そもそも片山さんの釣り方に興味を持ったのは、本誌バックナンバー98号(96年6月号)の「堰堤プールの大イワナ釣り」という記事を担当したのがキッカケである。この記事を編集作業している最中にも堰堤釣りにこだわり続ける片山さんとは一体、どんな人物なのか?という、興味にも似た好奇心を抱いたのは確かである。
国道脇の駐車スペースに車を止め、素早く身支度を整え、最後にカンジキを履いて雪壁を登る。これが最初の難関だ。雪融け後なら沢沿いに林道があるというが、その時期ともなると釣り人も多く入渓し、場荒れによって大型のイワナは警戒心が強くなり、ヒットに結び付けるのは難しくなるという。
手慣れた手つきでラインにルアーを結び、ポイントを見定めて対岸のヘチへキャスト。ラインスラックを取りながらスローリトリーブで低層を攻めている。ファーストヒットはそれから数分後、キャスト数にすれば15、16回目だろうか、片山さん愛用のグラスロッドが奇麗な弧を描いている。
尚も、キャスト位置を変えながらポンポンと同じポイントからイワナをヒットさせるのだ。この時、さすがに「堰堤釣り」を極めたアングラーだと感心させられたのであった。 (雪に埋もれる堰堤。渓流のルアーフィッシングの新たなフィールドとして注目したい。しかしながら、県や漁協によっては、こうした堰堤を「禁猟区」に設定している所もあるので、釣行前には必ず確認すること) |