単独釣行レポート

盛夏の北海道の釣り−ニジマス(7月11日〜22日)


今年の北海道は7月初から中旬にかけて猛暑が続き、特に十勝地方は東京よりも暑い日が何日か有った様です。そのため、猛暑下では涼しい場所を選んでオショロコマなどを釣り、気温が下がるのを待ってニジマスを釣りました。ただ、それでもこの時期の北海道にしては気温が高く、思った様な大物に巡り合うことはできませんでした。加えて、十勝のニジマスの渓では、昨年8月の3つの豪雨台風の爪痕が未だに色濃く残っていて、災害復旧工事による渓の濁りにも手こずらされてしまいました。

注:釣り場の特定を防ぐため、風景画像に大幅な修正を加えるか、同イメージの別の場所の写真を使用しています。ご了承下さい。


【7月11日(火)】

山形渓遊会の朝日さんとの釣行の後は、しばらくは道内の観光ばかりに明け暮れていました。しかし、釣り好きの虫はいつまでもは黙っていてくれず、この日、遂に釣りを再開することになったと言う訳です。ただ、この日の十勝の最高気温は27.3℃と、この地にしてはとても高く、水温にデリケートに反応するニジマスの釣りには少々無理があった様です。また、十勝のニジマスの渓では、昨年8月の3つの豪雨台風による被害が凄まじく、その災害復旧工事がいたる所で行われていました。そのため、渓の水は慢性的に濁っていて、しかも時おり強烈な泥濁りの水が流れてきたりしていました。

昨年の台風の復旧工事が今も続く工事区間の渓相は悲惨そのもの工事の無い上流部は釣り人で一杯だ

ただそれでも、この地のニジマス釣りの人気は非常に高く、工事の行われていない上流部の区間では、平日にも関わらず写真右上の様な釣り人の並ぶ姿も見られました。この様な猛暑、濁り、釣り人多数という3重苦では、とてもニジマスなど釣れそうも無いのですが、それでも小さなニジマスが何尾かヒットして来たのには驚かされました。台風であれほどまでに渓が荒れても、また、工事で泥濁りが続こうとも、或いは、入れ替わり立ち代わりの釣り人に攻撃されても、この地のニジマス達の生命力には凄まじいものがある様です。

復旧工事で慢性的に濁っている濁っていても魚たちは健在だチビニジマスがポツポツと釣れる
河畔にブタナの群落が美しいヘラオオバコチシマギキョウ

【7月18日(火)】

しかし、12日以降はしばらくの間、更なる猛暑が続くとの予報。これ以上の猛暑では老体の私自身の体力が持ちそうも無いことから、次の日以降はしばし、涼しい渓を選んでのオショロコマやイワナの釣りに切り替えました。そして、気温の下がり始めた18日になって、ようやく十勝の渓へと舞い戻って来たと言う訳です。ただ、この日の最高気温は、なんと16.6℃。前日との気温差は9℃ほど、3日前の最高気温との差は実に20℃を超える劇的な変化で、なんだか私自身も体調が優れません。これでは流石の冷水性のニジマスでも、釣れてくれるかとても心配でした。

一気に気温が下がり肌寒いこの日も工事で結構な濁りの流れ釣り場は餌釣り師のゴミだらけ

加えて、渓はいつもの通り工事で濁りまくり。それでも、釣り師は絶えない様で、餌の空箱やペットボトルなどのゴミも一杯でした。ただそれでも、釣り始めるといつもの様に小さなニジマスがヒットしてきました。この地のニジマス達は本当に元気なんですねぇ。そして、気温のやや上がってきた10時過ぎになり、強い流れの流心の底から、下写真の良く太った42pが飛び出してきました。先に3重苦と書きましたが、どうやらこの工事の濁りが人影からの魚の警戒心を薄めてくれている様で、ド派手なミノーを深く潜らせる事で、透明度50pほどの強い濁りにも関わらず、ニジマス達が喰い付いてくることが判りました。

強い流れの中から飛び出してきたニジマス42cm 良く太っているニジマス42cmと私

そして、その後も夕方までポツポツとニジマス達はヒットしてきました。当初の心配とは逆に、この気温の急低下は、冷水性の強いニジマス達の活性を上げる良い条件となってくれた様です。なにせ2日前までの数日間、気温は35℃以上、水温は恐らく20℃を遥かに超えていたと考えられ、魚たちは日陰でジッと動かずに我慢していたに違いありません。魚たちには久々の過ごしやすい快適な日となったのではないでしょうか。ただ、ヒットしてきたニジマスは殆どが小型ばかりで、尺を超えるサイズは昼過ぎに出た32cmと16時頃に最後にヒットしてきた39pだけでした。

続く32cmは小さいが良く引いた水温急低下のためか活性は高かったこの日最後に出た39cm
オニシモツケミヤマキンポウゲ海岸に良く見られるシロヨモギ

【7月19日(水)】

翌日は又少し気温が上がりましたが、それでも帯広の最高気温は19.7℃と、平年よりはやや低めでした。条件的には最良かと思われましたが、この日は入渓する場所をうっかり間違えてしまいました。いつもよりかなり上流部の、復旧工事の全く行われていない区間を選んでしまったのです。久し振りに涼しくて条件の良い日になったことに加え、誰もが工事の無い釣り易い場所を選んでしまうのでしょう、平日にも関わらず、私の入渓した8時過ぎには既に釣り人で一杯でした。途中、10時過ぎになると、私が釣っている目の前に餌釣り師が入って来て、知らん顔で釣り始める始末でした。

朝から雨の降りそうな暗い曇天朝は寒すぎるせいか調子が出ない昨年の台風後、通行止めが続く橋

しかも、復旧工事の上流部のために、渓の水はクリアで透明度が高く、恐らく魚からこちらが丸見えだったのでしょう。そのため、釣れるニジマスは小型ばかりでお話になりません。目の前の餌釣り師たちも、3尾ほどのニジマスを釣り上げるのを目撃しましたが、私の釣ったニジマス以上に小さな魚ばかり。見れば更に上流側にもフライマンが2人も立っていたりします。平日なのにです。これでは大物はとても望めないと、午前中にこの地に見切りを付け、午後からはこの渓の源流部へと移動しました。ただ、源流部でも釣れるニジマスは同じ様な小型ばかりで、結局、この日の最大は28cm止まりと寂しいものでした。

餌釣り師も小さなニジばかりの様子ミノーにもチビニジマスばかり結局、この日午前は28cm止まり
エゾカンゾウキクニガナキツリフネ

【7月20日(木)】

この2日ほどは最高気温が20℃を超えない快適な日でしたが、この日はまた気温が上がり始め、帯広の最高気温は25℃を超える夏日となってしまいました。しかし、この日は十勝での最後のニジマス釣りの日であり、汗だくを覚悟で入渓しました。そして、この数日で学んだ事は、復旧工事のかなり強い濁りでも、むしろ魚の警戒心を薄めてくれていて十分に釣りになるという事と、この濁りが多くの釣り人を寄せ付けず、工事の行われている付近には釣り人があまり入って来ないと言う事でした。そのため、この日は車で移動しながら、工事区間と次の工事区間の間のギリギリ釣りになりそうな濁りの場所を選んで入渓しました。

復旧工事で浅く直線化された川再び気温が上がり、汗だくの釣りこのテトラの上流側にミノーを投入

そしてこの作戦は概ね成功でした。2日前と同じく、水温の急に上がり始めた10時半ころになって、46cmのまずまずの良型がヒットしてきました。右上写真の、流心のど真ん中に居座っていたテトラポットの上流側3m程に、Ryuki60S赤腹ヤマメを投入すると、テトラの向こう側から緑っぽいヘビの様なものが突進してくるのが見えました。そして次の瞬間、ガツンと強烈な魚信が出てくれたのです。付近は写真の様な広々としたポイントであり、久々に魚との心地よいやり取りを楽しみながら、なんなくランディングに成功することができました。そしてこの魚は、今北海道旅行での一番の会心のヒットとなってくれたのです。

テトラポットの向こう側から飛び出してきた46cm 野生美が素晴らしい精悍なニジマス46cmと私
しかしその後は気温上昇でチビばかり涼しくなった18時過ぎまで粘った最後の最後に出てくれた31cm

ただその後は、水温が急激に上がり過ぎたためか大型は姿を現さず、チビニジマスばかりがヒットしてきました。特に12時を超えると、汗だくの疲労困憊の釣りとなって来て、魚たちの反応もガックリと低下してしまいました。そして結局、この後に釣れた尺を超えるサイズは、夕方涼しくなった18時過ぎに釣れた31pだけでした。実を言うと、この釣り場は、昨年10月7〜9日に3日間で50pオーバーを4尾など、大釣りをした釣り場でした。恐らく今回釣れた魚より遥かに大型のニジマスが付近には多数泳いでいたはずなのですが、デリケートな大型ニジマスを釣リ上げるには、相当な好条件が揃わないと、全く敵わない様でした。

ミズタビラコトウゲブキムシトリナデシコ

【7月22日(土)】

さて、この日はいよいよ今北海道旅行での最後の釣りの日となってしまいました。この日は十勝から函館への移動の途中であり、以前より開拓を試みようと考えていた上川支庁のとあるニジマスの渓を攻めてみました。ただ、この日は帯広の最高気温が再び31℃まで上がる暑い日でした。釣り始めた時間も9時頃からと遅く、しかも土曜とあって入渓した付近は釣り人で一杯でした。それでも釣り始めてすぐに、写真左下の何でも無い様な流れから、50p近い魚影がミノーを追いかけてくるのが見えました。地元の人からの情報では、この渓には大型のアメマスはほとんどおらず、恐らくニジマスではなかったか、との事でした。

帰り道の上川支庁でも竿を出して見たしかし、猛暑復活でチビばかりいかにも釣れそうな渓が続くが・・・

しかし、この日はこの地でも30℃を超える暑さとなり、その後はやはり汗だくの釣りでした。そんな状況では魚たちも暑さで身を潜めてしまうのが常であり、結局、小さな小さなニジマスと、なぜか20p足らずのヤマメが3尾ほど釣れただけで、暑さに耐えかねて13時過ぎには撤収を余儀なくされてしまいました。さて今回、初夏から盛夏にかけての北海道の釣りを始めて経験しましたが、近年は温暖化の影響で盛夏にはこの地でも本州と変わらぬ暑さとなる様であり、渓流の釣りはやはり7月初ころまでが限界の様に感じました。もし健康が許せば、来年以降はもう少し早い時期に北海道を訪れ、盛期の釣りを楽しんでみたいと思っています。

こんなチビヤマメも放流されている汗だくで午前中を粘ったが・・小さなニジマスとヤマメばかり

【今回使用のタックル】
ShimanoCarddiffNX/S72L、StradicC3000、SunlineCastawayPE30lb(2号)+SeaguarGrandmaxFX2.5号、
Sukari50ssDeep/オイカワOB/クラシック、Ryuki50S/60S/赤腹ヤマメ、他