インフォメーション

2001年度 内水連釣りフォーラム



昨年まで4回にわたり開催された「21世紀の渓流釣りフォーラム」は一応の成果を見せ終了しました。「釣れない」「魚がいない」と言われ続けている昨今の釣り場環境を何とかしようと、今年度からマスメディア抜きで漁業・行政・釣り人が一堂に集い、話会いの場を継続することになりました。放流事業、ゴミ問題、釣り人のマナーなど、解決しなければならない問題は山積しています。 今年もこのフォーラムに参加してきましたので、報告します。

以下の文面で、青字は内水面漁協の案内文褐色字は私の個人的な意見です。なお、以下のレポートは私個人の感想を述べているものであり、フォーラムの総意ではない事をご了承下さい。



釣り人と漁協・行政が席を同じくして討論を展開!

2001年度 内水連「渓流釣りフォーラム」

1.趣 旨

 県内の内水面漁協は、漁場環境の保全や魚族資源の増殖を図りながら漁業を行っています。最近、県内で住民の自然志向もあて、遊漁者が増加していますが、こうした河川・湖沼の利用者が増加することは、漁協にとっても望ましいことである反面、漁業環境や魚族資源への影響も無視できない情況にあります。このため、漁場の生産力を維持向上させるためには、従来にも増して積極的な対応が必要になっています。

 県内水面漁連は県内17漁協の連合会ですが、河川・湖沼の利用者に対し、水産資源の適正利用や河川等の環境保全の啓発普及を図る「内水面域振興活動事業」を行っています。「内水連釣りフォーラム」では、県内水面漁連と県渓流釣り協議会及び行政が、会場の参加者とともに「より良い漁場(釣り場)づくり」について、話し合います。

2.日時及び場所

(1) 日 時:平成13年2月25日(日)         13:00時〜16:00時
(2) 会 場:山形国際交流プラザ「ビッグウイング」  入場無料
      山形県山形市平久保100番地      電話:023(635)3100


  会場のビッグウィング             参加者は昨年より少なかった

3.主 催

  山形県内水面漁業組合連合会          電話:023(641)2407


主催者挨拶。中央は内水面漁連会長高橋氏。マスコミ(釣り人社など)を入れて昨年まで4回のフォーラムが開催されたが、昨年度で一旦は予算が打ち切りとなった。今年から再度予算を確保することができ、地元の漁協・行政・釣り人だけでフォーラム継続となった。本会継続には山形県渓流釣り協議会の協力が大きかったとのこと。他県では例を見ないこういった3者による会合は、今後もおおいに続けて頂きたい。

4.後 援

  山形県農水産経済課
  山形県渓流釣り協議会

5.基調講演

(1) 演 題:「清流に心のふれあう漁場づくり」
(2) 講 師:東京水産大学海洋環境学科       丸 山  隆 氏


イワナやヤマメの生活史や棲息環境研究で有名な丸山氏からは、21世紀の河川管理の有り方について様々な提言がなされた。理想は、自然度と河川安全度のバランスを住人自らが決めることにより、現在の役所の代わりに地域住民が危険や犠牲を理解して管理する、といった自治組織が広範囲に作られること。

環境のために今後推進して行くべきことは、支流を禁漁として種沢を確保すること、堰堤下のアーマリング(大きな底石ばかりになって産卵ができなくなる)を川床を攪拌することで防ぐ、堰堤をスリット化する、地元の住民(特に子供や女性)の意見を吸収、などなど。また、最上川の河川としての特徴や生態系のルーツなど、興味深いお話も伺うことができた。


6.事例発表

(1) 山形県渓流釣り協議会事務局長         大 瀧  伸 二 氏
(2) 最上川第二漁協大井沢支部長          志 田  忠 昭 氏


山渓協の大瀧氏からは、H10年の協議会運動開始以来の活動・歴史について説明があった。昨年2月に協議会が発足し、理事会・釣り大会・行政/漁協との円卓会議・行政への意見提出など、様々な活動が展開されている。三者一体となって環境・マナー・モラル向上・釣り場環境など自らの手で改善して行きたいので、長い目で支援して頂きたいとのこと。

最上第二大井沢支部長の志田氏からは、寒河江C&R区間のこれまでの経緯・現状について説明された。今年で早や5年目を迎えるC&R区間だが、多くのボランティアにより支えられてきた面が大きい。昨年からは山渓協の協力も受け継続している。当初は釣り客が減少するのではないかという危惧もあったが、実際には入漁券の売上が開始前の10倍以上にもなっているとのこと。12年度からC&Rに注ぐ全ての支流を禁漁化した。昨年8月の集中豪雨の影響が心配だが、禁漁の支流の効果がどの程度のものか、様子を見ている。


7.討 論

テーマ:「21世紀の釣りを豊かにするためには」
      − 漁場は、資源は、釣り人は −

座 長:山形県環境保全審議会委員         吉 野  智 雄 氏


討論者:
    東京水産大学               丸 山  隆 氏
    県内水連会長               高 橋  安 則 氏
    大井沢支部長               志 田  忠 昭 氏
    県渓流協会長               斎 藤  金 也 氏
    県渓流協事務局長             大 滝  伸 二 氏
    県水産室長                今 野  亘 氏
    会場参加者

一般参加者の中の今井富世氏からの提案で、壇上の各人の「21世紀の釣りを豊かにするため」の具体的な方策を聞くことになった。その中で幾つかの興味深い意見や今後展開される方針などを伺うことができた。

本題から少々話が外れますが、1月末ころに複数の漁業組合に対し、堰堤プールでの餌釣り師による乱獲の現状を示し、「乱獲防止の観点から尾数制限を設けて欲しい」ゆえ、私K++からお願いしていました。壇上の高橋内水連会長からこの話が出され、具体的に尾数制限や堰堤プールでの釣りの在り方などについて検討されているとのこと。部外者の意見も快く受け入れてくれる内水面漁連の懐の広さには敬服する。こういった問題提起を行う事により、今後、堰堤でのボート釣りや堰堤釣りそのものが禁止に向う可能性も高いが、釣り場環境の改善につながるものであれば、大いに歓迎したい。

現実に堰堤の餌釣りで1日に数百尾単位のイワナを持ち帰る釣り人が散見され、そういったごく少数の良識の無い釣り人が、その水系全体の渓魚を枯渇させていると考えられます。堰堤での乱獲は絶対に禁止すべきなのです。釣り場の監視を強力に行い、そういった一部の良識の無い釣り人を強制的に排除して行くことを強く要望して行きたいと考えています。堰堤釣りを世に広めたのは、私K++であると自負していますが、今後は逆にこの釣りの悪弊を消し去って行くことも、私の役目だと考えています。


一方、小国町漁協と最上第二漁協管内では、堰堤にスリットを入れる工事を今後進めるとのこと。これは既存の堰堤のコンクリート壁に、縦に幅2〜3m程度のスリットを数本入れるもので、魚の上下流への行き来を可能にするとともに、土砂を堆積する事無く、洪水時には防波堤となって災害を防ぐというもの。こういった工事を施すことにより当然、堰堤上のプールは無くなり、堰堤釣りのできるエリアが減って行くと考えられますが、魚や環境のためには素晴らしい方策であり、私自身は堰堤のスリット化に大賛成しています。

【山形県渓流釣り協議会総会】


昨年と同様に、フォーラム後の時間を利用して、山渓協の総会が開かれました。今回はフォーラム自体の参加者が少なく、総会への参加者も少なかったのが残念です。H12年度の山渓協の活動実績・13年度の活動方針・山渓協ステッカーの製作などの話がありました。参考に13年度の活動予定を下記に示しておきます。この様な活動が昨年から実施されているにも関わらず、実際には殆どの人が活動の内容を知らない状態であることが、非常に残念です。このHPをご覧になった皆さんも、こういったイベントに是非参加されてみては如何でしょうか。


1月28日  第一回理事会
2月8日  水産室・内水面漁連・山渓協の3者による円卓会議
2月25日  定時総会
4月22日  第一回常任理事会
5月20日  ビギナー渓流釣り教室(仮称)開催
5月27日     同   上
6月2日  救命蘇生法講習会開催
6月3日  第三回馬見ヶ崎川親子釣り大会開催協力
6月17日  第二回理事会
6月    真室川、梅の里渓流釣り大会参加協力
7月22日  第二回常任理事会
7月    渓流協会員親睦釣行会開催
10月21日  第三回理事会
11月18日  第三回常任理事会
11月    渓流協フェスティバル(仮称)開催
12月16日  第四回理事会
通年    山形県漁場管理委員会参加(会長)
      太井沢キャッチ&リリース推進競技会参加
      及び、釣り大会開催協力

【オマケでミニオフ】


今回のフォーラムは急遽決められたとのことで、私自身、開催されることを知ったのは10日ほど前でした。毎回、何人かのTLFビジターの皆さんとフォーラム会場で顔を合わせる事を楽しみにしていますが、残念ながら、今回は写真左の渡辺@山大さんだけでした。お友達と一緒に鶴岡からわざわざお出でになって来られました。初めてお会いした訳ですが、フォーラム終了後にお茶を飲みながら、堰堤釣りのこと、C&Rのこと、水棲昆虫のことなど、時間を忘れ話込んでしまいました。気が付いたらあたりは真っ暗で、2時間ほどの時間もアッという間の出来事でした。