![]() 北海道では広大な大地を流れる多くの河川で、大型の野生化した俊敏かつ狡猾なニジマスの釣りを楽しむことができます。釣って楽しく食べても美味しいニジマスは、北海道の地元の渓流釣り師たちのメインターゲットとなっています。しかし、野生化したニジマスは、イワナやヤマメ等の一般の渓魚とは異なる性質を持っていて、本州での渓流釣りの概念が余り役に立ちません。本稿は、始めて北海道を訪れる釣り人に役に立つ情報を中心に記述しています。 なお、湖沼においては、筆者はレイクトローリングを楽しんでおり、岸釣りの湖沼編のマニュアル作成の予定はありません。 また、本マニュアルは書きかけであり、暫定版です。内容に間違いや誤解が有る場合は、どうぞご指摘をお願いします。 1.北海道のニジマスとは ニジマスは小さな虫を主食とする渓魚のため、ルアーフィシングよりもフライフィッシングの方が釣り易く、圧倒的に釣果が上がります。そのため、本マニュアルは、ルアーだけでなくフライについても記述しています。 1-1.北海道のニジマスと本州の渓魚との相違 ニジマスと言えば管理釣り場や釣り堀の魚をイメージされるかも知れませんが、管理釣り場のニジマスと北海道の野生化したニジマスは全く別の生き物と考えるべきです。 管理釣り場のニジマスを遥かに凌駕するスピードとパワーに加え、狡猾さも兼ね備えています。一方で、本州のイワナやヤマメほどの警戒心は無く、数m離れた場所に釣り人が立っていても、活性が上がると平気で喰い付いてくるという大胆さも有ります。また、記憶力が良く、ルアーやフライに対して非常にスレ易いのも特徴です。 更にニジマスは、河川内においては、大型になっても虫を主食としているため、イワナやヤマメと異なる時間帯に活性が高くなり、また、ルアーに対する反応も異なります。虫を模したフライフィッシングの方が有利なのはこのためです。湖沼・ダム湖では、ワカサギなどを捕食し、河川内よりも魚食性が高くなっています。 1-2.北海道民のメインターゲット 適度に狡猾で俊敏なため、釣って楽しく、また、食べても美味しいため、北海道民の渓流のメインターゲットとなっています。道内の淡水の釣り師にとって、50cm超えの大ニジマスを釣り上げる事が最大の目標となっています。 決められた訳ではありませんが、概ね、30cm以下を小物・チビマス、30cm台を普通・並み、40cm台を良型、50cm台を大物・大ニジマス、60cm台をモンスター、70cm以上をバケモノなどと呼ぶ人が多い様です。
1-3.大物の魚影は想像以上に濃い 道内の有名河川では釣り人が非常に多く、ルアーやフライにスレているため、50cmを超える大物を釣る事は非常に困難です。しかしながら、スレて釣れないだけであり、大物は随所に沢山泳いでいます。ルアーやフライで、尺程度までのニジマスしか釣れなかった直後に、餌釣り師がやって来て、同じ場所で大ニジマスを連発して釣り上げる事を何度も目撃していています。 ニジマスは全道に分布していますが、メインの釣り場は道東の十勝地方や釧路地方となります。特に十勝地方はニジマス天国と言われています。道央や道北・道南でもニジマスは釣れていますが、道東ほどの人気は無い様です。道東の野生の大ニジマスで有名な河川としては、音更川、猿別川、札内川、利別川、十勝川、西別川、釧路川、常呂川、網走川、湧別川などが有ります。放流釣り場としては、阿寒川や渚滑川などが有ります。 特に有名な音更川や猿別川などでは、近年、釣り人が増え過ぎ、ルアーフィッシングではほとんど何も釣れない状況が発生しています。底付近をトレースできるニンフフライフィッシングで、なんとか釣果を見る事はできますが、大型を釣るのは非常に困難になっています。そんな状況でも、餌釣り師たちは大ニジマスを釣っていて、魚影は間違いなく濃いのです。 2.注意点 2-1.禁漁区・禁漁期間 北海道ではニジマス・ブラウントラウト・ブルックトラウト・アメマス・オショロコマに関して、一部の放流釣り場などを除き、禁漁区や禁漁期間の規制は有りません。ほとんどの河川で、1年中、釣りを楽しむ事が可能です。一方で、シロザケ・カラフトマス・サクラマスについては、一部の調査河川を除き、河川内での釣りは禁止されていて、厳しい罰則も適用されています。詳しくは「北海道のフィッシングルール Rule & Manner」をご確認下さい。 2-2.キャッチ&リリース 北海道の多くの河川では、外来種のニジマス・ブラウン・ブルックは野生化し、自然繁殖しています。しかしながら、特にニジマスは食べても美味しいため、地元の餌釣り師を中心に多くの個体が持ち帰られています。そのため、人口の多い市街地に近い区域では、ほとんど魚影の見られない場所も存在します。こういった地域では、可能な限りキャッチ&リリースをお願いします。 一方で、キャッチ&リリースを徹底し過ぎると、自然淘汰が起こり、個体数が減少し始めます。加えて、魚の入れ替わりが無くなり、スレ過ぎて釣れなくなります。市街地から離れた地域では、適度に持ち帰り食べて頂く方が、魚影も保たれ、釣りの楽しさも増加します。 3.データ解析結果の紹介 3-1.2021年夏〜秋の定点観測の結果(2021年10月既出) 2021年8月から10月にかけて、十勝の音更川の同一ポイントで釣り続け、野生化ニジマスの動向を観察しました。釣法は全てアウトリガーニンフによるフライフィッシングでした。ポイントは中士幌町郊外にある下写真の1ヶ所だけであり、主に沈み石の前後十数mとなります。上流からの流れが土手にブツかり深く掘れていて、沈み石の前後で水深1m超となっています。(なお、このポイントは、2022年夏の豪雨時に渓相が大きく変わり、現在はありません。)
3-1-1.観測結果と釣れる時間帯 殆どの場合、朝8〜9時ころからの出漁でしたが、釣れ始めたのは概ね10時以降であり、本州のイワナやヤマメの様に早朝でないと釣れないと言うことはありません。むしろ水温の急激に上がる11時から13時ころに良型・大物が釣れています。これは恐らく、ニジマスが小さな虫を主食とする魚のため、水棲昆虫が大量に羽化する時間帯に活性が上がるのではないかと考えています。
早朝の薄暗い4〜5時ころにも何度か出漁していますが、残念ながら私には小さなニジマス以外は釣れていません。早朝には数は釣れますが、恐らく空腹な一部のニジマスが我慢できずにフライに喰い付いてきているだけで、大物はどこかでまだ寝ているのではないかと思われます。寒波などが無く、夕刻まで良く晴れた暖かい日には、日暮れ前にも良く釣れる時間帯があります。これらの状況はレイクトローリングと同様です。 なお、水中カメラを用いて沈み石の下流部を目視観察しています。驚いた事に、釣れない時間帯には魚影が見えませんが、釣れ始めると小さなニジマスの魚影が見える様になります。又、流れの殆ど無い場所に、大型のニジマスがジッと隠れている姿を、これまでに何度か目撃しています。水棲昆虫の羽化が始まるまでは、ニジマス達はどこかに隠れて休んでいる様です。沢山の釣り人が通った後でも活性が上がると急に釣れ出すのはこのためだと考えています。 3-1-2.ニジマスの移動
もう一点、この定点観測で判った事は、上の2枚の写真の示す通り、ニジマス達は全く同じポイントで1ヵ月以上も泳いでいたと言う事実です。恐らく、他のニジマス達も、同じポイント付近で泳いでいたのではないかと考えられ、9月30日の降雨までは、同ポイントに40cm以上が4尾、他に10尾以上のニジマスが泳いでいたのではないかと想像しています。釣れないだけで、思った以上に魚影は濃い様です。 そして、9月末の降雨により、50cmを超える1尾がこのポイントに移動して来たのではないかと考えられます。ある程度の量の降雨が無い限り、魚たちは同じポイント付近で泳いでいて、増水の後に移動が起こるのではないかと考えています。降雨が無いと、同じ人が同じポイントへ入渓し続けても、その人にスレてしまい、あまり良い釣果が見られなくなるのではないかとも思われます。 3-2.2011〜2018年の音更川における釣果と気温などとの関係解析(2018年7月既出) 2014年を除く2011年からの6年半(6/7/9/10月)の間に、十勝の音更川で217尾のニジマスを釣っています。野生化したニジマスはとても気難しい魚で、急に寒くなると釣れなくなり、昼間の気温の上がる変な時間帯に突然釣れ始めたりします。その関係を過去のデータから探ってみようと試みたものです。 釣果を30cm未満、30cm台、40cm台、50cm以上の4群に分け、群ごとの過去に釣れた総尾数の割合の逆数に定数を掛け合わせて1尾当たりの点数としました。尺未満=1点、30cm台=5点、40cm台=10点、50cm台=30点となります。この点数を用いて、釣行日1日ごとの釣果を点数化し、日々の点数と気象庁発表のその日の気温などのデータの間の関係性を解析しました。 3-2-1.前日・前々日からの気温の変化と釣果 左下図は、前日もしくは前々日からの最高気温の変化(縦軸)と日々の釣果点数(横軸)の関係を表す散布図です。前日から気温が大きく上がるほど釣果が上がると想定していましたが、実際には全くと言って良いほど関係性は有りませんでした。また、最低気温の前日・前々日との気温差についても、やはり何ら傾向は見られていません。
これは恐らく、その日のうちで水温が活動に適した温度に上がった時に活性が高くなるだけで、前日との気温差は関係が無いという事の様です。また、寒波などで昼間に活動に適した水温まで上がらない様な日は、やはり大物は釣れないのではないかと考えられます。 3-2-2.最高気温・最低気温と釣果 一方で、最高気温、最低気温については、以下の様な傾向がみられる様です。 ・最高気温が15℃前後に、最低気温が7℃前後に最も釣果点数が上がる(大物が釣れやすい)。 ・最高気温が高くなるほど大物は釣りづらくなり、30℃に近づくと大物はほぼ釣れない。
3-2-3.日照時間・日中の寒暖差と釣果 最後に、日照時間については、8時間とゼロ時間付近に2極化している様にも見えますが、全体としては曇った日の方が良く釣れる様です。カンカン照りの日のお昼前ころに、突然、大物が釣れたりすることが良くありますが、これは、晴れて急激に水温が上がり、活性が一気に上がるためではないかと考えています。日中の寒暖差については何ら傾向は見られませんでした。
4.北海道のニジマス釣り 4-1.季節ごとの違い 4-1-1.初夏:5月末〜7月中旬 この時期は、雪代(雪解け水)が落ち着き、水棲昆虫の羽化が盛んとなる時期であり、また、気温も野外活動に適していて、アブなどの発生もまだありません。釣りの最も楽しい時期となります。大物も含め、数釣りを楽しめる時期でもあります。ただし、有名河川では釣り人が激増し、逆に釣りにならない状況と成り得ます。 4-1-2.真夏・晩夏:7月後半〜8月末頃 気温が30℃に近づくにつれ、ニジマス達は次第に釣れなくなります。ただ、本州のイワナやヤマメと異なり、気温が30℃超えのこの時期でも、10〜13時ころに活性の上がる時間帯が有り、突然、大型のニジマスが釣れることも有り得ます。油断は出来ません。 早朝の水温のまだ低い時間帯に釣れそうな気がしますが、中・小型のニジマスが中心となり、大型はそれほど釣れません。明るくなるとすぐに釣れなくなり、9〜10時頃まで無反応となる事が多い様です。なお、地元の餌釣り師の話によると、気温の非常に高い盛夏は、深夜に大物が簡単に釣れるそうです。 なお、下流部に遡上止めの無い河川では、この時期は海からのサクラマス(禁漁)の遡上が多く見られ、釣りにならなくなる場合も有ります。 4-1-3.秋季:9月初〜10月末頃 水温が落ち着き、再び、数釣り・大物釣りの季節となります。しかしながら、釣り人も激増し、有名河川では厳しい状況が続きます。道外からの釣り人が最も多くなる時期でもあります。なお、ニジマスの産卵期は概ね1月〜5月であり、この時期に産卵するイワナ・ヤマメの様な産卵時期特有の行動はしていません。
4-1-4.冬季:11月〜5月中旬 筆者はこの時期の北海道で釣りをした事がなく、状況は良く判りません。ただ、地元の釣り師たちからは、以下の様な話を良く聞いています。 ・11月中旬ころから釣り人が急激に減り、また、魚たちは冬に備えて餌を旺盛に捕食し始める事から、 スレ切っていた大ニジマスたちが荒食いを始め、大型のニジマスの釣れるチャンスとなる。 ・12月中旬〜4月初頃までは、凍結や低活性でほとんど釣りにならない状況が続くらしい。 ・4月中旬〜5月中旬まで、雪代の増水と適度な濁りで、大型のニジマスの釣れるチャンスとなる。 4-2.釣れる日、時合い 4-2-1.一般的な時合いの考え方 野生化したニジマスの時合いは、本州のイワナやヤマメとは全く異なります。朝早く出かければ釣れると言うものではありません。むしろ、真昼間の気温の急上昇する時間帯に大型の良く釣れる時間帯が多く発生します。一般的な時合いの考え方は、「3-1. 定点観測の結果」、「3-2 釣果と気温などとの関係」を参照して下さい。 4-2-2.大増水の後は大型の大チャンス 豪雨による強い濁りを伴った増水の後に、渓水が緑色を帯びて来た瞬間に、大型のニジマスが連発することが良くあります。増水で餌を取れなかった魚たちは空腹であり、透明度50cmほどのとても釣れそうもない強い濁りでも、しつこく何度もルアーやフライを流すと喰い付いてきます。増水の濁りが長期に渡るほど、一大チャンスとなり得ます。 2016年8月末に、北海道に3つの台風が次々と上陸し、音更川では大増水による強い濁りが1ヵ月以上も続きました。1ヵ月後の10月7〜9日にかけて、3日間で50cm超え4尾、40cm台7尾を釣り上げました。どんなルアーでも簡単に良く釣れ、しかも、小物が殆ど釣れませんでした。
4-2-3.ニジマスは寒波に弱い ニジマスは想像以上にデリケートな魚であり、初夏や9月以降の季節は、寒波が入り気温が急に下がると、まるで魚がいないのでは無いかと錯覚するほど、終日、全く釣れなくなる事が良くあります。 4-2-4.有名河川で釣れる日と時合いを簡単に知る方法 (1) 地元釣り師の活性 釣り人の非常に多い有名河川では、渓畔の駐車スペースに地元ナンバーの釣り師の車が多数停車している日や時間帯が、間違いなくニジマスの活性の高い状態となります。多数の車が停車しているのを見るとガッカリしますが、逆にチャンスなのです。地元ナンバーとは、道東であれば帯広や釧路ナンバーになります。 (2) ツバメなどの鳥の活性 初夏や初秋などに限りますが、ツバメなどの鳥の行動を、遠くから双眼鏡などで確かめる方法があります。活性が高く釣れる時間帯は、羽化した水棲昆虫が河川上に飛び出す時間帯でもあるため、その虫を食べる鳥たちが河川の上空を盛んに飛び回ります。 4-3.ニジマスの付き場 渓魚の付き場は季節により変化するものです。しかしながら、筆者は6〜11月初までしか北海道に滞在しておらず、冬季〜春にかけての状況は良く判りません。以下は初夏から晩秋にかけての説明となります。 4-3-1.大物は深い場所 大物は沢山の水が集まり、1m以上も深くなっている場所の底に定位している事がほとんどです。大きな沈み石や障害物が有る場合も、その周囲が深く掘れていて、大物が定位します。また、渓の屈曲部には水流が集まって土手にぶつかる場所(ブツカリ)が出来やすく、深く掘れて大物が集まりやすい場所となります。
4-3-2.初夏は浅い場所にも大物 初夏の水棲昆虫の大量に流れてくる時期は、強い流れの浅い瀬に大物が定位している事があります。水深がほんの20cmほどしか無い強い流れの中で、突然、大物がヒットしてきたりして驚かされます。ドライフライでの大物釣りのチャンスでもあります。 4-3-3.激流・泥濁りは緩流帯に大物 豪雨で激流・泥濁りとなると、魚たちは激流脇にできる巻き戻しなどの緩流帯で、ある程度の深さのある場所に逃げ込んで退避しています。そんな場所に良く光る重いスプーンやミノーを投入して底で踊らせると、驚く様な大物がヒットしてくる事があります。白っぽい良く目立つ大き目のフライを、底付近で踊らせることでも釣れます。 4-4.アプローチ 本州のイワナやヤマメでは、「石化け木化け」と言われるほどにアプローチには気を付けなければいけませんが、野生化したニジマスは意外にも大胆で、活性の高い状況下であれば、ほんの数mも離れていれば、ルアーやフライに喰い付いてきます。多くの釣り人が、水中をジャバジャバと歩きながら釣っています。 しかし、活性がそれほど高くなく、なおかつジンクリアな場所では、やはりできるだけポイントから離れて釣るべきです。また、釣り人の多い有名河川でも同様です。もっとも、北海道のニジマスの釣り場は、水量の多い本流が多く、殆どの場合に透明度が低めであるため、あまりアプローチに気を使う必要はありません。 4-5.タックル タックルについては釣り人それぞれのこだわりや好き嫌いがあり、ご自分なりに考えて選ばれれば良いと思います。この稿では、ごく一般的なタックルについて説明しています。また、フライフィッシングについては、主に筆者の使用しているタックルの紹介に留めます。 4-5-1.ルアーフィッシングの一般的なタックル (1) ロッド、リール、ライン 50cmを超える野生化ニジマスのパワーとスピードは、本州のイワナ・ヤマメとは全く異なり、凄まじいものがあります。そのため、タックルは本州の渓流釣り用よりも一回り大きなものを選ぶ必要があります。特にリーダーは2号程度以上の強いものを選びます。本州で多用される1号以下のものは殆ど使い物になりません。下記は道内で一般的に良く使用されていると思われるタックルの一例です。 ・ロッド:7〜8ft・先調子のL〜ML ・リール:スピニング2500〜3000番 ・ライン:PE15lb(1.5号)以上 ・リーダー:ナイロン又はフロロ8lb(2号)以上をロッドの長さ程度 (2) ルアー ニジマス釣りにおいて、最も良く釣れるルアーは小型のスピナーです。スピナーが虫に見えているのかも知れません。ただ、スピナーは小型のニジマスが先に喰い付いてくる事が多く、また、浮き上がりやすいため、大型を狙って釣りたい場合には向きません。また、流れが無く平らな水面の場所では釣れません。 ・最も良く釣れるのは小型のスピナー。Bretton金赤/銀赤/#1/#2など。但し、小型ニジマスが中心。止水では釣れない。 ・浮き上がりを防ぐため、ロッドの先端を水面下に突っ込み、リーリングします。 ・飛距離を稼ぐのと同時に沈めるため、中通し錘をルアーの手前に取り付けて使うこともある。 初夏を除き、大物は深く掘れたポイントの底を釣る必要があります。また、大型のニジマスは、ジャンプと縦回転を繰り返し、必死で鉤を外そうとしてきます。 ・深い場所の底を釣るため、ディープダイバーミノーやスプーン、場合によってはジグを多用します。 ・大暴れするため、大きなミノーのトリプルやシングルフックの直結はヒットしても殆どがバレてしまいます。 6cm程度以上のミノーでは、腹部のフックは取り去り、尾部を段差ダブルフックに変える事でバレを激減できます。 ・大型のニジマスはドジョウなどの小魚も捕食しているため、ドジョウ型ワームでも大型を狙えます その他 ・赤・緑の油性マジックで腹部や全体を塗装することで、釣果が上がる事があります。 ・スプーンの後方30cmほどにフライを繋ぎ(トレーラー)、下流側へ流すと小ニジマスが簡単に釣れます。
4-5-2.フライフィッシングのタックル (1) ロッド、リール、ライン 筆者はフライフィッシングには精通していませんので、詳しい解説は控えさせて頂きます。ただ、北海道のニジマスに関しては、ルアーよりもフライフィッシングの方が圧倒的に良く釣れるのは事実です。本州ではフライフィッシングは過去の釣りになりつつありますが、北海道では現在も主流となっています。 フライフィッシングでは、好みに応じて様々なタックルが使われています。又、場所と釣り方によりタックルを取り替え、釣っている人がほとんどです。大きな河川ではシューティングヘッドやダブルハンドを使っている釣り人もいる一方で、狭い渓では、6ft前後#3〜4程度のショートロッドを多用する釣り人もいる様です。 下記のタックルは筆者の使用しているものです。ごく一般的な本流の釣り場では、#6程度のロッドにWF-6Fライン、ティペット2x程度を装着して釣っている人が多い様です。ライン切れが多発するため、本州の渓流の様な4x以下のティペットは殆ど使いません。 筆者の使用タックル(これがベストとは限りません) ・ロッド:Brookstone906 9ft#6 ・リール:Echo Ion Fly Reel #4/5 ・ライン:ノーブランド WF-6F ・リーダー:Tiemco Standard 0X9F ・ティペット:GrandMax Fx 2号/2x (2) フライ 初夏の最盛期を除いて、大型のニジマスを狙うには、深く掘れた場所の底を釣る必要があります。そのため、ドライフライでは、どうしても小物が中心になってしまいます。深い所を積極的に攻めるため、筆者はアウトリガーニンフを多用しています。しかしながら、一般的にはドライフライに人気があり、こだわる人も多い様です。 ・筆者の良く使っているフライは、プリンスフライ、クロカワ虫フライ、ブナ虫フライなど。 フライから30cmほど離した所に、2B〜4Bのかみ潰し錘を取り付け、アウトリガーニンフ釣法で釣っています。 ・濁りがある渓では、赤や白のコントラストの強いフライを良く使います。 ・釣り人の多い有名河川では、管理釣り場で使用するトラウトガムやエッグ、オクトパスなどが奏功する事があります。 4-6.釣り方 違法な網や毒流しなど、ニジマスに限らない一般的な河川での禁止事項は守る必要がありますが、自然河川でのニジマス釣りに限った、法的な裏付けのあるルールはありません。ルアーロッドでスプーンにフライを繋げて投げる人やフライに餌を付けて釣る人など、様々です。釣り方は自由ですが、ぜひご自分の納得の行く、こだわりの釣り方でお楽しみください。 フライフィッシングに関しては、釣り方に関しても詳しくありませんので、筆者の良く使っている釣り方の紹介のみに留めます。 4-6-1.ルアーフィッシング 30cm程度までの小型のニジマスであれば、適当にルアーを投げているだけでも釣れるものです。しかしながら、大物はある程度の活性の高い状況下で、なおかつ、狙って釣らないと釣れません。 (1) 初夏 道東では初夏の5月末〜6月下旬ころに大量の水棲昆虫が発生し、非常に活性の高い状態が続きます。活性の高い時間帯になると、強い流れの浅い瀬などに大物が出て来るため、ごく普通の釣り方でも大物が釣れる事は有り得ます。もっとも、この時期でも、深く掘れたポイントや障害物周りにも大物は定位しています。 (2) 大物を狙った釣り方 通常は、まずは1m以上も深く掘れたポイントや激流の中に大きな障害物のあるポイントを、前もって複数見つけ出しておきます。その上で活性の高い日の9時ころから14時ころにかけて、そのポイントを次々と攻めます。釣り人の多い有名河川では、そういったポイントはすぐに攻め続けられるため、時間との勝負になります。 基本はポイントの底狙いですので、ディープダイバーミノーであれば上流側から逆引きで、重いスプーンやジグであれば、真横〜やや下流側に立ち、底をトレースする様にリーリングします。透明度の低めの本流の釣り場では、ある程度まで近づいても構いません。 強いブツカリのポイントでは、深く掘れた部分が縦に数〜十数mも続いていて、底に大物が何尾も並んで定位しています。透明度の倍程度の間隔を開けながら、丁寧にポイントを全て探ります。しかしながら、この様な操作をしても、大物の釣れる確率は非常に低く、小物が釣れるだけの日が多いものです。諦めない事が肝心です。 4-6-2.フライフィッシング 筆者はアウトリガーニンフと呼ばれる釣り方を多用しています。これはフライの手前に小さな錘を付ける事で、フライを素早く目的の深い層まで沈め、大物を狙って釣るためです。 (1) アウトリガーニンフ 4-5-2.(1)で示したタックルを使用します。1m以上も深くなったポイントの上流数mにフライを投げ込み、ラインをたるませない様にしながら、底ギリギリを流します。時折、底石に錘が触れ、コツコツとロッドに振動が伝わる事で、そのポイントの深さを判断します。高透明度では数回、本流など低透明度の釣り場では、十数回も繰り返し流します。魚信はロッドに直接伝わってきますので、素早くアワセます。 筆者の良く行く十勝の音更川は非常に特異的な河川であり、クロカワ虫が大量に発生しています。一つの大きな石を裏返すと、何匹ものクロカワ虫を見つける事ができます。餌が豊富なため、魚影が極めて濃いと考えています。音更川ではクロカワ虫フライを良く使います。
以上 |