山形渓遊会の渡辺会長と2人で、新緑の源流釣りを楽しんできました。流程10kmほどの渓流の核心部は数キロのゴルジュ帯となり、雪代の収まりかけるこの時期だけがチャンスの釣りでした。ヘツリと腰までの渡渉の連続の中、素晴らしい渓相と、眩しいばかりの新緑と、くるしいほどの初夏の香り、そして予想通りにすこぶる濃い魚影を満喫してきました。 本当はキャンプをしながら1泊の行程で源流に入るのが楽しいのですが、この時期はまだまだ寒くて年寄りの私には勇気が出ません。かと言って、1ヶ月もすると釣り切られて魚影が見られなくなってしまいそうです。会長に誘われたものの、結局、土曜だけの日帰り釣行になってしまいました。6月1日金曜の夜に釣り場の車止めまで移動し、仮眠の後、朝一番に歩き始めて源流部へ入り込む計画です。実を言うと1日は私の50歳の誕生日。峪のせせらぎを聞きながら半世紀を迎えることになるとは、思ってもみませんでした。 この渓流は流程10kmほどの中規模のもので、車止めの下からゴルジュ帯が数キロも連続しています。林道を1時間ほど歩いてから渓流に降り立つと、そこには素晴らしい風景が広がっていました。源流とは言え水量は豊富で、雪代の消えた後でないと入渓・渡渉は不可能です。かと言って、あと1ヶ月もすれば釣り切られてしまい、魚影が見えなくなってしまいます。実を言うと今年この渓の雪代が消えたのは5月の中旬ころ、少し出遅れた感じもしていたのですが、釣り始めてすぐに魚影が十分残っていることが判り、ホッとしました。 この日は水温が5℃と、予想していたよりもかなり低い状態でした。木曜夜半に少しばかりの雨が降っており、源頭部にある残雪が水温を急激に下げたのでしょう。そのためか、会長の餌釣りの竿には愛想の良かったイワナ君たちも、私のルアーロッドには少々つれない状態でした。足元までルアーをチェイスしてきても、結局ヒットに至らないまま引き返して行く魚の姿に、何度も悔しい思いをさせられました。おまけに私は化繊のズボンにウェーディングシューズだけというスタイルだったため、腰までの渡渉時には、頭痛がするほどの冷たさに難儀させられました。 上の写真は、入渓点付近の沢で出た29cmのイワナ。下の写真は入渓点の大淵で出た28cm。魚影が濃すぎる時は、たとえ大物がいても先に中型以下のイワナが喰い付いてしまうため、このサイズばかりが多く釣れてくるものです。ルアーを遠投すると35cmほどもある結構な大物イワナのチェイスも見られたのですが、釣れてくるのは尺足らずばかり。それでも会長の餌釣りにはまだ反応は良好で、彼ばかりが尺オーバーを釣っていました。私はと言えば、結局は最大でも28cm止まり。悔しい! この渓流は、下写真の様なゴルジュ帯が連続しています。遠くから見ると両岸が厳しく切り立っていて、とても遡行は無理かなと思えるのですが、意外にも足場と成り得る岩の割れ目が多く存在します。しかも要所々々には遡行用のロープが用意されていて、やってみると意外と簡単に釣り上がれました。こういう準備の良い渓流は、実は人も多くて釣り切られ易いものです。実際、2年前に来たときには、5月の中旬でも入渓点付近には全く魚影が見られませんでした。今年はやはり、源流部でも釣り人が少ない様です。 さて、下の写真の釣り人は誰でしょう? 私は単独釣行が多い上に、連れ立って釣りに行っても私ばかりがカメラマンをやってしまうため、滅多に自分の釣り姿を写真に収められることがありません。今回は会長にデジカメを持ってもらい、何枚か撮影して貰うことができました。今回は自分の釣り姿を含めた壁紙を掲載することができ、なんとも嬉しい限りです。下の写真では、淵の最上流側の白い泡の部分にブレットンやWavyを投げ込み、斜めに足元までルアーを引いてきます。 水温が低いため、超スローにリトリーブしなければ喰い付いてはくれません。ルアーが足元より少し下流側まで流れ、U字型にターンするころにイワナがどこからともなく現れてヒットします。この日は水温が低くて、足元数十cmの所でチラリとこちらを見ただけで、悠然と引き返して行くイワナの姿を数多く見せられてしまいました。活性が高ければ、恐らくこれらのイワナは全てヒットしていたハズ。ま、コンディションだけは諦めるしかありません。 結局、会長は尺物3尾を含め20尾以上の釣果を納め、私はカメラマンが忙しい事もあって最大28cmを頭に5尾の釣果でした。ただここでは殆どが25cm以上で、しかも写真の様に丸々と太っていたため、ヒットの瞬間はまるで尺上のイワナの様な感触で、とても楽しい思いをする事ができました。恐らくこの渓流は餌や水の状態が非常によいのでしょう。人がとても多いにも関わらず、魚の状態は殆ど完璧でした。 実を言うと、この渓流の下部にある堰堤プールでも、過去に何度か釣りをしています。思い出してみればプールでの釣果も、尺前後の丸々と太った完璧な魚体のイワナばかりが日に50尾近くも釣れたものです。その時は地元の漁協さんが一生懸命に放流をしてくれているのだろうと思っていましたが、どうやらそれは間違いの様です。これだけの渓魚を上流に抱えた渓流なら、尺前後ばかりが束になって釣れても全く不思議ではありません。 それにしてもこの時期の源流は爽快ですね。眩しいばかりの新緑と芽吹いたばかりの草木の香り。アブや蚊などの邪魔な虫も皆無で、遡行していてもすこぶる気持ちの良いものです。釣果だけを問うのであれば、堰堤プールやダム湖の釣りには到底勝てるものではありません。しかし、他の釣りには見られない魅力が源流には確かに存在します。歳のせいで足腰が弱くなりつつある私ですが、歩けるうちはなんとかこの釣りを続けて行きたいと、改めて誓い直したのでした。 【今回使用のタックル】 シマノ TroutOneXT 50TUL-5 (5peace5ft Telescopic PackRod)、ダイワ HiCast GS30 (SpinCast Reel)、呉羽シーガーエース0.8号(4lb)、ブレットン5g金、BabyMinnow2.5g、Wavy5S-AJ、MM.Minnow48S、他 |