナでした(写真下左/中央)。1尾の大物が出ると、あとは気が楽になるものです。気軽に釣りを再開すると、すぐに私のロッドが更に大きな曲がりを見せ、今度は41cmのこれまた立派な野生のイワナ。35cmくらいまでは普通に釣れるだろうと睨んではおりましたが、釣り始めてたった1時間ほどの間で、はてさて、こんなにうまく行くとは思ってもみませんでした。 しかしどうですか、下写真のイワナの立派な事! これまで何回もオフラインミーティングを行ってきましたが、目の前で40cmオーバーのイワナが釣れたのは、銀山湖でのレイクトローリングの時くらいでしょうか、堰堤釣りではもちろん始めてでした。そして、2人で仲良く1尾づつの大物が出るというラッキーは、今回が全くの始めてです。もうこんなに嬉しいことはありませんね。2人で仲良く記念写真を撮り合い、桃源郷を「ふたりじめ」でした。 あまり贅沢を言うとお叱りを受けるかもしれませんが、大物はすぐにゲットできたものの、実の所、思ったほどの数が上がらない日でも有りました。2週間ほど前に来た時には、同じポイントで〜35cmを15尾も釣り上げていたため、ちょっと肩透かしだったのです。実を言うと、この週は火曜から金曜まで雨が降りっぱなしで、恐らく付近の渓流は4日間、ずっと濁りが入り続けていたものと思われます。そのため魚たちはみなハラペコで、朝から大物が珍しく活動していたのではないかと考えられました。そんな時に目の前を美味しそうなミノーを泳がせれば、すぐにヒットして当たり前だったのです。 しかし、普段は寝ていた大物がポイント周辺をウロチョロすれば、いつもの小物(と言っても尺前後)たちは物陰に隠れてしまいます。実はこの2尾の40cmオーバーを釣り上げた後も、40〜45cmクラスの大物が3回ほどルアーをチェイスしてきているのを目撃しています。沢山の大物がポイントを占領してしまい、小物が蹴散らされてしまっていたため、数が出なかったのではないかと考えられました。しかしなんですね、このポイントは確かに良く釣れますが、こんなに沢山の大物がいたのですね。本当は「居るけど釣れないだけ」だったんですね。あな、恐ろしや。 この日のヒットルアーは上の写真の3つのミノー達でした。黒瀬さんの40cmはZenith製の「Hyper-MinnowSP50緑」(上左)、私の41cmはSugarDeep50F(上中央)、他にはお馴染みのWavy50S-AJ(上右)も大活躍でした。いずれも少し沈めて深い層を強めのトゥィッチングで誘ったときにヒットしています。この日は8時半ころまでの3時間余りで、2人で40cmオーバー2尾、30〜40cm6尾、尺以下2尾の合計10尾と、数は少なめですが、まずまずの大漁でした。釣れたイワナたちは「また来年、私のロッドにヒットしてくれよ!」と、全てリリース(写真下中央)しました。 話は少し脇道にそれますが、今年はなぜか40cm前後のイワナが多く釣れています。今年に入ってからの大物の釣果を振り返ってみると、46cm1尾、41cm3尾、40cm3尾、39cm1尾、36cm5尾、35cm2尾・・・・となっており、「10cm大きくなると釣れる確率が1/10になる法則」から考えると、明らかに40cm前後のイワナが突出して多いことが判ります。バラした魚や友人の釣り上げたものをみても、40cm前後が圧倒的に多いのです。一体どうしてなのでしょう。理由ははっきりしませんが、次の様な推測をしています。
4月7日付でレポートした矢野経済研究所のスポーツ産業白書の内容を思い出してみて下さい。釣り具の売上は97年をピークに98年以降、急激に斜陽化してきました。恐らく間違いなく釣り人口もこの売上とパラレルに推移しているものと考えられます。96〜97年当時は釣り人も多く、放流あるいは自然産卵されたイワナ達はことごとく釣り切られ、どこへ行ってもサッパリ釣れなかったものです。ところが98年からの急激な釣り人の減少とともに一気に魚が残り始め、97〜98年に産卵されたイワナ達が、3〜4年経った今、35〜40cm前後まで育っていると考えられるのです。ちなみに東北ではイワナは年間約10cm程の成長をします。誠に勝手な推測ではありますが、来年はこのイワナ達が、更に大きくなって50cmオーバーに育って我々を楽しませてくれるのでしょうか? 大いに期待したいですね。 【7月1日(日)】 こうして楽しく過ごさせて頂いた土曜日の午前中でしたが、午後からは強烈な低気圧の通過で強風+大雨になってしまいました。黒瀬さんには、折角遠くから遊びに来て頂いているのに、これでは余りにももったいないお天気です。午後からは小国方面の別の渓流へと移動しましたが、結局は雨と強風のために敢え無く退散。キャンプの予定も取り止めて民宿へと避難せざるを得ませんでした。そして、翌日の某本流が上の写真です。水量はいつもの何倍もあり、川幅一杯に流れる濁流は近づくことすら出来ませんでした。 しかし、それでも簡単に諦める訳には行きません。幸いにもこの付近の渓流は強い濁りがあまり入らず、増水の割にはまだ釣りが可能です。脇に出来た僅かな巻き込みを探してはスピナーを投げ込む作戦で、なんとかイワナの顔を見る事だけはできました。上左の写真は濁流のすぐ脇で必死でルアーを投げる黒瀬さんと、右は銀ピカの最も目立つ「ブレットン5g」に来た20cmちょっとのイワナです。こういう時は、高価なミノーもスプーンも殆ど役に立ちません。目立つスピナーを、同じポイントに深さを変えながら何十回となく粘って投げ続けることで、イワナが出てきます。
場所を更に移動して、濁りのあまり入っていないであろう堰堤プールも釣ってみました。ここは普段はジンクリアな水で滅多に濁りが入らないのですが、この日は透明度1m程度のかなり厳しい状態でした。付近一帯をくまなく探って行くと、相当な濁りにも関わらず、意外にも魚たちはある特定の狭い範囲に、しかも底付近に集まっていることが判りました。底付近のちょっとした窪みに、透明度の高い水が残っていて、そこに魚たちが逃げ込んでいたのかも知れません。魚の定位する場所が判れば、あとはそこを集中的に狙うだけです。しつこく目立つミノーを沈めてリーリングすることで、下写真の様に、尺イワナを含めて、なんとか数尾の魚を釣り上げることができました。 さて、山形県もあと3週間ほどで梅雨が明ける予定です(梅雨明けの平年日は7月23日)。堰堤プールの釣りも、梅雨が明けると透明度が上がってしまい、もうそれほどは釣れなくなってしまいます。そして、9月の秋雨以降は残念ながら、型も数も見劣りがしてしまうのが普通です。堰堤プールで大物を狙うなら、梅雨明けまでの2週間ほどがラストチャンスです。皆さんも今年最後のチャンスをぜひ、狙ってみられては如何でしょうか。 【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、Wavy5S鮎(AJ)、SugarDeep50F、Bretton5g銀、他 |