ここ数年、5月の連休の最初の2日間を山形渓遊会の春期釣行に充てることにしています。今年は県南部の小国町は荒川支流の小渓流に出かけました。予想通りにここでも残雪が非常に多く、おまけに前夜に降った大雨で初日はほとんど釣りにならないありさま。2日目に偶然入った渓流も、人が多いのか魚影はまばら。それでも久し振りのクラブ釣行で、「渓で呑んだくれる」という最大最終の目標はなんとか達成してきました。 今年も連休最初の2日間を山形渓遊会のメンバーと釣行にでかけました。4月29・30日の両日を釣行に充てましたが、今回は気合を入れて前日の28日(金)夜から現地入りの計画を立てました。しかし気合を入れ過ぎるとロクな事はありません。車から出るのもはばかれる様な大雨に見舞われ、キャンプの予定は只の車中泊になってしまいました。余りに強い雨で、買い込んだ酒を呑む場所にも困るほど。しかたなく渡辺会長の釣りのお知り合いの家に駆け込ませて頂き、ビールを呑みながら釣り談義をさせて頂きました。 このお宅は小国町荒沢地区にあり、昔は折戸川〜末沢川・三面川経由の新潟県村上市までの旧街道(塩の道)の要所でした。以前はこのルートをたどり末沢川へもよく仕事や釣行で出かけられたそうです。その頃の末沢川では、大きな淵には必ずと言って良いほど40〜50cmクラスのイワナが遊弋していて、好きなだけ幾らでも釣れたとのこと。一同ため息を漏らすばかりでした。 翌朝は大雨で釣りにならず、車のなかで9時ころまでダラダラと寝ていました。あたりの杉林を良くみると、今年の雪害の酷さがここでも目につきました。写真では判り辛いですが、上左の写真の中だけでも6本の折れた杉の木が写っています。この雪害は県内はもとより新潟〜秋田の日本海側の非常に広い範囲で起きた様子です。今後がちょっと心配です。 さて、釣りに話を戻しますが、あまりにのんびりし過ぎたせいで、そうこうするうちに他の釣り人に先を越されてしまう始末。おまけに地元の「熊射ち」の人たちにも追い越され、加えてこの残雪の多さに、しっかり戦意が失せてしまった我々でした。 今回入った小さな渓流でも、車は舗装道路の切れるあたりで残雪に阻まれストップでしたが、昨年は更に2〜3km奥まで車で楽々入れたそうです。2〜3kmと言えども雪上の歩きは普通の道路の1.5〜2倍も時間がかかりますので、1時間近くも掛かってしまいます。苦労して歩いて竿を出した所は、実は普段なら車が砂煙を上げながら走っている様な場所なのですね。 それでもメンバー3人は餌釣りでこまめに魚を拾い釣りします。まだ人が入っていない分、それでもイワナたちは普段よりは十分に残っています。そして最後は、雪代で水が溢れ返る小さな小さな支流を見つけ出し、そこで結構良い思いをした様です。この悪条件下でも尺を含む結構な数のイワナを釣り上げたのは、流石でした。ところで、私が釣っている写真が一枚も無いのですが、正直言って雨後のこの条件下ではルアー釣りは絶望的。実のところ、竿を殆ど出さずに、山野草の写真ばかり撮影しておりました。 こんなに残雪が多くても、春は確実に渓にやってきています。雪代の流れをヘツったり、高巻いたりするとき、実に多くの可憐な春の花たちが、競う様に我々に挨拶をしてくれました。彼らの生命力には、本当に感心してしまいます。(花は左から「イワウチワ(岩団扇)」「ショウジョウバカマ(猩々袴)」「ネコノメソウ(猫目草)」「ミズバショウ(水芭蕉)」です) さて、夜はお決まりの山菜づくしの野外パーティー、、、の筈だったんですが、実は今年は山菜がまだ殆ど出ていませんでした。昨年はウド、タラの目、ウルイなども出ていた筈なんですが、今年は日の当たりの良い場所にかろうじて生えていたコゴミと岩ダラが食卓に並んだだけ。ちょっと寂しい食卓でしたが、それでもいつも通りの釣り談義に花が咲き、夜の更けるのを忘れて呑んだくれてしまいました。我が渓遊会の最大最終の目的は「源流で呑んだくれる」こと。この目的だけは十分に達成した様です。 翌30日は起きたらやはり9時近く。朝食をゆっくり摂って釣りの準備が整ったのは既に10時過ぎ。しかし最近の釣り人はマナーが悪いですね。とある支流の入り口でキャンプをしていたのですが、関東No.の車がやってきて、断りもなくその支流にさっさと入って行ってしまいました。連休のこの時間に誰も入っていない渓流などないだろうと、仕方なく適当に幕場のすぐ近くの別の小さな渓流に入ることにしました。この渓流は国道からすぐに入れる交通の便の良さからか、予想通りに入り口付近では全く釣れません。 それでも残雪を踏みしめて奥へと入るにつれて、ポツポツと綺麗なイワナが釣れ始めます。残雪が多いため2時間も釣り上がると強烈な雪渓が峪を塞ぎ、やっと調子が出てきたころには渓は雪渓に覆われて釣りは不可能になってしまいました。短い行程ではありましたが、数尾づつのイワナをしっかり釣り上げ、なんとなく満足して山を降りてきました。 私はというと、この日もすっかり山野草のカメラマンに変身してしまい、釣りはそっちのけ。最近は堰堤プールの釣りばかりになったためか、普通の渓流に入るとどうも釣りよりもカメラマンに成ってしまいます。実を言うと下右写真の偶然見つけた堰堤プールでちょっとだけ釣ってみましたが、仲間と大声でワイワイと話しながら釣ったため、1投目で25〜6cmのイワナがヒットしただけ。釣りマニュアルにはあれだけ「大声のお喋りは禁物」と書いているにも関わらず、仲間とのお喋りの方が楽しいのですから仕方が有りませんね。 そして、この日も実に沢山の春の花たちが私のデジタルカメラに微笑んでくれました。最近になって山野草に興味を持った私にとって、初めての花の写真1枚は尺イワナ1尾より嬉しいものなんですね。(花は左から「キクザキイチゲ(菊咲一花)」「ヤマエンゴサク(山延胡索)」「エンレイソウ(延齢草)」「ミヤマカタバミ(深山傍食)」です。前日の写真を含め、写真館に壁紙サイズの同じものを掲載しました。) 今年は季節が10日以上も遅れているため、その分多くの種類の草木が一斉に花を開き始めました。山形は今、山も野も町も、大きな果樹から足元の小さな雑草まで、実に様々な花々で彩られています。このゴールデンウィークの山形は、まるで県全体がお花畑の様になっています。 【今回のタックル】シマノ TroutOneXT 50TUL-5 (5peace5ft Telescopic PackRod)、ダイワ HiCast GS30 (SpinCast Reel)、呉羽シーガーエース0.8号(4lb)、ミッチェルTroutia730ft、シマノBioMasterXT1000、呉羽グランドマックス1号(6lb)、Kルアー3cm/5cm/緑/赤、Wavy5S、他 |