4月27日から5月6日までの長いゴールデンウィークを利用して、あちこちと釣り歩いてきました。連休釣行のレポートを、3回に分けてお送りしています。連休の最後はホームグラウンドの寒河江近辺でのんびりと釣りを楽しむことにしました。第三弾は5月4-6日の堰堤プールでの大物釣りの模様です。同時に今年の今後の釣況についても少しだけ占ってみたいと思います。 【5月4日】 長い連休を利用して新潟方面へとあちこち釣り歩いてきましたが、最後はやはりホームグラウンドの釣り場が恋しくなるものです。実はちょっと気になっていたことがありました。ここ数年ずっと観察を続けていた寒河江近辺の幾つかの堰堤プールの魚の状態がとても気になっていて、早く堰堤を釣ってみたかったのです。しかし、この冬は積雪がとても多く、殆どの堰堤プールで4月末になっても入渓できない状態が続いていました。連休の最後を利用して、ホームグラウンドの複数の堰堤プールの魚影を確認することにした訳です。 この日訪れた堰堤プールは、実は数年前まで私がこの付近で最も良く出かけていた釣り場です。数・型ともに一番の実績のある釣り場だったのですが、雑誌に記事を書いたりこのホームページで釣り方を紹介したりしているうちに、どんどんと人が増え、ここ1〜2年は全く釣れない状態になっていました。魚が全く見られなくなった主な原因は、ごく一部の餌釣り師による乱獲です。彼らは日に数百尾ものイワナをごっそりと持ち帰り、それを毎週の様に繰り返すことで、この流域のイワナを全て捕り尽くして行きます。彼らが繰り返しやって来ると、その上流域まで含めて渓全体が全く魚影の見られない状態になってしまう様です。こういった事態を防ぐためには、早急に尾数制限を設けるなどして、彼らの乱獲を阻止する必要があると考えられるのですが、さて、漁業組合さんは私の言うことを聞いてくれるんでしょうか?(実は、本年2月にこの件に関して、最上第二漁協と県漁連に対して、申し入れをしています。) こうして全く釣れなくなっていた堰堤プールですので、正直言ってほとんど何も釣れないのではないかと期待もせずにいつものポイントで釣り始めました。しかし、ここでも釣り始めてすぐにビックリさせられました。型は大きくはないのですが、最初の1時間ほどでなんと6尾のイワナが殆ど入れ食い状態でした。ただ、この日は3時過ぎから釣り始めたため、その後は良いお天気で強い濁りの雪代が流入してきたためピタリと釣れなくなってしまいました。いずれのイワナも25〜28cm程度の小型ですが、数は相当入っている様でした。どうやら魚影が戻りつつある様でした。 【5月5日】 翌日は家族サービスも無く、朝から出かけることができました。ただ、寝坊をしてしまい大井沢近辺に到着したのは午前10時ころ。このところ夜明けとともに釣り始めた記憶が殆ど無いのは、歳のせいなんでしょうか、最近はどうも気合いが入りません。この日目指した堰堤プールは、残念ながらまだ林道に残雪が多く残っていて、多少の歩きを要求されました。左下写真の様に、フローターを担いで車の入れない林道を汗だくになりながら、テクテクと30分ほども歩かなければなりません。気合いの入らない歳老いた釣り師には、結構こたえます。 しかし、苦労はしてみるものですね。フローターをプールに浮かべて釣り始めると、すぐにその苦労が報われました。この堰堤プールはもの凄く広くて、殆どダム湖の様な雰囲気です。普通に見ればどこを釣って良いのかさっぱり判らない状態なのですが、しかししっかりと煙幕理論に基づいたポイントが形成されていました。ちょっとした水中の起伏の下流側にあるストラクチャーに、イワナたちが沢山付いていました。下の写真の様な尺足らずのイワナが次々とヒット。真っ昼間なのにすぐに何尾かの釣果が見られました。 普通一つのポイントでは、何尾かの釣果が見られるとその後は小物が釣れるだけで大物は姿を見せなくなってしまうものです。しかし、この日は不思議なことが起こりました。5尾ほど釣った後に、同じポイントで下写真のジャスト40cmのイワナが飛び出して来たのです。それも真昼間の13時ころ。水温は6℃ととても低く、暖かい日差しのなかでこういった大物がのろのろと動き始めたのでしょうか。ポイントは大きな朽ちた木の沈んでいる所で、どうやら水中にある沢山の木の根の隙間に、数多くのイワナ達が隠れていた様でした。 ところでこのイワナの写真を良くご覧下さい。新潟のダム湖で4月15日には39cm、4月27日にも41cmを釣り上げていますが、ぜひそのときの写真と見比べてみて頂きたいのです。同サイズにも関わらず、魚体も色も顔つきも、知らない人が見ればまるで別種の魚ではないかと思ってしまうほど様子が異なっていますね。ダム湖の大物はどちらかと言うとアメマスに似ていますが、堰堤の大物は立派なイワナ本来の風貌を保っています。実は堰堤の大物は、濁った雪代や大雨の濁流で上流から流されてきた魚たちなのです(煙幕理論参照)。ダム湖と違って堰堤の大物は「正真正銘のイワナ」なのですね。ダム湖の釣果も嬉しいですが、私が堰堤の釣りにこだわるのは、こういった理由もあるのです。 結局この日は、尺上2尾を含む全部で11尾の釣果があり、久し振りに堰堤プールの釣りを堪能できました。しかし・・・同時に、嫌なものも見てしまいました。下の3枚の写真を良くご覧下さい。堰堤の上や岸辺から、全部で7人もの餌釣り師が竿を出していました。どうやら良く釣れるのは今のうちだけで、数週間後には又、魚影の全く見られない釣り場になってしまうのかも知れません。上の40cmのイワナも、写真を撮影してすぐにリリースしてやりましたが、節操の無い一部の釣り師にまた乱獲され、そして皆殺しにされてしまうのかと思うと、なんともやるせない気持ちになってしまうのでした。 【5月6日】 この日も朝から用事があって釣りはあきらめていたのですが、夕方少しだけ時間が空いたので、またまた大井沢に繰り出してしまいました。この日は現場到着が4時ころ。見ると既に濁流の様な雪代が流入し始めており、もう釣りの時間は殆どありません。それでも諦めずにフローターを漕ぎ出し釣り始めると、なんと第1投目でロッドをひったくる様な強烈なアタリが・・・、しかし心の準備ができていない状態だったせいか、アワセが甘く、10mほど離れたところで惜しくもバラしてしまいました。暴れる魚が一瞬だけ水面に姿を現したのですが、その大きさは悠に45cmはありました。これで今年は大物を2回もバラしています。うーーむぅ、悔しい!! 今回で連休釣行のレポートはおしまいですが、それにしても今年はあちこちでとても良く釣れています。私自身の経験でも、3月2日にイワナ36cm、4月15日に39cm(と45cm級バラシ)、4月27日に41cm、5月5日に40cm(と45cm↑バラシ)、5月1-2日は渓流で入れ食い、5月4-5日は堰堤で入れ食い・・・っと、本当に良く釣れています。加えて、このHPに来て頂いているHaruさん(サイト:Trouter Haru)はイワナ42cm、まさるさんに至っては45cmの大イワナを仕留めておられます。更に、当掲示板やFFFMLに書き込まれた意見を見ても、解禁当初はサッパリ釣れなかったにも関わらず、最近は概ねどこも良く釣れている様です。 そして、ここをご覧になっておられる皆さんの印象は如何でしょうか? 今年は釣れていますか?釣れませんか? 釣り人は減っていますか?それとも増えていますか? 考えて見れば数年前、茶パツの若者やアベックが渓流を闊歩していました。土曜ともなると河原には「にわかキャンパー」で溢れていました。でも、どうやら事態は私の予想(4月12日付レポート後半を参照)していた通りになってきている様です。ベテラン釣り師はそう魚を殺しません。魚は十分に残っています。ブームが去った今、本当の釣り師の時代がようやく戻って来ているのではないでしょうか。 さて、連休後半も沢山の素晴らしい景色や花の写真を撮影してきました。右上の写真は、とても珍しい白花のカタクリですが、この写真も含めて幾つかの壁紙画像を用意しています。ぜひお楽しみ下さい。東北は今、一年で最もエキサイティングな季節を迎えようとしています。雪代に磨かれた渓魚たちが、本当の釣り師たちを待ち受けています。これから2ヶ月ほど、大いに渓流を楽しみたいものですね。[次回は「銀山湖のレイクトローリング」に続きます。] 【今回使用のタックル】ミッチェルTroutia730ft、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、Kルアー3cm/5cm/緑、Wavy5S鮎(AJ)、他 |