単独釣行レポート

岩魚を求めて堰堤巡り 2000年6月11日



今年になり、これまで良く釣れていた堰堤プールでさっぱり釣れなくなってしまったのですが、こんな事ではイカンと心を入れ直し、釣れる堰堤プールを探して放浪の旅に出ることにしてみました。1日かけて300km近くを走破した甲斐が有り、なんとか今年初めての40cmイワナをゲットすることが出来ました。やはり渓流釣りは「足で釣る」のが基本の様です。過去の財産にすがっていては良い釣りは望めない様ですね。




まじめに釣りに取り組んでおられる方々にはほんとうに申し訳ありませんが、今回のレポートから、場所の特定を出来ないように画像や各種の情報にこれまで以上のフィルターを掛けさせて頂く事に致しました。ホームページに写真を掲載するやいなや、どうも魚がいなくなってしまう様です。多くの釣りのホームページはボランティアで運営されている訳ですが、そういった「人の良心」を悪用する人もまた多い様で、嘆かわしい限りです。

今回釣り歩いた地域は、山形県の飯豊・小国町から新潟県の荒川・三面川水系にまたがる非常に広大な地域です。このエリアは山形市から2時間以上と遠いため、釣行に訪れる機会もそれほど多くはなく、私にとってまだまだ未開発の地域です。2万5000分の1の地形図を頼りに、車で移動しながら堰堤を探しては釣り歩く戦法を取りました。


11日(日曜)早朝4時半、最初に訪れた釣り場は4月の渓遊会釣行時に偶然見つけ、一度は竿を出してみたいと考えていた堰堤です。しかし、写真左上の様に堰堤プールには水が殆ど無く、底が丸見えで、とても釣りになる様な状態ではありませんでした。折角フローターを持ち込んだのですが、結局、竿を出さずに引き返してきました。

仕方なく、そこから1時間近くを掛けて地形図上に見つけた小さな堰堤まで移動、時間はAM6時半ころでした。この2つ目の堰堤は予想外にも砂で殆どが埋まっており、隅に僅かな深みが残っているだけの、フローターも何も必要のない小さな堰堤でした。しかしこういった堰堤こそが穴場になっている様です。砂で埋もれたチャラ瀬の様な何でも無いところで、いつものWavyに大物が飛びかかってきました。


久し振りの堰堤の大物は、何度計ってもジャスト40cmのイワナでした。百戦錬磨を生き抜いてきたのでしょうか、なぜか尾ビレの上端が1cmほど欠けていましたが、全体として魚体は非常に綺麗で、プールの魚らしく丸々と太っていました。手早く記念写真を撮影して、すぐに流れに戻しましたが、はて、次回この釣り場にまた来る時まで、はたして釣られずに生き残ってくれているのでしょうか。ここでは、他に26cmほどのイワナも釣れ、また他に何尾かの魚のトレースも確認でき、まずまず満足して次の堰堤へと移動することにしました。

3番目に入った釣り場は、偶然にも道路沿いに見つけた非常に大きな新しい堰堤のプール(写真下左)でした。今から4〜5年前まではこういった堰堤プールで竿を出している人などまず見かける事はなかったのですが、フローターで入水しようとした斜地には異常とも思えるほどの釣り人のものらしき足跡が見つかりました。嫌な予感がしたものの、とりあえずフローターで漕ぎ出してルアーを投げて見ると、案の定、魚のトレースさえ全くみられない状態でした。恐らく毎日の様に釣り人が訪れ、ここも既に釣り切られているのでしょう。


1時間足らずでこの堰堤を諦め、今度は更に大きなダム湖(写真上中/右)のバックウォーターにフローターで挑みます。しかしここでは大きなダム湖には付き物のハヤ(ウグイ)が入れ食い状態に。これには参りました。イワナもいる筈なんですが、まるで宝クジに当たる様なものです。ここも1時間程度で諦め、更に5番目の堰堤に移動することにしました。

しかしこんなにも移動を繰り返しながら釣りを続けるのも疲れるものですね。若い時ならいざ知らず、私の様な年齢の人間には流石にキツイものがあります。5つ目の堰堤に入った時点ですでに午後3時ころ、寝不足にビールが手伝って、もう体はそろそろバテバテです。そしてこの5番目の堰堤プール(写真下左)は昨日の雨のせいか濁り気味。ルアーを何十回も投げ続けましたが結局何の反応もありません。がっかりしながらも、力を振り絞って最後の堰堤プールに賭けることにしました。


6番目に訪れた最後の堰堤(写真下左)は、一昨年の真夏に訪れたとき偶然に見つけていたもの。如何にも釣れそうな雰囲気に、竿を持ってこなかった事を随分と後悔したものでした。ここは標高が高いため、まだ雪が道路脇に沢山残っており、林道はようやく開通したばかりの様子。釣り場にはまだそれ程の人が入っていないのではないかと思い、堰堤の下にある四角いプールでまず竿を出して見ました。実はこれが大正解で、いとも簡単に32cmもある綺麗な岩魚がヒットしてきました。しかし時間がもうありません。粘ればまだまだ釣れたところを諦め、最後のチャンスをこの堰堤の上のプールに掛けます。


上のプールへはフローターを持ち込みましたが、あまりにも透明度が高いため、結局は岸から釣る事になりました。透明度が高い場合は堰堤の隅々からルアーが丸見えのため、わざわざブッシュの近くにルアーを投入する必要などないのです。しかもフローターや足ヒレが丸見えになるため、よほど暗い場合を除き、なかなか釣れてはくれません。まるで忍びの術の様にして水辺に近づき、背を低くしたまま静かに静かにミノーを投げると、期待通りに尺には満たない丸々と太ったイワナが次々と掛かってきました。しかし流石に透明度が高いとスレるのも早いもの。4尾釣り上げた所でピタリと反応が無くなってしまいました。


結局6箇所の堰堤(と2箇所の渓流)を釣って歩き、2番目と6番目の堰堤プールだけで釣果が見られ、最大40cm、尺上2尾、全部で7尾とまずまずの釣果でした。しかし、自宅に帰り着いたのは夜も遅い21時ころ。もう心身ともにバテバテで、ビール一杯だけでバタンQとなってしまったのは言うまでもありません。そして今回の放浪の旅で実感したのは、次の通りでした。

1.「堰堤プールの釣り」そのものが東北の釣り界の中で認められる様になり、堰堤を釣る人の絶対数が大幅に増加している。そのため、如何にも釣れそうな堰堤プールは、相当な数の釣り人に日夜攻められる様になっている。そうやって、有名な堰堤プールは釣り切られてしまったのではないか。
2.数年に一度と言われた昨年夏の大渇水時に多くの堰堤プールが干上がり、上流に逃げたイワナの多くは釣られてしまったと考えられる。これが堰堤の魚の減少に拍車をかけたのではないか。
3.しかし、この様な情況下でも、見落としそうな小さな堰堤など、なお釣れる堰堤は僅かながらに残っているのかも知れない。
4.6番目の堰堤プールのイワナは25〜28cmの型揃いだったが、漁業組合がしっかりと放流してくれている堰堤では、絶えることなく釣り続けることが可能なのではないか。


左からヤマガラシ、ジシバリ、名前不詳

さて、今回も沢山の野草花や魚の写真を撮影してきました。そのうちの何枚かを写真館に掲載しますのでお楽しみ下さい。ただ、今回より撮影地の詳しい場所を伏せさせて頂きます。撮影地と関連付けて、釣り場を特定されるのを防ぐためです。どうかご理解下さい。

【今回のタックル】ミッチェルTroutia730ft、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、Wavy5S、Kルアー5cm、Bretton5g金、他