若かった頃は連休ともなると1週間近くもあちこちを釣り歩いたものです。年齢とともに時間が取れなくなっていましたが、最近になり親と子が別行動を取る様になってきて、また釣りに時間を割くことが出来る様になってきました。今年は久し振りに3泊4日の釣り旅を堪能させて頂きました。そして、今回の釣行のキーワードは「魚影復活」でした。行く先々の渓流・堰堤で、驚くほどの魚影を確認することができました。 【渓流編:景気が魚影を復活したのか?】 17日は7年来のパソコン通信時代からの友人とのミニオフを行いました。上の写真の仲むつまじいお二人は、当時まだとても珍しかった「ネット婚」で結ばれたカップルです。現在はだんなさん(ヤマさん)の実家の広島県福山市にお住まいですが、夏休みを利用して奥さん(むっちゃん:ときどき茶漬け亭)の実家である盛岡市に里帰りしていたため、ミニオフとなった訳です。 今から7年ほど前、PcVanのフィッシングネットに「釣りを教えて!」と入ってきたむっちゃんですが、当時、彼女と2人で釣りを教えに入った渓流は、長い時間釣り上がっても、チビヤマメが僅かに釣れる程度の寂しい情況でした。しかし、久し振りに今回、むっちゃんのだんなさんと2人で同じ渓流に入り、驚かされました。型は小さいものの、たった1時間ほどで尺近いイワナも含めて2人で6尾の釣果が見られたのです。上右写真でお判り頂けますでしょうか、大型トラックがすぐ横をバンバン走っている国道に沿った渓流です。そんな渓流なのに、魚は思った所から間違いなく出てきてくれました。 翌18日夕方は、大きく移動して秋田県鹿角市近辺の渓流まで移動しました。この辺りの渓流は私のカミさんの実家に近いため、秋田に赴任のころ盛んに通ったものです。しかしここ数年、帰省のたびに釣りに入っているにも関わらず、思った様に釣れた記憶がありません。ところが今回入ったこの渓流でも、型はとても小さいものの2時間ほどでイワナ7尾、ヤマメ10尾の大漁でした。1尾だけ尺前後のイワナらしきヒットもありましたが、小型続きで油断していたためか、残念ながらバラしてしまいました。 更に翌19日朝は、今度は岩手県境の米代川源流部に入りました。ここも80年代に非常に良い思いをした往年の名渓です。一時は雑誌にも盛んに掲載され、釣りブームとともに全く釣れない情況になっていました。しかしここでも今回は様子が違っていました。少し寝坊して朝6時ころから釣り始めましたが、最上流部で小さいながらも短時間にイワナばかり15尾ほどの釣果が見られました。下中央の写真はこの朝最大の27cmのイワナですが、ここは上流から温泉が流れ込んでいるせいか、痩せて黒ずんだ魚体が特徴です。民家の有る辺りの下流部にも入りましたが、時間が遅かったせいか、残念ながら魚影は見られませんでした。 【堰堤編:豪雨が魚影を復活したのか?】 もう一つの「魚影復活」が堰堤プールでも見られました。ほんの2〜3年前までは、堰堤プールでの魚影はすこぶる濃く、40cmオーバーを釣るのもそれほど難しいものではありませんでした。しかし一昨年あたりから堰堤プールの釣りをする人が激増し、また昨年夏の大渇水で多くのプールが干上がり、今年の春には有名な堰堤プールからはことごとく魚影が消えました。 しかし、そういった情況も今年7月に入り一気に好転しました。多くの堰堤プールに魚影が戻ってきています。県内や近隣の堰堤プールは、6月初まで全く魚影が見られなかったにも関わらず、7月中旬ころから殆どの堰堤で魚影が見られる様になっています。それも40cmクラスのイワナが何尾も見られています。ただ残念ながら、お盆を過ぎると大物は全て上流へと遡上してしまいますので、もう年内は大物の期待はできそうもありません。 16日朝に県内の堰堤プールに入りましたが、36cmを筆頭に尺上4尾・全部で10尾の釣果がありました。17日夕と18日朝には盛岡市近郊の堰堤プールでとても楽しい思いをさせて頂きました。下の写真の小さな堰堤プールは、国道に沿ったとてもアクセスの良い場所にあるにも関わらず、その国道から沢山のイワナの魚影を確認できました。双眼鏡で見える魚を数えてみた所、最大40cmくらいのもの1尾を含め、大小併せて53尾まで確認できました。尺上だけでも最低10尾は見えていました。 それにしても不思議です。国道から丸見えの所に尺イワナがゴロゴロ見えているのです。近くにいたフライマンに聞いてみた所、地元では結構有名で、釣り人が絶えない堰堤ではあるらしいのですが「絶対に釣れない」ことから皆が諦めているとの事でした。山形県内であれば、餌釣り師に一網打尽にされてしまうかと思われるのですが、ここ岩手県は健全ですね。私も当然の様に挑戦してみましたが、17日夕はミニオフ後で時間が無く33cmが1尾だけ、しかし翌朝は31cmを筆頭に7尾と、とても良く釣れてくれました。写真下中央はイケスを作って釣れたイワナを溜めておいたものです。勿論、全てリリースしてから釣りを終えました。 余談ですが、今回ちょっとした発見がありました。私はWavyというミノーをとても気に入って使っていますが、経験的に下左の写真の「ゴースト鮎」と呼ばれるカラーリングのものが最も良く釣れると思っています。特に透明度の高い情況下ではこの色に敵うルアーは有りません。ところがこのカラーはどこの釣り具店でも品薄で、特に最近は殆ど手に入りません。 そこで考えたのが、写真下中央の緑のWavyです。自作スプーンの「Kルアー」や最近発売されたLunaでも暗い緑がとても有効なため、Wavyでも同様だろうと緑の油性マジックで色を塗ってみました。しかしこのカラーリングが今回、大当たりでした。上記の魚丸見えの堰堤でもこのカラーばかりにヒットし、他のルアーに変えるとトレースすら無い情況なのです。油性のマジックさえあればどんなWavyでも同じ様に使えるため、これはなかなかのヒットになりそうです。 【魚影復活の謎】 では、なぜ魚影が復活したのでしょうか? その理由は3つほど考えられます。 1.景気回復とともに、魚影が復活した 2.大量の雪代と7月以降の夕立が渓魚を押し流した 3.過去10年で最高の残雪が釣り人を渓流に入ることを拒んだ 1.景気回復とともに、魚影が復活した バブル崩壊の頃までは、県内の多くの渓流で、どこでも幾らでも魚が釣れたものです。しかし92年頃から本格的な不景気が始まるととともに、空前の釣りブームがやってきました。不景気は安上がりなレジャーへと人々をシフトさせてしまいます。河原には、にわかキャンパーが溢れ始め、そして急増した釣り師たちは渓魚をことごとく虐殺し、見る間に荒廃した渓流を作り出し始めました。 しかし、長かった不況も最近になり回復の兆しが見えてきています。加えて長引いた不景気でさっぱり釣れなくなった渓流から、釣れない釣り人たちが離れ始めたのでしょうか、昨年あたりから徐々に釣り人の数が減ってきている様です。釣り具店の売上も2年前の半分にまで落ち込んでいる所もあると聞きます。釣り人の数と反比例するように魚影は復活しつつある様です。 2.大量の雪代と7月以降の夕立が渓魚を押し流した このHPの「季節の釣り(Manual)」の中の「堰堤プールのルアーフィッシング」の「トラウトの行動」をお読み頂きましたでしょうか。源流部の魚たちは、濁った雪代や夕立の鉄砲水に押し流されて、下流部に落ちてくる様なのです。特に今年は雪代が長く続いただけではなく、7月以降に毎日の様に続いた夕立が大きな役割を果たしたのではないかと考えています。 8月初に飯豊方面で大規模な鉄砲水が発生しましたが、その結果、その源流部まで2時間も歩いたにも関わらず小さなイワナが2尾しか釣れなかった人がいたのに対し、同じお盆休みにその下流の本流では2時間で50尾以上の入れ食いを楽しんだ人がいた、という具合です。 3.過去10年で最高の残雪が釣り人を渓流に入ることを拒んだ 今年は10年来の大豪雪で雪代が真夏まで続いたことと、釣りの最盛期である5〜6月に土日毎の悪天候に見舞われたことで、主だった渓流には殆ど人が入れなかったのではないかと考えています。雪渓が源流の遡行を阻み、友人の中でも思った様な釣果を上げられなかったグループが多かった様に聞いています。 これらの原因が重なって今夏の好調をもたらしていると考えていますが、中でも渓流での好調は1番目の「景気の回復」が最も大きい様に思います。一方で堰堤プールでの7月以降の好調は、明らかに2番目の「洪水が渓魚を押し流した」ことによるものと考えています。さて、来年以降はどの様な釣況となるのでしょうか。私は景気回復に大いに期待したいと思っています。 今回も夏の美しい風景や魚・花の写真をデジカメに収めました。18日には八幡平へ登り、残り少ない高山植物の写真も撮影しています。写真館に壁紙画像を掲載しますので、お楽しみ下さい。 【今回のタックル】 渓流:自作5.5ft2peaceグラスベイトロッド、ダイワ HiCast GS30 (SpinCast Reel)、呉羽シーガーエース0.8号(4lb)、Bretton5g金、Luna47S、Wavy5S、他 堰堤:ミッチェルTroutia730ft、シマノBioMasterXT1000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、Wavy5S、Luna47S、ヤマメルアー、他 |