北海道遠征レポート

北海道遠征釣行09後篇
イトウ・サケ・オショロコマ (9月23-26日)


北海道遠征レポートの後編は、イトウ・サケ・オショロコマの3魚種を取り上げます。今釣行の大きな目的は大型のアメマスとイトウの2種でしたが、移動の途中で少しだけサケとオショロコマの釣りも楽しんでいます。その模様と、後半ではイトウのダイナミックな釣りの模様をお伝えします。「北海道はデッカイドウ」のキャッチコピーが示すとおり、大地も川もそこに棲む魚たちも、本州では考えられない程に巨大であり、また、そこに住む人たちの心も同様に広く大きいのでした。様々な人たちにお世話になりながら、今シーズン最後の渓魚との戯れの時間を、心行くまで楽しませて頂きました。
(北海道での釣行には経験が浅く、以下の文中には誤解や思い違いが有る可能性があります。その場合にはどうぞご指摘下さい。)


注:釣り場の特定を防ぐため、風景画像に大幅な修正を加えるか、同イメージの別の場所の写真を使用しています。ご了承下さい。


【9月23日(水)午前 オショロコマ】

ちょうど1週間の滞在期間の今回の北海道釣行では、私は2つの大きな計画のもとに活動していました。前半の3日間は釧路支庁でアメマス狙い、そして、後半の3日間は宗谷支庁でのイトウ狙いです。ところが、アメマスの釣り場からイトウの釣り場までは400km以上もの距離があり、高速道路が無いために、移動には殆ど丸1日かかってしまうのです。そのため真ん中の23日を移動日と決め込み、その代わりに移動しながら午前中は網走支庁でオショロコマを、午後は宗谷支庁でサケを狙うことにしました。イワナの大好きな私は、北海道に来たからには、同じイワナ族のこのオショロコマを一度は釣ってみないと気がすまないのです。

オショロコマの渓しかしチビヤマメのみどうやらオショロは最源流部へ・・・

オショロコマの釣り場は道東や知床の各所にありますが、今回は移動の途中であるため、網走支庁の某河川に入渓してみました。ただ、釣り始めてすぐにガッカリしました。時おりチビヤマメが釣れるだけで、オショロコマの姿が全く見えないのです。4年前の10月に来たときもオショロコマの姿が見えなくて苦労しましたが、3年前の8月にはこの渓で沢山のオショロコマに出会えました。つまり、9月の後半ともなると、彼らは産卵の準備のため、源流部へと移動してしまう様なのです。オショロコマは冷水性がとても強く、産卵時期も10〜11月と早いため、イワナよりももっと高度の高い最源流部の小さな沢へ早くから移動してしまい、下流部での魚影は全くと言って良い程に消えてしまう様なのです。

道東の とあるダム湖ダム湖の排出口の下には・・・・・・実に沢山の魚影が見えた

堰堤や滝があれば良い魚止になるのですが、このあたりの事情に詳しくない私は、地図で付近の地形を探すしかありません。幸いにもこの渓のすぐ上流には小さなダムがあり、ダム直下の流出口が魚止になっている可能性があることに気付きました。車で10分ほど上流に移動し、ダム直下の流れを釣ってみると、予想通りにオショロコマたちが次から次へと飛び出してくれ、まずは一安心。ただ、なぜか型が小さく、オショロコマたちは、どれも20cmにも満たないおチビちゃんばかりでした。大きな個体も付近には居たのではないかと思われましたが、早朝に下流部で時間を過ごしていたため、明るくなってからではお相手してくれそうもありませんでした。

ドリーバーデンの名前が浮かぶ何度もなんどもルアーにアタックし、遂には釣られてしまう姿が、なんとも可愛らしい

今回、ダム直下の流れに入りオショロコマに出会うことができましたが、しかし道東の渓流は東北のそれと比べると、どこも勾配の少ない平たんな地形を流れていて、いわゆる魚止の滝があまり見られません。最源流部はどんどん分岐し細く狭くなり、やがて消えてしまいます。イワナよりも冷水性の強い彼らは、恐らくそんなごく細い流れのそこかしこに入り込み産卵活動をしているのではないかと思われるのですが、幸いにも、その様な奥地はヒグマの恐怖で近づくこともできません。堰堤やダムなどの新たな工事さえ無ければ、オショロコマたちはヒグマに守られながら、安泰な日々を送れそうです。

野生化したルピナスオニツリフネソウ(ヒマラヤ原産)ニガナ

【9月23日(水)午後 シロザケ(アキアジ)】

この日は早朝から9時ころまで網走支庁でのオショロコマ釣りでしたが、昼間はイトウ釣り場に向けて大きく北上しています。釧路市内の釣り道具屋さんでの情報では、今年のアキアジは遡上数が少なく、しかも遅れていて、これまで私がサケ釣りによく行っていた知床や網走支庁では、9月22日現在でほとんど釣れていないとのこと。ただ、北へ行けば行くほど遡上開始は早まるため、宗谷支庁まで足を延ばせば、数は少ないもののサケ釣りを楽しめそうとの情報でした。移動途中の道路は幸いにもオホーツク海に沿って走っていて、車で幾つかの橋を通るたびにその河口でのサケ釣りの状況を比較的近距離で観察することができました。

河口には大勢の人だかりテントで寝泊まりしながらも・・・有名ポイントは騒動が絶えない

宗谷支庁に入ると、なるほど河口には沢山の人だかりが出来ていて、サケが釣れている様子でした。ただ、有名ポイントは異様な雰囲気が漂っていて、どうも4年前のあの嫌な光景が脳裏をよぎります。4年前の知床では、カケ鉤で引っ掛けられた挙句にイクラだけを取り出された大量のサケの死骸が浜辺に散乱していたのでした。あれは釣りではなく略奪でした。そんな釣り場には、入りたくもありません。ただ、良く観察すると、ごく小さな河川の河口では、釣り人の数も少なく略奪者も見えない様です。もう16時過ぎでしたが、宗谷支庁に入りしばらく走ってから、そんな小さな河口の一つを選び入渓してみました。

比較的小さな河口を選んで入渓した宗谷支庁まで来ると人影は少ないそれでも10人程度の釣り人

ただ、釣り場に到着してみると、結局はガッカリするハメになりました。全員がルアーを投げていて餌釣り師はいなかったのですが、良くみるとルアーマンの殆どが重いジグに巨大なフックを取り付けて投げていました。そして、サケの群れている付近に投げ込んでは高速で巻き取ってくるのです。そうです、スレ掛けでサケを捕っていたのです。釣り場近くには「サケの引っかけ釣りは摘発されます」という看板が立てられていて、モロにカケ鉤を使うと逮捕されてしまうため、ジグで偽装していたのです。北海道では、サケは産業として最も大事にされている魚ですが、これはつまり手軽な金儲けにもつながる訳で、略奪者がどこも支配してしまっている様です。

真っ赤なスプーンにヒットしたメスのシロザケ(アキアジ/チャムサーモン)チャム78cmと私

そんな中、普通の赤いサーモンスプーンだけを普通に投げ、普通にサケを狙いました。スプーンはジグとは動きが異なるため、周囲の釣り人からはひどい邪魔者扱いをされましたが、知らん顔をして普通に釣っていると、10回ほど投げたところで上写真のシロザケが普通にヒットしてきました。サケ達は砂地の底付近に群れていて、スプーンを底でチョンチョンと小さくジャンプさせる様に引いてくる事で簡単にヒットしました。そして、そのサケは隣の釣り人に差し上げ、その代りに写真を一枚だけ撮影して頂き、そそくさとその場を立ち去りました。まだまだ釣れる時間帯ではあったのですが、私にはこれ以上この場に留まろうなどという気持ちは既に失せていました。

ブタナコウリンタンポポハマナスの花と実

【9月24日(木) イトウ】

オホーツク海に昇る朝日が美しい釣り人はまばらだった上流で刈られた牧草に悩まされる

さて、24日から26日の3日間は、今回の遠征の第二の本命であるイトウ釣りに専念しました。この日の早朝、勇んで釣り場の河口に到着したのは良いのですが、ちょっと拍子抜けしてしまいました。この釣り場は最盛期の休日には100人を超す釣り人で賑わうほどの人気ぶりなのですが、この日は平日とは言え、釣り人が3人しか見えなかったのです。聞くと今年は気温が高くイトウの遡上が遅れていて、まだイトウは殆ど釣れていないのでした。相当にガッカリしました。4年前の10月初旬には、大勢の釣り人で賑わい、数多くのイトウが釣り上げられる姿をまのあたりに見ていたからです。

5:30時頃、隣の釣り人にヒットイトウ82cm、これでも中型だ穏やかなオホーツクの海

それでも私はイトウ以外の魚を狙うつもりは全く無く、釣れないのを覚悟でロッドを出しました。そして、釣り始めて1時間ほどたった5時半ころ、私の5mほど横で釣っておられた千葉から来たという釣り人のロッドが大きく曲がりました。彼はイトウ釣りが今回初めてで、昨夕からこの釣り場に来られていたとのこと。写真の見事な82cmを釣り上げ、狂った様に大喜びされていました。それにしても、いやはや、初回で2日目に80cmオーバーとは、なんともうらやましい話ですね。その後はこの釣り場で10時ころまでルアーを投げ続け、午後も3時頃から同じ釣り場でロッドを振り続けましたが、他の人も含めイトウは姿を現さず、結局この日釣れたイトウはこの1尾だけでした。

エゾノコギリソウハチジョウナ?ナミキソウ

【9月25日(金)午前】

翌朝も夜明けから同じ釣り場で頑張りました。この日も平日とあって、釣り場には前日からの2人だけでした。2人のうちのおひとりは、実は前々日夜に近くのホテルで食事をしていたときにお会いしたSさんでした。Sさんはレストランにお勤めのかたで、様々なイトウ釣りの情報を快く、本当に快く、教えて頂いたのです。また、もう一人の釣り人は、大阪から遠征のTさんで、定年退職後のゆったりした時間を使って、9月中旬から10月中旬までの1ヵ月近くを、このイトウ釣り場で釣り三昧のうらやましいかたでした。お2人はイトウ釣りに非常に詳しく、釣り場でも様々な情報を教えて頂き、非常に助かりました。お二人には、この場を借りてお礼を申し上げます。

地元のSさん関西から遠征のTさんヌマガレイが2尾スレで来ただけ

北海道では、先のサケ釣り場の様な凄惨な状況も見られますが、一方で今回のお二人の様に、純粋に釣りを楽しみ、心広く他の釣り人を受け入れてくれる人も多いものです。雄大な大地とゆったりと流れる川、そして豊かな自然がそうさせるのでしょうか、アメマスの釣り場でもここイトウの釣り場でも、沢山の釣り人から様々な情報を頂くことができ、感謝に堪えません。 さて、お話をイトウ釣りに戻しますが、この日の朝は3人で色々な話をしながら、それなりに楽しい時間を過ごすことはできた訳ですが、残念ながらイトウは姿を現さず、全員ノーバイトでした。そのため私は、早めの8時過ぎには河口の釣り場を切り上げ、この後、とある沼へと移動しました。

4年前にも釣った、とある沼へ低層湿原特有の褐色の濁りこんな川の河口がポイント

この沼では4年前に来た時にもイトウを釣っています。その時は、土砂降りの直後で河口の釣り場が釣りに成らず、地元のかたに教えて頂いて、言わば「ボーズ逃れ」をしたものです。そうなのです、時期が少し早すぎてイトウの魚影が薄く、3日間で釣れるかどうか不安だったため、今回もボーズ逃れを企てたのでした。沼に到着した時間はもう9時過ぎでしたが、このあたりの沼は低層湿原特有の非常に濁った褐色の水を湛えているため、むしろ明るくなってからの方が良く釣れるのです。ポイントの状況は良く判っており、小さな川の注ぎこむちょっとしたインレットのポイントへ、フローターを使って真っ先に入りました。

50cm前後のイトウがコンスタントにそれにしても良く釣れるイトウ40〜52cm 直後にリリースした

釣り方も既に良く判っていました。沼全体の水深は1.5m程と浅く、濁っているため底付近を良く目立つルアーでトレースしてやれば良いだけです。最初はDコン63Sチャートを投げましたが2投目で50cmほどのイトウがヒット。その後も次々とイトウがヒットしましたが、5〜6尾釣るとスレてきたため、今度はDダイレクト鮎に代えると、また連続ヒットしました。釣れたイトウは一旦、フローターに係留したナイロンの網袋に入れておき、あとで写真を撮影しようと考えましたが、2時間足らずであっと言う間にこの袋が満杯になってしまいました。まだまだ釣れる状況でしたが、イトウは絶滅危惧種1Bに指定されている貴重な魚たちであり、乱獲は良くないと考え10尾釣れたところで釣るのを止めました。

沼ではイトウは大きくなれない。63cmはかなり大型の部類に入るイトウ63cmと私

魚は沼の周辺に沢山ある水溜まりの一つに空け、写真を撮影しリリースしてやると全部元気に泳いで行きました。ところが、リールのラインが少しクラッシュしそうな状態になっていたため、ミノーを河口の遥か沖に向かって大遠投し、ラインのクセを直しながらリールを巻いてくると、あれれ、またまたイトウがヒット。しかもこれまでの魚よりかなり大きい様子。1.7号のフロロではラインごと切られそうになりましたが、なんとかランディングに成功し、11尾目は、なんと63cmもある沼のイトウにしては大型の魚でした。こんなこともあるんですね、驚きました。結局この沼では11尾のイトウをヒットし、満足のうちに引き上げました。

【9月25日(金)夕方】

対岸からキャストする作戦に変更海で育ったイトウ68cm、引きは強烈だった

夕方は再び河口の釣り場を攻めました。80cmを超える様な大型は、海で育った個体にしか見られず、やはり河口から数km以内の釣り場を狙うしか無いらしいのです。また、海で育ったイトウの方が引きも数段強く、面白いと言うのです。河口での釣り方については大阪のTさんから様々な情報を教えて頂きましたが、彼の釣り方自体も非常に参考になりました。産卵のために遡上を待つイトウたちは、河口の海の水と川の水がせめぎ合うあたりに定位して遡上のチャンスを狙っている訳ですが、Tさんは対岸の砂浜から続く浅瀬のある範囲内にルアーを取り換えながら何度も何度も投げていました。つまり、彼のルアーを投入するあたりにイトウの定位している確立が一番高いことを示していました。

イトウ68cmと私オホーツクに夕暮れが迫る

ただ、私はルアーをあまり沢山用意しておらず、彼と同じ釣り方はできません。そのため、作戦を変えて対岸の砂浜側に立ち、深い場所から手前の浅い場所へと底ギリギリをしつこつトレースしてみることにしました。同じルアーでも、何度も相手の鼻っつらを通せば、そのうちにヒットするのではないかと考えたからです。イトウの数は少ないながらもゼロでは無い様子であり、川の中央あたりにミノーを落とし、十分に沈めてから引いてくると、うす暗くなり始めた17時ころ、待望のヒットが出ました。この地では決して大型とは言えない68cmでしたが、引きは沼のイトウよりも確かに強烈で、魚体も白っぽく、海で育ったイトウであることは間違いありませんでした。

エゾオヤマリンドウシロヨモギアザミの仲間

【9月26日(土)】

日の出前から頑張ったが・・・北はこの時期、牧草収穫で忙しい帰り途では牛たちがノンビリと

翌朝も日の出前から同じ方法で頑張りましたが、残念ながらイトウは姿を現しませんでした。この日は土曜日とあって、10人ほどに釣り人が増えていましたが、聞くと全員釣れていない様子であり、やはり河口でのイトウ釣りには、まだまだ時期が早い様でした。そして、この日は深夜までに苫小牧に戻らなくてはならず、お昼ごろ、進路を南に向け帰路に着きました。帰り道の途中では、牧草の刈り取りに忙しく働く人たちの姿があちこちで見られ、まもなくこの地に極寒の季節がやってくることを示していました。峠の道の遥か高いところでは、やがてくるモノトーンの世界を前に、紅葉が鮮やかな赤やオレンジの色彩を精一杯放っている様に見えました。

北海道の秋は早い。ちょっとした高山では、早くも紅葉が始まっていた

北海道釣行記は、今回で終了です。長文をお読み頂きありがとうございました。

【今回使用のタックル】
イトウ(河口)・サケ:Ueda TroutPluggingSpinGS902H+シマノAERLEX3000C+PE30lb+ショックリーダー20lb、
 Ito VisionOneten110M-ChartBack、IMA GyoDo110MDカタクチ、Daiwa ShoreLineShinerSL14F-G、
 SkagitD. MatchBaitJet130PR、SalmonSpoon17g赤、他
イトウ(沼)・オショロコマ:Wellner 8ft TroutRod+Shimano BiomasterC2000+Kureha SeagerAce1.7号、
 D-Contact50S鮎、D-Contact63S鮎/チャート、D-Direct50鮎、WiseMinnow50FSヤマメ/緑(5.2g)、他