山形をはじめ、殆どの地域で渓流釣り解禁から1ヶ月が経過しましたが、皆さんの今シーズンの釣果は如何ですか? それにしても、今年は周囲からあまり良い話が聞こえてきませんね。北からも南からも、「今年は釣れない」「どこへ行っても魚影が見えない」「解禁直後だけ釣れたがその後はサッパリ」と言った声ばかりが聞こえて来る様です。さて、今年の渓流釣りは一体どこへ行くのでしょうか。今シーズンを占いながら、堰堤の釣りや寒河江C&R区間の話題をお届け致しましょう。 私自身はと言うと、この3月は個人的にとても忙しかったため、あまり釣りに出かけることが出来ませんでした。加えて、なぜか今年は気合いがちっとも入らないのです。なぜなんでしょう? 恐らく、解禁直後にまぁまぁのイワナを釣り上げて安心した事と、あとは残雪が多くて歩く気がしない事でしょうか。実際、解禁直後に釣れた以外は、まともな釣果を殆ど見ていません。私にとって、なんとも寂しいシーズンインです。 雪で奥まで入れないので、今年は寒河江に行くとC&R区間で遊ぶ回数が多くなっていました。写真は4月7日の寒河江C&R区間付近の残雪の様子ですが、この1ヶ月で随分と融け、もうすでに半分くらいまで減っています。今年は3月以降にとても暖かい日が多く、急激に融雪が進んでいます。お陰で午後からは強烈な濁りの雪代が入り込み、全く釣りにならない日が多いのも特徴です。 もっともこういう年は私の様な堰堤プールの釣り師にはありがたいものです。強い濁りの雪代は源流から堰堤プールへと大型魚を運んでくれます。しかも、濁りで釣りになる時間帯が少なくなりますし、雪代の増水が恐ろしくて釣り師たちは源流へはおいそれと入り込めません。必然的に魚が多く残ってくれるのです。5月以降の堰堤プールの釣りがとても楽しみです。 釣れない釣れないと言いながらも、魚影の濃いC&R区間では、こまめにルアーを投げるとちゃんと釣れてくれるのでありがたいですね。もっとも4月一杯くらいまでは水温も低いため、流れの強い場所にルアーを投げても全く釣れません。プール状になった流れの緩いところを選び、シンキングミノーで底付近をユルユルと探らなければならないため、結構シビアな釣りを要求されはします。(上の写真のニジマスは3月19日に釣ったものです。)(2003年より、寒河江C&R区間では、ミノー・スプーンともに、シングルフック・バーブレスが義務付けられました。バーブレスであってもトリプルフックの使用は出来ませんのでご注意下さい。) 堰堤プールの釣りも今年は解禁直後以外はまるで釣れていません。4月7日はC&R区間で散々遊んだ後、辺りが薄暗くなってから近くの堰堤プールでようやく上の写真のジャスト30cmのイワナが釣れてくれました。しかし、なんと今年はこれがやっと2尾目の尺イワナでした。今年は気温が異常に高いためか、もうすでに釣れる時間帯が朝夕に分かれて来ています。雪代のきつい渓流では、お天気の良い日は午前10時ころまでが勝負になっている様です。 翌4月8日も懲りずに大井沢付近まで足を伸ばしています。最初に訪れた堰堤では、3人の餌釣り師がプールの回りに陣取り、とてもルアーを投げれる様な場所はありません。2つ目の堰堤では濁りが異常にきつくてまるでだめ。小さなイワナがマグレでヒットしただけ。3つ目の堰堤では、今年最初のフローターフィッシングを試みてみました。しかし水温はまだ2℃しかなく、1時間ほどで寒さに耐えられなくなって退散。魚影も全く見られませんでした。4つ目の堰堤は昨日、尺イワナを釣ったところですが、ここでも小さな小さなイワナ君がお相手をしてくれただけ。あとはC&R区間で遊ぶかなと思ったら、濁流の様な雪代が既に流れていて、あえなく退散するだけでした。 ところで、今年はあちこちから「釣れない」「魚影が見えない」「解禁直後だけであとはサッパリ」といった声ばかりが聞こえてきます。一体、何故なんでしょう? 私自身の今シーズンの予想は、初期にはあまり釣れないものの、今後は昨年以上に良く釣れる年になるのではないかと考えています。 下の図は矢野経済研究所の発行している「2001年版スポーツ産業白書」から引用したデータです。不況の影響か、96年以降、スポーツ産業全体でも売上の低下が続いていますが、その中でもスキーと釣り具が突出して低迷を続けています。今年度の釣り具の市場規模予想は2000億円余りとなっていますが、この値は実にバブル崩壊前の90年当時の水準です。 バブル崩壊後、人々は安上がりなレジャーである釣りやアウトドアへシフトしたと考えられ、91年から96年ころまでこれらの売上は急激に上昇しました。しかし97年以降は、海でも川でもサッパリ釣れない釣りに飽きられたのか、釣りだけが急激な落ち込みを見せています。同じ安価なレジャーであるアウトドアは、結果にムラが出ないためかあまり落ち込んではいません。スキー市場はバブル真っ最中に計画されたスキー場が次々と完成したことで、一時的に市場を盛り上げたものの、新しいスキー場が底をついた途端に斜陽化し始め、同時に最近はスノーボードに売上を奪われたものと考えられます。 ただ、釣り具市場の衰退にはもう一つの大きな原因も考えられます。それは最近富に激しくなった「ブラックバス害魚論」でしょう。マスコミまで巻き込んだ騒動は、バス釣り関連の売上を急激に低下させ、業界の売上全体をも押し下げていると聞いています。そして、バスから離れた釣り師がトラウトへとシフトしており、トラウト関連の売上は「低下してはいるもののそれ程でもない」とも聞きます。「スポーツ産業白書」の詳しいデータを分析できればすぐに情況が判る筈なのですが、残念ながら細かなデータは公開されておらず、推測の域を脱しえません。しかしいずれにせよ、バス釣り人口の元々少なかった東北では、バスからの転向組みはそれ程でもなく、渓流釣りに関して言えば東北の釣り人口は大幅に低下しているものと考えています。 では、なぜ今年のスタートは「釣れない話」が多いのでしょうか? それは残雪の多さではないかと考えます。考えて見れば昨年も同様の情況がありました。雪で奥へ入れない釣り師たちは、必然的に里に近い狭い範囲の釣り場に集中しているのではないでしょうか。そのため、解禁直後だけは釣れたものの、すぐに釣り切られてサッパリ・・・という訳です。 それにしても最近は良いお天気が続くものです。お陰で一気に山形も春らしくなり、野草たちが急激に花を付け始めています。上左の写真は、国道112号線西川町間沢で偶然見つけた福寿草の大群落です。ご覧の様に国道に面した民家の土手に、無数の金色の花を輝かせていました。良く見ると裏山のかなり上方にも黄色い花が見られたことから、ここは昔ながらの自生地であることが判ります。 福寿草は良く晴れた日でないと花が咲きませんが、まだ1〜2週間は楽しめる筈です。車で付近を通られたら是非鑑賞されてみては如何でしょうか。(右写真はシュンラン [春蘭] ) 【今回使用のタックル】 ミッチェルTroutia730ft、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、自作Kルアー5cm緑、Wavy50S鮎、他 |