「釣れない」「魚がいない」と言われ続けている昨今の釣り場環境を何とかしようと、マスメディアと漁業・行政の関係者が立ち上がり、話会いの場を作りました。放流事業、ゴミ問題、釣り人のマナーなど、解決しなければならない問題は山積しています。フォーラムに参加しましたので、その大まかな内容を報告します。なお、以下のレポートは個人的な感想を述べているものであり、決して当フォーラムの総意ではありません。ご了承下さい。 '98山形・21世紀の渓流釣りフォーラム
以下の文はフォーラムに参加して思った私の全く個人的な意見です。 1.上流から下流まで、様々な価値観と利害関係を持つ多数の団体が複雑に関与している日本の河川の現状を考えると、各方面の関係者同士がその利害関係・価値観の溝を埋め合う場所として、この様なフォーラムを開催する事自体は非常に有意義な事で有ると思います。 2.しかしながら、2回のフォーラムで出された幾つかの提案は、C&R区間の設定など具体化したものは有るものの、いずれも余りにも力不足な感を否めません。 3.渓流での全ての問題は、ややもすると「釣り人のモラル」にその主因を見出しがちですが、「釣れる川が無いから人が殺到する」「監視をされていないから密猟をする」のであり「ごみ箱がないから仕方なく不法投棄する」といった環境を忘れてはならないのではないでしょうか。もちろん環境を整えても違法行為を行う釣り人はいますが、そういった人達には、別途、法的な罰則を与えなければならないでしょう。 4.現状の渓流が抱えている根本的な問題点は何かを考えると、それはやはり「全てにおいて野放し過ぎる」事ではないでしょうか。数値管理された放流により釣れる渓流を作り、密猟と不法投棄/環境破壊の監視を強化し、釣り場にはゴミ箱を設置しなければ、釣り人は「釣れない」と嘆きながら、渓流をゴミだらけにし続ける事でしょう。 5.しかし、環境を整えるには、例えば、たった一個のゴミ箱を置くだけでも、常に人・物・金が必要です。その人・物・金をどこからどの様に調達するかについて、具体的な突っ込んだ討論がなされる事を期待していましたが、残念ながらその様な話は2回のフォーラムでは全く見当たりませんでした。 6.人・物・金を調達する手段、それは将来的には、あるいは最終的には「受益者負担」しか無いのではないかと思えます。日本の渓流釣りは安過ぎる事を認識すべきだと思います。否、殆どの人は「タダ」で釣りを楽しんでいるのです。数倍の入漁料を払っても、それが確実にユーザーに還元されている渓流があれば人は集まります。如何にして「野放し」を阻止するかを考え、そのためには、そろそろ釣り人自身が痛みを受けなければならない時期が来ているのでは無いか、と感じました。 |