ミニオフレポート

初めてのレイクトローリング 2000年6月24-25日



「トラウトルアーフィッシング」という看板をホームページに掲げながら、まだ経験した事の無いトラウトのルアー釣りが幾つか有ります。その一つに今回の「レイクトローリング」がありました。当ホームページの掲示板にて「銀山湖情報」を提供して頂いている新潟の齋藤さんにお誘いを受け、銀山湖(新潟県奥只見ダム)でこのレイクトローリングに挑戦する機会を頂きました。全くの初めての試みにも関わらず、齋藤さんのみごとなガイドに支えられ、なんとか釣果を見ることもでき、盛期の奥只見を満喫させて頂きました。




【ネット仲間】

今回お誘いを受けたのは、新潟県三条市にお住まいの齋藤篤さん。毎年4〜6月ころに、当ホームページの掲示板に「銀山湖情報」を掲載して頂いています。ところが、この「銀山湖情報」がくせもの(^_^;;で、大物釣り師には涎垂ものの超大物イワナやサクラマスのお話ばかり。そのため、もうかなり前から「一度は行って見たい」と掲示板で齋藤さんに洩らしていたのです。そして今年に入りトントン拍子で話がまとまり、今回同行して頂くことになりました。

実を言うと齋藤さんと直接お会いするのは今回が始めてなのですが、全く初めての釣り場で色々と案内して頂き、釣り方から釣り道具までお借りし、2日間を楽しませて頂きました。こういった行為は普通の人から見るととても奇異な出来事かも知れませんが、ネットの世界ではそれほど珍しい事ではありません。仕事も年齢も飛び越えて、こういった人的交流を図れるのもネットの大きな魅力です。皆さんもぜひ挑戦して見て下さい。


【銀山湖(奥只見ダム)】

新潟県湯之谷村と福島県檜枝岐村にまたがる銀山湖は、ご存知の通りの超大物のメッカ。70cmを超えるイワナやサクラマスがレイクトローリングで狙えることで有名です。これまで「山形からは非常に遠い」、「レイクトローリングは高く付く」といったイメージが先行し、一度はやってみたいと思いながら銀山湖へ行くチャンスはありませんでした。しかし実際に調べてみると、山形市からは300km4時間半と一人でも出かけられるギリギリの距離であり、齋藤さんからの情報から料金的にも手軽な範囲であると判りました。(写真は左から、奥只見ダム本体・北の又バックウォーター付近・銀山湖の観光船)


今回、宿泊費、ボート代、高速料金、ガソリン代など全てを含めて2日間で3万円弱と、ゴルフや海での舟釣りに比べるとむしろ廉価なことも知りました。これなら、年に1・2度は訪れてみたいものです。ただ、エンジン付ボートを使ったトローリングには当然、船舶免許(4級/5級)が必要です。免許のない私にはこの点が今後の課題です。ちなみに東京からなら飛ばせば3時間、普通でも4時間程度だそうで、都内から毎週通って来られる熱心なファンもおられる様です。(左から、銀山平付近遠望・中の岳・禁漁区域の北の又川)


【宿泊は荒沢ヒュッテ

宿泊は齋藤さんの常宿である荒沢ヒュッテに取らせて頂きました。ヒュッテのお客さんは常連さんが殆どで、宿ではお客さん同士で釣果やその日の当たりルアー、ポイントなどについて、盛んに情報交換が行われていました。実を言うとこのヒュッテのご主人・佐藤さん自身が大の釣りキチで、今でも全国を股に掛けて釣り歩いておられる様です。つまり釣りキチの経営する釣り宿な訳で、我々釣り師にはありがたい存在です。なお、このヒュッテのホームページも開設されていますので、ぜひ参照されてみては如何でしょうか。


写真上中はご主人の佐藤さん、齋藤さん、とお客さんが談笑されているところ。ヒュッテ玄関横には大型水槽(写真上右)が設置してあり、お客さんの釣り上げた巨大なイワナ・サクラマスが泳いでおり、ひときわ目立ちます。写真下左はご主人の集められた2000点にも及ぶルアーと剥製の数々。そして、ヒュッテでは毎年「フィッシングダービー」を開催されており、今年のこれまでの経過が黒板(下中)に書かれています。ちなみに、写真下右は今年釣れた最大のイワナ72cmです。


【レイクトローリング】

そろそろ本題の釣りに話題を移しましょう。まずはレイクトローリングの実際について少々レポートしておきます。詳しくは専門書が幾つか販売されている様ですので、そちらをご覧下さい。

私自身、レイクトローリングと言うと、とんでもない大がかりな道具を使って力任せに釣るものかと思っていましたが、実際にはその様なことは全くありませんでした。専用のものも発売されている様ですが、ロッドは海のイナダ釣りなどで使う50号程度のものや長めのシーバスロッドでも十分流用できますし、リールも同様に小船用のものをそのまま使えます。ただ、リールには「レッドコア」と呼ばれる鉛の芯の入ったとても太いラインが150m程度巻かれています。

このレッドコアには10m毎に色が付けられており、ボートの速度と、このラインを何色出すかによって、ルアーを流す深さを調節出来る様になっています。普通、銀山湖では超低速(アイドリング)から人が早足で歩く程度のスピードが多く、6〜7色(60〜70m)のレッドコアを流し出した場合で、10m前後の水深を探ることが可能になっている様です。


レッドコアには数mのナイロン製リーダーが付けられており、先端に直接ルアーを結ぶ場合と、「ドジャー」と呼ばれる集魚板を介してルアーを結ぶ場合があります。ドジャーは集魚作用の他に、ルアーをローリングさせるための役割もあるそうです。他にボートの真下に直接オモリを垂らしルアーを流す道具(写真下左)もありますが、齋藤さんは未だこの道具では釣れた試しが無いとか。あとは魚群探知機(写真下中央)でもあれば万全ですが、まぁ、無くても十分に釣りには成りますね。

ポイントは概ね岸よりのかけ上がりとなる様ですが、その日、或いは季節により獲物の泳層が微妙に異なってきます。解禁(4月21日)のころはレッドコアで2色程度の深度ですが、水温の上昇と共に泳層が深くなって行く様です。荒沢ヒュッテの常連さんたちの多くはアマチュア無線を持っており、無線でお互いにこの深度やポイントの情報交換をして、効率良く釣りを楽しんでおられました。


【初めてでも釣れた】

6月24日(土)早朝4時に齋藤さんと待ち合わせ、5時ころからボートで釣り始めました。しかしこの日はご覧の様に(写真下左)、朝からかなり強い雨。風こそ吹かないものの、一日中雨は止む気配を見せず、おまけに湖面にモヤが立ち込め視界のかなり悪い情況でした。普通こういう日は良く釣れる筈なのですが、まだまだ残雪の多い奥只見では逆に水温が急降下するのか、我々だけでなく無線で入ってくる情報を聞いても釣果はサッパリでした。


トローリングだけでなく幾つかのバックウォーターにボートを乗り入れキャスティングでも狙いましたが(写真上右)、小さなイワナが追いかけてくるだけで、全く釣れてくれません。それでも午後になり幾分気温が上がった3時ころ、齋藤さんのロッドに尺ちょっとの待望のイワナが掛かってくれました。釣れたのは、湖面に流木が沢山浮かぶすぐ横をルアーを流した時で、どうやら障害物の真下にイワナたちは定位している様でした。一方でこの日の私は全くのノーバイト。雨にたたられ震えるばかりでした。


しかしそうそう悪い情況は続くものではありません。翌25日(日)はご覧のようなまずまずの良いお天気。付近の情報を聞いても大物こそ出ていないもののまずまずの釣果が見られている様でした。そして朝6時ころ、魚群探知機でワカサギらしき魚影の見られる付近を深度8色で流していた時、私のロッドが前後にクンクンと小気味良く動いてくれました。待望の当たりです。


大慌てでロッドを合わせると、グイグイと大きくロッドをしならせたのは、40cmちょうどの非常に綺麗なイワナ(写真下左)でした。ヒットルアーはこのHPではすっかりおなじみの「Kルアー5cm緑」(写真下中央)。ボートのスピードは意外と早いため、回転せずに大きくローリングする様にベンド角を10度程度にまで伸ばしたものです。実を言うと、ロッド・リール・魚探をはじめ、全ての情報・タックルを齋藤さんにおんぶにだっこの状態でしたので、せめてルアーだけでも持参したものを使おうと、意地になってKルアーをなんとか使える様にとその場で改良したのでした。


しかし、正直言ってこの釣果は100%齋藤さんのお陰です。何も知らずに出かけて行って、いきなりこの様な釣果に恵まれる筈がありません。そして、このイワナが釣れた瞬間に一番喜んだのは、実のところ、私ではなく齋藤さんでした。その時の齋藤さんの本当に嬉しそうな笑顔が、今回の釣行での私の最大の釣果であったことは言うまでもありません。

例年なら銀山湖の盛期は解禁(4月21日)からの1ヶ月位と、梅雨から8月中旬ころまでの2つになるそうです。7月以降は泳層がますます深くなり、数は減少する様ですが、超大物が狙える様です。今年は残雪が非常に多くまだまだ釣期は続きそうです。みなさんもぜひ一度、挑戦してみては如何でしょうか。

【今回のタックル】

トローリング:齋藤さんから拝借したトローリングロッド、レッドコア10色付リールを使用。ルアーのみK++持参のものを使用。Kルアー5cm緑、タスマニアンデビルピンク17g、チヌーク緑14g、Coatacイワナ銀7g、WavyS5/S7、AthleteS7、他。

キャスティング:UedaTroutPluggingSpinGS902H、Wellner8ft、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1.5号(9lb)、Wavy5S、Wavy7S、AthleteS7、Kルアー5cm緑、Maria15-25gジグ、他