単独釣行レポート

早春のダム湖の釣り 2001年4月15日



今年も残雪の多さにうんざりして、比較的積雪の少ない新潟県のダム湖へと繰り出しました。思い出してみれば、昨年も残雪が異常に多く、全く同じ日に同様のダム湖に出かけ、38cmほどのイワナを釣り上げています。今回の目的の一つは、この時期のダム湖にはもっと大物がいるのではないか?、それを釣り上げることは出来ないか?、でした。そして、予想通りの大物が棲息している事だけは確認できましたが、敵もさるもの、そうは簡単には釣らせてはくれませんでした。




しかし今年も山には残雪が多いですね。お陰で寒河江地区の堰堤にはカンジキを履いての長時間の歩きを要求され、この歳の私にはもう既に限界を超えています。今年も同じ思いで雪の少ない新潟県に逃げ出しました。山形県内ではこの所の陽気で既に昨年よりも残雪は少なくなっていますが、ここ関川村の山間部では、昨年よりやや多い程度でした(写真左/中央)。今年は普段降らない地域に沢山雪が降っており、ここでもその兆候が見られる様です。


このダム湖は漁協組合の活動が非常に盛んなため、ダム下流部にも上流部にも、毎年大量の渓魚の放流が行われている様です。友人の間でもこのダム湖で釣れたイワナの話題が幾つか出てきます。しかしいずれも〜35cm程度までの中型の釣果が中心で、40cmを超える様な大物の話題は見られません。昨年も全く同じ日にこのダム湖を訪れ釣りをしていますが、フローターを使ってまぐれで38cmを上げています。しかし普通、尺前後かそれ以上の中型が沢山釣れる様な釣り場であれば、間違いなく40cmオーバーも混じっているハズなのです。今回の狙いは、ズバリ「目指せ40cmオーバー!」でした。

前日の夜から山形市の自宅を出発し、深夜にダム湖畔に到着、仮眠をして早朝から釣りをする計画です。しかし、この日は朝からなぜか不運続きで、何をやっても全てうまく行かず失敗ばかりでした。早朝目覚めたのは6時頃、夜明けとともに釣り開始のつもりが既に明る過ぎます。おまけに凄い強風でルアーがマトモに投げられません。フローターを用意して漕ぎ出しましたが、風に流されてヒヤヒヤもんです。おまけに、判っていながらついついバックウォーター方面に釣りに行ってしまい、3℃の凍える様な水で1時間ちょっとで退散、むろん、釣果は有りません。なのに、その間に岸から釣りをしていた人には、しっかりと3尾の釣果だったとか。


私もフローターを陸に上げ、同じ様に岸からスプーンを投げましたが、今度はお気に入りのミッチェルのロッドチップがポキリ。それでも懲りずにロッドをWelnnerに持ち替えて釣り続けましたが、尺くらいの魚が1尾だけヒットしたもののすぐにバラしてしまい、あとが続きませんでした。本当に何をやってもうまく行きません。最悪の日です。こういう時は車でフテ寝して、頭をスッキリと切り替えるに限ります。11時ころから2時近くまで、ポカポカのオデッセイのベッドルームでビールを呑んで爆睡タイム。やーーしかし、夜討ち朝駆けの時の昼寝ほど気持ちの良いものはありませんね。ひょっとしたら、この快感が忘れられなくて、また釣りに出かけているのかも知れません。

日が僅かに傾き始めた午後2時ころ、戦闘を再開しました。この時、すっきりした頭脳で少々考えました。実はフローターで漕いで行ったとき、バックウォーターは3℃だったのに対し、上記の釣り人が釣っていた辺りの水温は実に6℃もあったのです。この水温分布は昨年の私のレポートを見ても全く同じで、魚たちは水温の高い場所に逃げ込んでいるのではないかと考えました。しかも今年は特に気温が高い日が多く、濁流の様な雪代が定期的に入り込んでいるため、流れのある部分にはもう魚は付いていないのではないかと考えました。


この日、風は強いもののとても良く晴れていました。午前中の岸からの釣り人は比較的浅いところでイワナをヒットさせていたのですが、明るくなるとともに釣れなくなり帰って行きました。これは、昼間は明る過ぎてルアーやラインを見破られてしまうからでしょう。どうせ浅場には小物しかいませんので、大物狙いも兼ねて、思い切って10m以上の深い場所を攻めてみることにしました。

そこでシンキングミノーを、しかも出来るだけ目立たない色のものを、カウントダウンで底付近まで沈め、ゆっくりとしかしトリッキィーにトゥィッチングして誘うことにしました。スプーンでも良いのですが、明るい昼間は動きが単調すぎて見破られる可能性が高いからです。幸いにも水位の低い時に、この釣り場の地形を何度も見ていて、だいたいの深さも駆け上がりの形も全部了解済みです。お馴染みのWavy50Sゴースト鮎を、風と逆方向に斜めに遠投してカウントダウンは約20秒(10〜15m)、根掛かり覚悟のまさに背水の陣です。


しかし、この根掛かり覚悟のどん深狙いが大当たりしました。岸辺をゆっくり歩きながら遠投とトゥィッチングを数回繰り返したところで、突然、ガガッっとロッドを引ったくる様な強烈なアタリがあり、すぐにドラグが唸り始めました。しかしこの時、またしても不運、というより馬鹿なミスをしていました。一つは、アタリが強すぎて、ヒットの瞬間に適切な合わせ(ヒットの瞬間にロッドをあおってフックを口に確実に食い込ませる動作)を入れることができなかったのです。もう一つはうっかりズック靴を履いたままウェーダーも履かずに釣りをしていて、ご覧の様な急な斜面では、水に入り込んでのランディングは不可能です。


ようやく足元50cmまで魚をよせて来た時、どうやってランディングしようかと一瞬の躊躇をした瞬間でした。魚が大きく反転してフックが外れ、魚はほんの1秒ほどこちらを睨みつけた後、深場へとダッシュして行きました。その大きさは遥かに40cm以上、恐らく45cmは有る丸々と太った素晴らしい魚体のイワナでした。あまりの悔しさに、本当にその場でジダンダを踏んでしまいました。失敗続きの自分に嫌気がさしてきました。もう帰ろうかとも思いました。しかしまだ時間はたっぷりとあります。プラスに考えれば、この日の魚の行動は把握できた訳ですので、一旦車に戻ってビールを呑んで、自分の頭と釣り場を休ませてから同じ釣り方で同じ区間を攻めてみることにしました。滅多に45cmものイワナは出てくれはしませんが、まだまだ釣れる可能性は残っています。


3時過ぎ、再度戦闘開始です。途中、貴重なWavyを1個ロスしたものの、釣り始めて30分ほど経過したとき、先ほどのポイントのすぐ近くで、また同じ様な明確だが少し弱いアタリがありました。今度はすぐに2回ほど「追い合わせ」(魚が向こうを向いている時にロッドを強くあおってフックを口にがっちり食い込ませる動作)を行い、水中に少し立ちこみ完璧なランディングの体制です。しかし釣れて来たイワナの大きさを見て少々がっかりでした。何回計ってみても40cmに5mmほど足りない「泣き40cm」なのです。目標達成まで98%のまま、その後は猛烈な強風が吹き始め、雨も降って来たため、17時ころ釣り場を後にしました。


さて、今年もゴールデンウィークを挟んでダム湖のルアーフィッシングの最盛期が訪れました。こういった小さなダム湖では、4月中はまだ水位も低く水温も低く、岸からの釣りがまだまだ可能です。やがて透明度の上がる頃には、次第にワカサギなどのベイトフィッシュに依存したポイントに移動して行くものと思われます。これからの約1ヶ月間がダム湖での超大物のチャンスです。みなさんも一度トライされてみては如何でしょうか。(写真は左から、キバナノアマナ[黄花の甘菜]、キクザキイチゲ[菊咲一華]、福寿草と菊咲一華)


東北南部は今、まさに春爛漫、桜が満開です。今回も幾つかの美しい野草の花を撮影することが出来ました。また、今回は上記のイワナのクローズアップ写真を幾つか撮影してきました。写真館には、これまでとは少し雰囲気の違う壁紙を用意することが出来ました。ぜひお楽しみ下さい。(写真右端は、霞城公園[山形城址:山形市]の満開の桜)

【今回使用のタックル】
Wellner8ft TroutLod、ミッチェルTroutia730ft、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、自作Kルアー5/6cm緑/赤、Wavy50/60S鮎、AthleteMinnow55S鮎、CortacSpoon10g/7g、他