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釣り人自身で解決したい問題が幾つかあります
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1.キャッチアンドリリースは爽快だ!
キャッチアンドリリース(C&R)とは、文字通り「魚を釣り(Catch)そして(and)放す(Release)」ことです。そしてその最大の目的は、魚を生きたまま渓流に戻すことにより「また釣れる様に」する事です。或いは「魚が可愛そう」「魚族の保護」といった観点からC&Rを実践されているかたもおられるかも知れません。それも大いに結構です。とにかく魚を釣り、殺さずにそのまま解き放って見て下さい。最初は抵抗があるかも知れませんが、あなたはすぐに気が付かれる筈です。「C&Rって、なんて爽快なんだろう」と。
渓流に生息する魚の数には限りが有ります。一つのポイントに30尾のイワナが入っていて、そんなポイントが10kmの渓流に平均50m間隔で存在していたとしても、たった6000尾の魚しかその渓流にはいない事になります。これは、日に10尾釣る釣り人が100人やってくれば、たった6日で釣りきられてしまう計算になります。魚の絶対数が桁違いに多くしかも自己生産力の高い海の釣りとは、情況が全く違います。
ここでは「何が何でもリリース!」を目指している訳ではありません。釣った魚を食べるという日本古来の風習を否定するつもりはありません。しかし、無駄に魚を殺すことを止めて頂きたいのです。
もし食べたいのであれば魚屋さんのほうがより安くて手ごろなものが手に入ります。魚を見せて自慢したいのなら液晶表示付のデジタルカメラを持ち歩いて下さい。超大物を剥製にする楽しみは大いに結構ですが、そんなチャンスは数年に1尾だけです。そして、魚を近所に配ることが如何に「ありがた迷惑」であるか、大量の渓魚を持ち帰ることが今ではいかに恥ずかしい行為であるかに、早く気付いて下さい。
キャッチアンドリリースを実行する上で、ぜひ心がけて頂きたいのは、以下の通りです。
1) 節度を持って釣りを楽しむ。必要以上に釣らない。5回程度のC&Rで魚は確実に死にます。
2) 針を飲み込まれない様な釣り方を心がける。大きなフライ/餌/針の使用・早合わせ・水面の釣りなど。
喉の奥に針掛りするほど死亡率が高くなるため。唇で5%、咽頭で25%、エラで40%以上が死亡。
3) 細過ぎるラインを使って魚を長時間暴れさせない。ショック死の可能性がある。
4) リリースは水中で、流れの弱い場所で。弱った場合は流水中でエラに酸素を送り込む。
5) 出来るだけ水中から魚を出さない。絶対に河原など陸上に上げない。
6) 魚には可能な限り手を触れない。触れる時は手を水で冷やしてから。記念写真は手早く。
可能であれば、釣りの楽しみを損ねない範囲で、以下のことがらも実践して頂ける様にお願いします。
7) フライ・餌で針を飲み込まれた場合はラインを針の根元から切り、針を残してリリースする。
8) フォーセップやラジオペンチなど、針を外すための道具を用意する。
9) バーブレスフックを使用するか、フックのカエシをペンチなどで潰して使用する。
10) トレブルフックの複数付いたミノー等では最後尾のフックのみにし、できればシングルフックに替える。
11) ランディングネットは出来るだけ使わない。使う場合も目の細かなものを。
2.ゴミは最低限の常識だ!
自分の庭にゴミをポイ捨てされて怒らない人はいません。なのに、なぜ野山にゴミを捨てられるのでしょう? ゴミは釣り人のエゴ以外の何者でもありません。とは言うものの、最近は野山にゴミを捨てる人が随分と少なくなりました。今ではゴミは誰もが知っている最低限の常識です。
ゴミを出したくて出している人は殆どいません。ゴミを出さない工夫をすることでゴミは野山から消えます。
1) 原則として、ご自分の持ち込んだものは全て持ち帰って下さい。
2) ポケットの一つをゴミ入れにするか、小さなゴミ容器を携帯して下さい。
3) 源流の釣りなどでは、いかに軽量化(=ゴミを出さない)するかについて沢山の解説書が
出回っています。ぜひ参考にして、軽快でゴミのないパッキングを心がけて下さい。
4) 釣り場のゴミ箱の場所を覚えておく、車にもゴミ箱を設置するなど、ちょっとした工夫をして見て下さい。
3.支払わざる者、釣るべからず!
そもそも、なぜ日本の渓流は釣れなくなった(魚がいなくなった)のでしょうか。逆に、管理釣り場はなぜ良く釣れるのでしょうか。その答えは渓魚の需要と供給のバランスにあります。日本の渓流では、漁協による放流もしくは自己生産される渓魚の数よりも、釣り上げられる渓魚の数の方が圧倒的に多いからです。
殆どの漁業組合では、渓魚の需要と供給のバランスを計算して放流している訳ではありません。多くの場合、入漁料収入と政府などからの補助金により放流資金を捻出し、持てる資金分だけを放流しています。入漁料収入は放流資金の多くの部分を占めていますが、実際にはかなりの釣り人がこの入漁料を支払わず、いわば密漁をしているのが現実です。これが需給のバランスを大きく崩す原因になっています。
この渓魚の需給バランスを保てる様にするための根本的な解決には、行政を含めたシステムの改革を待たなければなりませんが、今、我々が個人で出来る事は、入漁料を確実に支払い、放流量を少しでも増やすことです。渓流の魚には資金が投入されています。自己生産に任せている海の魚とは違います。「支払わざる者、釣るべからず!」です。どうかご協力をお願いします。(ちなみに、私、K++はいずれの漁業組合にも属してはおりません。)
4.渓流釣りにもマナーが有ります!
マナーとは、他の人に迷惑をかけないための暗黙のルールのことです。
1) 上流に向って登りながら釣り場を変えてゆく渓流釣りでは、他の釣り人のすぐ上流に入渓するのは、
その釣り人の釣り場を奪うことになります。下流に入るか別の渓流へ移動すべきです。
2) 湖の釣りでは近くに他の釣り人がいることがあります。大声を出したり派手な服を着て動き回ったり
することは、魚を脅かして釣れなくしてしまうことにつながります。
3) 木を切ったり川の構造を変えるなど、自然破壊につながる行為はしない。
4) 源流部の豪雨の中の釣りなど、無理な釣行はしない。
5) 民家の近くで夜遅く騒いだり、車などで騒音を出したり、勝手に田畑の中を歩いたりするのは
絶対に止めて下さい。地元の人たちにもっと敬意を払って頂きたい。
6) 尾数制限、体長制限、入漁規則など、法律を守って下さい。