ミニオフレポート

18年ダム湖の釣り終盤戦:(6月2日〜17日)


18年のダム湖の釣りは、5月中旬ころまでは概ね、例年よりは良い釣果に恵まれていました。しかしながら、5月17日から19日にかけてやってきた季節外れの記録的な豪雨が、その後の釣果に大きな影響を及ぼしました。豪雨で強く濁ったダム湖は、1ヶ月近く経ってもその透明度は完全には元に戻っていません。また、湖底に堆積した土砂が深層での濁りを引き起こし、特にトローリングでの貧果を招いてしまったと考えられます。前半の好釣果とは裏腹に、後半の貧果に後ろ髪を引かれる思いで、今季のダム湖の釣りを終えました。

注:釣り場の特定を防ぐため、風景画像に大幅な修正を加えるか、同イメージの別の場所の写真を使用しています。ご了承下さい。


【6月2日(土)】

6月の声を聞くと、例年であれば雪代も落ち着き、下越・南東北のダム湖の透明度は一気に上がり始めます。そしていよいよ当地でのトローリングの季節到来となります。しかし、今季は少し様相が異なってしまいました。5月17〜19日にかけて、新潟・山形・秋田の3県にまたがり、観測記録を更新する季節外れの豪雨が猛威を振るいました。その結果、付近の多くのダム湖には大量の土砂が流れ込み、また、湖水全体が強く濁ってしまいました。湖水の濁りは、遠くにいる魚からルアーを見えなくするため、トローリングには大敵なのです。

豪雨から2週間後でもまだ濁りが強いそれでももっくんに大物ヒットもっくんの2尾目は44cmの良型

しかも、多くのダム湖では表層の水の循環がほとんど無いため、一旦強く濁ると長期にわたって濁りが取れません。この日訪れたダム湖も、豪雨から2週間も経過しているにも関わらず、透明度は1mにも満たない状況でした。これではトローリングは不可能です。仕方なく、濁りの比較的少ないインレット付近で、キャスティングで釣るしかありません。しかし、この日の濁りはそれでもかなり強く、キャスティングでもギリギリの状況でした。そのため、午前中の早い時間は全く反応が無く、お昼近くの明るい時間帯に時合いがやってきました。

かなり強い濁りの残った激流の中から飛び出した49cmイワナ49cmともっくん

当初はミノーを投げども投げども何も反応が無かったのですが、11時ころ、突然ドラマがやってきました。もっくんのロッドにガツンと魚信が出て、まずは49cmをゲット。これはイケるかなと思ったその後は、しかし、いつもとはちょっと変わった展開が待っていました。その後はなぜか、もっくんばかりにヒットが続き、40、34、44、37、38、32、40cmにチビサクラマス2尾と、14時ころまで一人で連発でした。その間、私にヒットした獲物は30cmと25cmのイワナにチビサクラマス1尾だけ。同じ場所で同じ様なミノーを使い、同じ様に釣っていたのですが、この差は一体、何だったんでしょうねぇ。釣りって判らんもんですなぁ。

私にはなぜかチビイワナ2尾と・・チビサクラマスが1尾だけこの日は完璧なもっくんDayだった

【6月4日(月)】

さて、この日は今年初めてとなるダム湖に入渓してみました。現地に到着してみると意外にも透明度は高そうで、これはイケるかなと思ったのですが、そうは問屋が卸してはくれませんでした。この地も5月中旬に季節外れの豪雨に見舞われていて、恐らくダム湖の湖底には、例年では考えられないほどの大量の土砂が流れ込み、堆積していた様なのです。インレットに行ってみると、写真下中央の様な強烈な泥濁りでした。実はこの時期、多くのダム湖は梅雨の豪雨に備えて減水中であり、ダムの水位は大きく低下中なのです。

今年初めて入渓するダム湖インレットは豪雨の影響で泥濁り前線を過ぎたあたりで出た尺イワナ

水位が下がるとインレットの位置が上流部から下流部へと徐々に移動します。すると、それまで湖となっていて殆ど流れの無かった場所が、流れの強い川に変わります。その結果、それまで湖底に堆積していた大量のヘドロが流れで巻き上げられ、インレット付近で強い濁りが発生するのです。その濁った水は前線(冷たい流入水が暖かい湖水の下に潜り込む地点)までの水域を泥濁りにします。しかも、前線で湖水の下に潜り込んだ濁った水は、水温躍層の付近を広く漂いながら、ダム湖全体へと広がって行きます。つまり、表層は透明度が高くても、これではトローリングでは釣れません。結局、この日は写真の様な散々な結果でした。

その後はトローリングに徹したが・・釣れたのはおチビちゃんが2尾だけ豪雨の影響が色濃く残っていた

【6月7日(木)】

3日前の釣果があまりにも悲惨だったため、この日はインレットの濁りの比較的少ないダム湖に入渓しました。このダム湖は梅雨の豪雨に備えて減水する時期が遅く、未だ水位が安定していたからです。それでもインレット付近の透明度は1m程度とかなり濁っていました。豪雨から3週間近く経過していても、多くのダム湖ではこの様な状況が続いているのです。インレットまでの移動途中には、左下写真の様に、5月の豪雨で大きく斜面が崩落し、青々とした葉の付いたままの巨木が水没している光景も見られました。山奥では同様の爪痕が数多く見られるのではないかと想像できました。

豪雨で大きく崩落した斜面おチビちゃんでスタートしたが・・・キャスティングで順調に釣れた

ただそれでも、キャスティングでは十分に勝負になりました。多少の濁りが有っても、ルアーの着水音が渓魚たちを呼び寄せてくれる様で、いつものSukari60DeepやPintailなどのミノーを、大きな音を立ててボチャンと投げ入れてやり、底ギリギリまで沈めてからリーリングを始めると、イワナ達がポツポツと喰い付いてくれました。この日は濁りでやはりトローリングはできませんでしたが、インレット下流部でこんなキャスティングを繰り返すことで、46cmを筆頭に、40cmオーバー2尾を含むイワナ11尾に小さなサクラマス2尾を釣り上げることができ、久々の大漁となってくれました。

インレットの200mほど下流部の激流から飛び出した46cmイワナ46cmと私

【6月9日(土)】

この日はもっくんと2人で、4日に釣ったと同じダム湖へ入渓しています。例年であればこの時期、このダム湖ではトローリングで40cmを超えるサクラマスやイワナが数多く釣れているのですが、前回は散々な結果でした。それでも昨年までの釣れっぷりが忘れられず、再度挑戦という訳でした。しかし1週間経過しても状況はさほど変わらず、相変わらずインレット付近は濁りが強くて釣りになりません。加えて、水温躍層付近がまだ濁っているのか、トローリングでも大物は出てきてくれませんでした。ただそれでも前週よりは多少は状況が好転していた様で、小物ばかりですが、数の上では前回を上回る結果でした。

この日は朝からどんよりと曇り尺ちょっとのサクラマスが出迎えしかし、その後もおチビちゃんばかり
支流のインレットの冷たい水の中で釣れた唯一の大物イワナ44cmイワナ44cmと私

この日は大物も2尾だけ釣れていますが、いずれもちょっと変わった釣れ方をしています。上のイワナは、普段は行った事の無かった支流のインレットで釣れています。支流は流れが弱く、それほど濁りが出ていないかと期待して入渓しましたが、行ってみるとさほど変わらぬ濁りでした。しかし、前線の近くのやや濁りの薄い場所をトローリングしていると、なぜかこの1尾だけがヒットしてきました。付近をしつこくキャスティングで攻めてみると、尺にも満たない小さなイワナやサクラマス、それにウグイはヒットしてきましたが、大物はこの1尾だけだった様です。

本流インレットは未だに濁りが強いしかも釣れたのはおチビちゃんだけ流入河川の水はこんなに綺麗

もう1尾は、夕方の薄暗くなりかけた時に釣れた、もっくんのサクラマス47cmです。この獲物は引きも強く、魚体も極めて立派でした。ただ釣れ方がちょっと変わっていました。トローリングをしている最中に、私のロッドにウグイがヒットしてしまい、ボートを停めてモタモタしていると、もっくんの流していたSukari60Deepが深い所に沈んで根がかりしそうになったため、慌てて急速にリールを巻き始めた瞬間に、このサクラマスがヒットしてきました。深さは4mくらいしか無い場所で、恐らく底ギリギリに居た魚の目の前にミノーが落ちて来て、急に巻き始めたために反射的に喰い付いたのではないかと考えています。

沈んだミノーを急いで巻き上げてきた時にヒットしたサクラマス47cmサクラマス47cmともっくん
ピンクのシモツケソウアカツメグサハマヒルガオ

【6月11日(月)】

この週は、私は用事があって山形県内へと移動していました。この日は午後から時間が出来たため、昨年から魚影の回復しつつあるダム湖へ、様子を見に行ってみました。このダム湖は5月中旬にも訪れていて、魚影が回復中であることをレポートしています。当初は岸から様子を見るだけで帰ろうかと思っていましたが、見ると減水して露出した泥の岸辺に、数多くの釣り人らしき足跡(写真下中央)が見受けられました。昨年まではこの様な足跡は見たことが無かったのですが、魚影が回復し始めると、途端に釣り人が増える様です。

大きく減水し始めたダム湖魚影が回復した途端に足跡だらけ減水でインレットはやや濁っている

ただ、最も釣れそうなポイントは岸からの釣りでは届かないため、手の付けられていないポイントには魚影が濃く残っているのではないかと考え、フローターを出してちょっとだけ釣ってみる事にしました。もう時間は15時を回っていましたが、フローターで前線の付近に移動し、ミノーを投げ始めると、小物ばかりではありましたが、次々とイワナやニジマスがヒットしてきました。一通り釣り終わった後、再度、前線の中央付近にSukari60Deepイブキを遠投し、底付近をトレースすると、最後の最後にこの日一番の41cmがヒット。たった2時間ほどの短い時間でしたが、イワナ6尾にニジマス1尾の計7尾の、実に楽しい時間となってくれました。

フローター上からは次々と釣れた尺ちょっとのニジマスもこの日の最大はイワナ41cm

【6月14日(木)】

さて、今季のダム湖の釣りもいよいよ終焉が近付いてきました。6月半ばにもなると雪代もほぼ終了していて、近づく夏の気候と相まって、水温が一気に上がってくるのです。すると多くのダム湖の表層水温は20℃を超え始め、渓魚や餌のワカサギたちは、水温躍層のある水深10m前後の深い層へと移動してしまいます。すると我々の得意とするハンドトローリングでは、ほとんど釣れなくなってしまいます。ハンドトローリングで攻めることのできる深さは、せいぜい6mまでだからです。

汚泥の堆積したインレット下流部岸釣りで尺足らずのサクラマス同じく岸から尺イワナ2尾も釣れた

もちろん、レッドコアや潜行板、或いはダウンリガーといった釣法を使えば、より深い所を攻めることはできます。しかしこれらの釣り方では、道具が大掛かりになると同時に、ロッドの引き抵抗が非常に大きく、正直、釣っていても余り楽しくは無いのです。やはりダイレクトに魚の引きがロッドに伝わってくるハンドトローリングに、釣りの楽しさの点では敵いません。そのため、私は6月中旬ころを最後に、ダム湖の釣りを終えることにしていると言う訳です。ただ今年は5月の豪雨でダム湖の濁りが取れなかったため、トローリングの釣果に恵まれておらず、少々焦ってはいました。

10時頃、苦労してボートを出したが・・釣れるのは小さなサクラや・・小さなイワナばかり・・

そしてこの日は悪あがきで、9日に釣ったと同じダム湖へ、大物のサクラマスを求めて再度入渓しました。最初は入渓地点で岸釣りを試みてみましたが、ほんの1時間ほどで尺前後のイワナ2尾と小さなサクラマスがヒット。気を良くして、泥だらけの斜路から苦労してボートを出しました。しかし、前週とさして状況は変わってはいない様で、湖面を延々とトローリングで終日粘りましたが、釣れたのは34cmまでのイワナ8尾と28cmまでのサクラマス5尾であり、数こそ出てくれましたが、大物は皆無でした。昨年までは大物が何尾も釣れた同じ釣り場で、小物ばかりが幅を利かせる様になってしまったのは、理由が良く判りません。

大物に尾部をかじられたサクラインレットは未だ濁りが残っていたこの日の最大は34cm止まりと寂しい

【6月17日(日)】

そして、この日が私の今季最後のダム湖の釣りとなりました。梅雨に備えてのダム湖の減水は、大抵の場合、6月中旬ころには完了して水位の低下が止まります。このダム湖でも同様で、念のためにインレットへ行ってみると、減水はほぼ完了していて、土砂の巻き上げによる濁りもほぼ消失していました。そのため、水温躍層付近の濁りも、徐々に解消に向かっているはずでした。しかしながら実際に釣り始めてみると、やはり小物ばかりで、40cmを超える様な大物はイワナ・サクラマスともに、全く釣れませんでした。

午後からは良く晴れてクソ暑い日に久しぶりのTさんも不漁だった様だ大物は釣れなかったが数は出た

この日は久しぶりに新潟のTさんともお会いしましたが、彼も同様に不漁だった様子で、朝一番にダウンリガーで釣れたイワナ42cm以外は大して釣れなかったらしく、お昼過ぎには早々に帰ってしまわれました。この日の私の釣果は、イワナ36cmまで9尾とサクラマス27cmまで7尾の計16尾。もっくんの釣果も同様で、イワナ34cmまで6尾とサクラマス35cmまで8尾の計14尾であり、2人で釣れた尾数は30尾と、これは我々の仲間内では過去最高でした。しかしながら、私には最後まで、サクラマスの大物の釣れなかった事が悔やまれました。

私のイワナの最大は36cmサクラマスはたったの28cm止まりなぜかパーマークの有るヤマメも

さて、私の今季のダム湖の釣りはこの日をもって終えましたが、気になるのはやはり5月中旬の季節外れの豪雨の、今後に与える影響です。13年にも記録的な豪雨があり、因果関係は判りませんが、付近のダム湖で魚影が消えました。今回の豪雨でも、5月後半以降の釣果には、明らかに過去とは違う傾向が出ています。ダム湖の減水が完全に終了した後には、深層の透明度が上がり、また大物が釣れる様になる可能性はありますが、未だ判りません。そして、今回の豪雨が、来年以降にどの様な影響を及ぼすのか、今後もしっかりと見定めて行きたいと思っています。

もっくんのイワナの最大は34cmサクラマスは35cmだった数は2人で30尾と過去最高だった

【今回使用のタックル】
ShimanoCarddiffNX/S72L、StradicC3000、SunlineCastawayPE30lb(2号)+SeaguarGrandmaxFX2.5号、
Sukari60Deepイブキ/OB鮎、Ryuki60S赤腹ヤマメ、Dコンタクト63チャートヤマメ、Pintail20g赤金、他