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勝手気ままに書いてます  釣りの コラム


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砂防堰堤のこと自然環境 2014/09/02

 私は堰堤プールの釣りが大好きですが、一方で現状の砂防堰堤の建設には反対の立場です。近年多発している土砂災害などによる被害を軽減するためには、確かに砂防堰堤が必要であることは理解していますが、その建設の有り方に問題を感じざるを得ないのです。

 今から十数年前に法律の改正があり、公共工事においても環境に配慮する(河川等の特徴や動植物の生態をよく把握し、ダム敷地や湛水域の動植物の生息・生育環境の保全や、湛水することにより上下流に生息する動植物に与える影響が可能な限り少なくなるよう努める)様になった様です。つまり、それまでは環境の事など全く考慮されない形で公共工事が行われていて、砂防堰堤についても同様だったのです。先進国にはあらざる酷いお話です。

 環境配慮の一環として、山形県や近県では堰堤のスリット化が行われています。スリット化によって魚たちの堰堤上への遡上が可能になり、河川状況がより自然に近づいて万々歳・・・かと思ったらそうは問屋が卸してはくれませんでした。実際には、下写真の左・中央の様に、殆どの堰堤でスリットが中途半端に中ほどまで切り込まれていたり、或いは堰堤下部にわざわざ余計な障害物を設置したりしていて、魚たちが堰堤上に遡上できる様にはなっていないのです。

 たまに魚道が追加設置される例もありますが、殆どの場合、すぐに土砂等で埋まってしまい魚道として機能していません。海外では概ね、魚道を維持・管理する組織が有り、魚道の清掃や修理が行われる様になっているのですが、日本では殆どの場合、残念ながらその様なことは無く、作りっぱなしなのです。そのため、1年もすれば魚道は有って無い存在になってしまっているのです。

× 中途半端にスリットの入った堰堤 × 下部に邪魔な構造物の有る堰堤 ○ 魚の遡上が確保されている堰堤

 加えて、春に雪代に乗って源流から流下してきた魚たちは、プールが有ればそこに溜まり、夏には産卵のために再び源流部へ遡上して行きますが、中途半端なスリット化後は、魚たちは堰堤の下へは落ちるが上流へは二度と戻れません。その結果、堰堤下で餌釣り師たちに簡単に釣り切られてしまい、魚影は激減する事になります。また、源流部での産卵に参加する個体数も激減してしまい、スリット化後の堰堤は、土砂で埋まった堰堤と同様、魚たちには最悪の事態を招きます。

 実際、山形県小国町・西川町や新潟県下越地方の多くの堰堤では、スリットの入った翌年からその上下流部での釣果が激減し、型も極端に小さくなりました。私の知っている限りでは、魚の遡上が確保されている堰堤は、新潟県胎内川支流の頼母木(たもぎ)沢のスリット堰堤(上写真右)だけであり、他のスリット化堰堤や新設された堰堤は、全て魚の堰堤上への遡上が不可能なものばかりです。環境に配慮した河川工事へシフトした筈なのですが、現実には自然への配慮など何も考えられていないのが現状なのです。

 従来、砂防堰堤と言えばいわゆる「穴あき堰堤」ばかりでした。最近になってスリット堰堤が新たに建設される様にはなってきましたが、では何故、最初からスリット堰堤を作らなかったのでしょうか?実はだいぶ前から、スリット堰堤でも土砂災害には十分に有効であることは知られていた様です。人家に近い小渓流では、スリットから液状化した土砂が流れ出て被害を防げない場合があるそうですが、満砂状態の穴開き堰堤でも、液状化した土砂であれば同じ様に被害は防げないでしょう。

 頼母木沢の様なスリット堰堤をなぜ作らないのか、理由は良く判りませんが、結局のところはお役人や政治家には自然や魚に対する興味が無いからではないかと思います。口では環境に配慮・・などと恰好の良い言葉を使っていますが、彼らにとって山がどうなろうと、魚がどうなろうと、結局はどうでも良いのではないかと思います。加えて、そういう政治に対して、長い物には巻かれろ方式の国民性にも問題があるのかも知れません。残念ながら、環境の世界では日本はまだまだ後進国の様です。


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