クラブ釣行レポート

黒部源流トレッキング 2000年9月15-17日



12年振りに黒部の山歩きをしてきました。釣りのホームページで「釣れなかったレポート」をご覧頂いても面白くはないかと思うのですが、歩いてきた当の本人はとても楽しかったですので、その雰囲気だけでも味わって頂こうと、あえてレポートを書いています。残念ながら釣果には恵まれませんでしたが、秋晴れの黒四ダム周辺は、それはそれは見事な景色に包まれて、心地よい汗とともに素晴らしいトレッキングを満喫できました。




【久々の源流釣行】 9年前に山形に転勤してくる前は兵庫県に在住しており、黒部近辺の渓流へは何度か足を運んでいます。深夜、北陸自動車道を立山まで車を走らせ、和田川の源流部などを良く攻めたものです。そのころは私もまだ若く、ロクな装備も持たずにたった一人で、力任せで源流部へ入ったものでした。当時は満足できる釣果に恵まれるためには、数時間のドライブと数時間の歩きを強いられるのは当たり前で、平気で遠征を繰り返していました。


しかし山形へ転勤するや否や、源流への遠征はピタリと止めてしまいました。一つには年齢が高くなって一人で歩くのが恐くなってしまったこと、もう一つは、車のすぐ横で、関西では考えられない様な良型のイワナやヤマメが幾らでも釣れる様になったからです。しかし、あの標高の高い乾燥した空気の中で釣るイワナの感触は、今でも忘れることができません。今回、渓遊会の会長に誘われるまま、まだ見ぬ黒部ダム奥の渓流へと12年ぶりに出かけてみることにしました。


【関西電力黒部第四ダム】 黒四ダムへは、長野県の大町側から関電のトロリーバスに乗ることで、ダムサイトまで誰でも簡単に入ることが可能です。しかしダム奥への渓流には、重いザックを担いで何時間か歩かないと入れません。4時間歩いて「平の小屋」まで行き、無料の渡舟でダム対岸に渡り、更に1〜2時間ほど歩いて、付近の渓流を釣る計画です。写真は、歳に似合わない60Lと50Lのザックを担いでダムサイトを見物する会長(左)と私(中央)です。


歩き慣れない私のために、会長が食料の大部分とテント、私は自分の食料と比重の軽い荷物だけにしてもらい、私のザックの重さは会長のザックの2/3しか有りません。それでも超久し振りの山歩きは結構体にこたえるものです。2日目には足を痛めてしまい、帰り道はとんでもない苦労をさせられてしまいました。付近は国立公園内のため、河原などでのキャンプは禁止されています。1日目は小屋を利用させて頂き、2日目は黒四ロッジ横のキャンプサイトまで戻りキャンプで過ごしました。


【トレッキング】 東北地方には2100m以上の標高の高い山が無く、どちらかと言えば穏やかな山の景色の多いのが特徴です。それに比べ、ここ立山や北アルプスでは、3000m級の山々が連なっていて、付近の景色は東北とはかなり異なります。絶対に東北では見られない非常に綺麗な山の景色は、歩いていてもとても気持ち良いものです。


黒部ダム自体が標高1400mの高地にあるため、高山性の綺麗な花が無いかと目を凝らして探しながら歩きました。しかし、残念ながら野草の花の時期はもうそろそろおしまいの様で、花の種類はごく僅か。写真は、左から「タカネナデシコ」「オヤマリンドウ」「ミヤマダイモンジソウ」です。今回も何枚かの壁紙用写真を写真館に掲載しました。お楽しみ下さい。


【キャンプ】 3日目が大雨の予報だったため、2日目の夜は急いでダムサイトに近い黒四ダム山荘のキャンプサイトで過ごしました。ダム奥にはあれだけ沢山の人が入り込んでいたにも関わらず、なぜかこのキャンプ場はガラガラ。良く見るとキャンプ場内のブナの木に、ご覧のブナハリタケが沢山生えていました。誰も採る人がいない様で、早速お味噌汁に入れて出汁を取らせてもらいました。


この日は足を痛めて苦労して長時間歩いたため、キャンプ場に到着したのは夜7時すぎの真っ暗な時間になってしまいました。しかしダムサイトに近いこのキャンプ場には、整備されたトイレや水道に加えて、自動販売機でビールまで置いてありました。明日は残り40分ほど歩いて帰るだけ。当然の様にして、2人で盛大に酒盛りをして床に付いたのでした。


【そして、釣り】 さて、本題である筈の釣りのお話ですが、正直言って内容はひどいものでした。1日目は歩いてばかりで夕方に1時間ほどだけ竿を出したのですが、真新しい足跡だらけでイワナはスレっからし。透明度が非常に高かったためか、泳ぐイワナの姿が見えるのですが、全く口を使ってくれません。イワナたちはルアーはおろか、餌釣りでも全く知らんプリなのです。それでも苦労して1尾だけ、写真の小さなイワナを釣り上げることができました。写真に撮るのもはばかれる様な本当に小さな小さなイワナでした。


翌2日目は、渡辺会長は近くの沢を詰めることにし、私は本流筋を釣ることにしました。釣り始めてすぐに昨日と同じくらいの小さなイワナが2尾かかりましたが、その直後でした。50mほど上流に釣り人がスタスタと入ってきて釣り始めたのです。その場を諦めて200mほど上流に回りこみ釣り始めると、今度は上流から釣り下がって来た釣り人とバッタリ・・・これでは絶対に釣れません。


結局30分ほど竿を出しただけで、私はあっさりと釣りを止めてしまいました。ちなみに渡辺会長はと言うと、某沢の魚止めまで歩いて最大24cmをたった6尾の釣果だった様です。5時間も歩いた山奥の釣り場は、寒河江のC&Rとさして変わらぬ数の釣り人でごった返していたのです。予想通りとは言え、全く、観光地は辛いですね・・・


【今回のタックル】自作5.5ft2peaceグラスベイトロッド、ダイワ HiCast GS30 (SpinCast Reel)、呉羽シーガーエース0.8号(4lb)、Bretton5g金、BabyMinnow40S、Wavy50S鮎、他